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2022年03月12日 (土)

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【ライヴレポート】<有村竜太朗5th Anniversary BIRTHDAY LIVE 2022 -ROOM306->2022年3月6日(日)Zepp Haneda◆「hiroと一緒に個人活動をやるのはひとつの夢でした。これからも一緒に作った夢を続けていきたい」

REPORT - 01:49:36

 もはや36日の恒例行事とも言える有村竜太朗のバースデー公演。今年は有村竜太朗5th Anniversary BIRTHDAY LIVE 2022 -ROOM306-”として、Zepp Hanedaで開催された。しかもソロ活動5周年という節目とも重なっており、ファンと共に足跡をかみしめる公演になりそうだ。ただ、ひとつだけこれまでと違うのは、有村のソロ活動に欠かせなかったギタリスト、hiroの姿がステージにないということ。昨年の11月末、あまりにも突然に急逝してしまった希代のギタリストが祝いの席にいないのは寂しい限りだ。有村自身もライブのサウンドを支えるDEMONSTRATIONsのメンバー(B.鳥石遼太、Dr.高垣良介、ManipulatorKey.野村慶一郎)も、彼の思いを受け継ぐ決意をもって、この日のステージに臨んだに違いない。ちなみに、今回のライブにはゲストギタリストとして小林祐介(THE NOVEMBERS)と生熊耕治(cune / BLUEVINE)が参加。新たな個性を迎えてのパフォーマンスとなった。

 

 開演時間になり、場内が暗転すると、ライブタイトルが示すように、観客はここから架空のホテルの306号室に案内されることになる。ゴシックなホテルの支配人という風貌の有村の映像が流れたあと、ステージにはバンドのメンバーが登場。最後に現れた有村が、ピアノで1曲目「幻形テープ/ genkeitêpu」のイントロを奏でる。穏やかなテンポながら、繊細で緊張感のあるインスト曲に観客は一気に引き込まれていった。ライブの前半でギターを担当するのは小林祐介。歪んだギターに加え、アップテンポな「くるおし花/ kuruoshibana」や「猫夢/ nekoyume」では躍動感のあるプレイで熱量を上げていく。

 

 有村はというと、ほとんどMCをはさまず、楽曲に集中しているように見えた。どの曲もこの5年のあいだに、ライブを通して熟成させてきたものばかり。特に前編を締めくくった「日没地区/nichibotsuchiku」のように郷愁感のあふれるサウンドは彼にしか出せない持ち味だと思う。夕日色の照明の中、揺蕩うギターサウンドと歌声には存分に酔わせてもらった。

 

 後編に入る前、スクリーンには秒針が逆回転する時計が映し出される。ステージ上ではギターが生熊耕治に交代し、有村はピアノに向き合うと、「幻形フィルム/genkeifuirumu」のイントロを弾き始めた。再びライブの空気がピンと張り詰める。後半ブロックでは「憑影と月影/tsukikagetotsukikaze」や「また、堕月さま/ mata,otsukisama」など、月をモチーフにした曲が続く。終盤が近づくと、バンドのプレイもますます熱を帯び、「魔似事/ manegoto」では生熊も鬼気迫るギターソロを聴かせた。この熱演に後押しされるように、有村のボーカルも力強さを増していく。

 

 そしてラスト2曲の「19/jukyusai」と「浮融/ fuyuu」では前半で登場した小林も加わり、有村のギターと合わせてトリプルギター編成に! 層が厚くなったギターが生み出す荘厳なシューゲーザーサウンドに、もの悲しくも温かい有村の声が呼応。重みのあるパフォーマンスで圧倒した。演奏が終わると、有村はペコリと一礼。拍手に送られて楽屋へ消えていった。

 

 また、このあとのアンコールでは、胸を打つ演出で新曲の「円劇/engeki」が披露されることになる。アンコールの拍手がやまぬ中、ステージの上手には白いパーテーションのようなものが設置された。メンバーがステージに戻り、演奏が始まると、そのパーテーションにはギターを弾くhiroが映し出されたのである。同時に彼の鳴らすギターも流され、感動的な共演が実現。有村とバンドメンバーによる、hiroへの感謝の気持ちが痛いほど伝わる瞬間だった。しかも、この時に有村が弾いていたのは、hiroから受け継いだ形見のギター。まさに一緒にステージに立っているという感覚で響かせていたのである。有村も心強くプレイできたに違いない。1回目のアンコールはここで終了したが、その後、有村とメンバーはダブルアンコールに応えて再びステージへ。有村自身もホッとしたのだろうか、ここでようやく口を開いた。

 

「ようこそROOM306へ。今日はホントに来てくれて感謝です――今日はいろいろ前に進めたと思います」

 

 この言葉に、盟友を失った悲しみを乗り越えつつある心情が表れていたように思う。このダブルアンコールでは今一度、ゲストギタリストのふたりが呼びこまれ、最後の2曲となる「鍵時計/ kagidokei」、「恋ト幻/ rentogen」が、にぎやかなパンクバージョンでプレイされた。演奏が終わると、有村はこんな言葉で結んでいる。

 

hiroと一緒に個人活動をやるのはひとつの夢でした。これからも一緒に作った夢を続けていきたい……先のことは決めてないんですけど、年内にはまた何かしら新しい実験ができたらいいなと思いました」

 

 有村竜太朗のソロ活動である音楽実験は、hiroの思いものせてこれからも続いていくはずだ。この先の新たな展開に期待したい。

 

       

有村竜太朗オフィシャルサイト:https://arimuraryutaro.com/

有村竜太朗ツイッター:https://twitter.com/Pla_ryutaro