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【ヘヴンのお祭り】ライヴレポート<ヘヴンのお祭り☆天まで飛ぼう!! SPECIAL SESSION~裏誕編~>◆2024年5月16日(木)赤羽ReNY alpha◆

ヴィジュアル系ファン及びバンドから長きに渡り愛されているヴィジュアルロックマガジン「hévn」が主催するイベント「ヘヴンのお祭り☆天まで飛ぼう!!」が、5月16日に赤羽ReNY alphaで開催された。今回は通常時の対バンイベントとは異なり、「hévn」に縁のあるアーティストが中心となって内容さまざまなセッションバンドとして出演。まさに“スペシャル”と呼ぶに相応しい、5つのセッションバンドが繰り広げたライブの模様をレポートする。

■クリミナルパッケージ

[MEMBER]Vo.KEN(201号室) / Gt.詩結(Ashmaze.) / Gt.宗馬(XANVALA) / Ba.JITAN / Dr Bikky. (CHAQLA.)

トップバッターを飾ったのは「クリミナルパッケージ」。今、ヴィジュアル系シーンにおいて新進気鋭というべきバンドからメンバーが召集されていた。開演前から、幕越しに円陣を組んでいると思しき声が響き、気合がひしひしと伝ってくる。幕が開くやいなや『READY STEADY GO』(L’Arc~en~Ciel)から『ピンクスパイダー』(hide with Spread Beaver)と、勢いはもちろんヴィジュアル系スピリッツを大いに見せつける形で会場に火をつけていく。KENは「“若手でコイツらがいいな”と思って、集めてくれてありがとう。俺も、コイツらが一番いいと思います」とオファーがあったことに感謝を伝えつつ、本日の出演者でもある海(vistlip)へ「1曲お借りします」と『GLOSTER IMAGE』(vistlip)、さらに『ギロチン』(BugLug)とヘヴィな楽曲を畳みかけた。それぞれのバンドにリスペクトを込めた実直なプレイが実に見事で、それでいて“クリミナル”というに相応しいアバンギャルドなステージングを繰り広げる姿は、1人ひとりが大いなる可能性を秘めていることを証明しているようでもあった。ラストは、XANVALAのライブにおいてもキラーチューンである『CREEPER』で締めくくり、しっかりと爪痕を残す形でイベント開幕に花を添えていた。

-セットリスト-
1.READY STEADY GO(L’Arc~en~Ciel) / 2.ピンクスパイダー(hide with Spread Beaver) / 3.GLOSTER IMAGE(vistlip) / 4.ギロチン(BugLug) / 5.CREEPER(XANVALA)


■ヘヴンに育ててもらったバンドマン達~F-COVERS~

[MEMBER]Vo.平一洋(3470.mon) / Gt.タイゾ(ANONYMOUS) / Gt.LiN(ユナイト) / Ba.玲夏(ダウト) / Dr. 直人(ダウト)

「一番媚びたバンド名だけど、一番選曲が尖っててごめんなさい」と、ライブ中に話していた平一洋。実際に、カバー楽曲の選曲は1曲目にRadioheadの『CREEP』を披露して以降はTHE YELLOW MONKEYの楽曲が占めており、アーティスティックでいてバンドのグルーヴを存分に感じられるステージは好意的な意味で非常に尖っていた。平一洋が「いつか一緒にやってみたいなと思っていた人と一緒にステージに立てて、とても幸せです」と1人ひとりと拳を突き合わせていたのも印象的で、その中には幼馴染だというLiNとタイゾが同じステージに立っているというのも貴重だったといえる。この日、平一洋と玲夏のルーツでもある楽曲をはじめ、楽しそうに演奏していた様子はまるで、“ヘヴンに育ててもらったバンドマン達”(子)がイベントの主催者でありいわば“親”的な存在でもある「hévn」編集長へと成長した姿で恩返しをしているようでもあった。中でも格別だったのは、“残念だけど、この国にはまだこの歌が必要だ”という有名なメッセージに触れながら、ラストに演奏した『JAM』(THE YELLOW MONKEY)。この楽曲の主人公のように、敏感で多角的な感受性を持ちながら、ほとばしる熱意を胸に抱いているアーティストたちが『JAM』を通して見せた激情に満ちたワンシーンは、この上なくエモーショナルなものだった。

-セットリスト-
1.CREEP(Radiohead) / 2.TVのシンガー(THE YELLOW MONKEY) / 3.楽園(THE YELLOW MONKEY) / 4. Love Communication(THE YELLOW MONKEY) / 5.JAM(THE YELLOW MONKEY)


■HIROTO with Starlight Session

[MEMBER]HIROTO(アリス九號.) / Gt.ナカヤマアキラ(Plastic Tree) / Ba.K / Dr.影丸-kagemaru-(-真天地開闢集団-ジグザグ)

自身のバースデーライブ(5月4日 / 渋谷WWW X)にて、ソロ活動を本格始動させた HIROTO。この日は「HIROTO with Starlight Session」として出演するにあたり、サポートメンバーに豪華布陣を整えての参加となった。先頃のライブでも共にステージに立ったBa.KとDr.影丸-kagemaru-(-真天地開闢集団-ジグザグ)、そしてHIROTO自身も“憧れ”と紹介していたGt.ナカヤマアキラ (Plastic Tree)は、もはやスペシャルゲストである。こうして、HIROTOがソロワークで打ち出すのは、“Starlight”というキーワードを基に作り出される世界観。それは、主に「ソロで初めて作った曲」と紹介した『Starlight Festival』の異空間へトリップするようなサウンドにまっすぐな心境を投影した表情などによって巧みに構成されている。ギターを手にしながら鋭い眼差しで懸命に歌うHIROTOと、それを後押しする楽器隊の頼もしい演奏が織りなす刺激的な空間が広がっていた。間には、HIROTOの中にある“エレファントカシマシの精神”を聖地赤羽の地で『RAINBOW』のカバーに乗せて表し、アリス九號.から『ヴェルヴェット』をセルフカバーする場面も。そしてラストは、音楽で繋がれた人々への感謝を言葉にしながら大切に届けた『AND U』が、温かく会場を包んでいた。

-セットリスト-
1.cosmic world (アリス九號.) / 2.RAINBOW(エレファントカシマシ) / 3.Starlight Festival / 4.ヴェルヴェット(アリス九號.) / 5.AND U


■楽屋泥棒 -GAKUYA DOROBOU-

[MEMBER]Vo.尽(HERO) / Gt.椎名未緒(ユナイト) / Gt.慶(ex.游彩) / Ba.ヒィロ(ν[NEU]) / Dr.チャーリー (ex.Smileberry)

尽歌唱による『ルパン三世のテーマ』のSEに乗せて登場したのは、「楽屋泥棒 -GAKUYA DOROBOU-」。披露した楽曲は、HERO、ユナイト、ν[NEU]からセレクトされていた。イベントライブともなればしのぎを削ってきたライバルでもある反面、プライベートも含めて心を許した仲間でもある、いわゆる“いつメン”が繰り広げるライブは安定的に充実感があった。注目ポイントの一つである尽のトークも絶好調で、出演者から“楽屋泥棒”という名の由来を尋ねられた際に「楽屋に緊張感を持たせたくて」と答えたことで、楽屋内で物が見当たらなくなるごとに「アイツじゃないか!?」という視線を受けたエピソードや、「ここで盛り上がらないと次のバンドの時間を泥棒することになる」と“泥棒”にかけた上手いことを言って爆笑を誘っていた。もちろん充実のワケはそれだけではなく、歌や演奏、ライブ運びにおいてもしっかりと観客の心を掴むのだからさすがである。「ここをピークにしよう、俺たちの音楽で一つになろう」という真摯な気持ちで届けた楽曲たち。実はこの“いつメン”、特に尽,椎名未緒,ヒィロに至っては、本バンドではブレーンとなっている傍ら、このメンツが集まるときは“楽しく音楽をやる”というベクトルに振り切れる間柄でもある。なお、ヒィロはν[NEU]が期間限定復活を終えると同時に「もう音楽はやらないだろう」と話していることから、この3人が揃うのは最後のステージとなる。今、それぞれが大事な時期を過ごしているバンドのメンバーたちがただひたすらに楽しみ、時にライバルともなる(なっていた)お互いの存在を認め合う形を各バンドの曲を通して披露するという、実はとてもアツいものを感じられるステージでもあった。

-セットリスト-
1.small world order(ユナイト) / 2.超過激愛歌~Super Ultra Lovesong~(HERO) / 3.無限ピクセル(ユナイト) / 4.「to you…」(HERO) / 5.everlasting light(ν[NEU]) / 6.「ソプラノ」(HERO)


■オメガマインド

[MEMBER]Vo.春(DOG inTheパラレルワールドオーケストラ) / Gt.酒井参輝(己龍) / Gt.海(vistlip) / Ba.リクト。(グラビティ) / Dr.宏崇(R指定)

イベントの大トリを飾った「オメガマインド」。まず、春がMCで「錚々たるメンバーをこの“メガネ”が集めてくれました!」と話していた通り、豪華メンバーを招集した最大の功労者というべき“メガネ”の正体は、海である。中でも、無期限活動休止中である己龍から酒井参輝、さらに現在もなお凍結(活動停止)中のR指定から「メガネに呼ばれてメガネが来た」と戯けた宏崇がいることに加え、両バンドの楽曲を“ライブで”聴くことができたことは素直に嬉しかった。しかし、「歌うべき人じゃない人が歌う、演奏すべきじゃない人が演奏する」という言葉で春が話していた通り、ナイーヴに感じていた人も少なからずいたはずだ。それは参加メンバーも同じだったようで、春からの「R指定のSEがかっこいいから使いたい」という要望に宏崇が「R指定の曲もやろうよ」と言ったことが選曲することに遠慮がちだった雰囲気を壊すきっかけとなったというエピソードからも慎重さが伺えたと同時に、セッションを通した楽しみ以上に“大切に演奏しよう”という気持ちを強く感じられるライブでもあった。前置きが長くなってしまったが、ライブははっきり言ってとてもエモかった。宏崇のドラムが映える『國立少年-ナショナルキッド‐』(R指定)に始まり、海の期待を背負ってメンバーに加わったリクト。が在籍するグラビティから『ORIGINATEに帰す』。さらに、春の主線に海も歌を重ねた『無音』(vistlip)や、パワフルにフロアを席巻していった『ハルシオンキャンディ』(DOG inThePWO)。『曼殊沙華』(己龍)に至ってはギターソロと前衛的姿勢で酒井参輝が視線をかっさらっていき、最後に改めて「大切に歌います」という言葉を添えて『叫声』(己龍)で締めくくられた。この日の選曲は、「hévn」編集長がそれぞれのメンバーやバンドが輝く楽曲としてリクエストしたものも含まれていたようだ。「hévn」という共通媒体を通じて士気を高め合ってきた精鋭メンバーが見せたのは、バンド仲間やこのヴィジュアル系シーンに愛を注ぐすべての人との繋がりの大切さと、それが生み出すパワーは計り知れないということであったように思う。

-セットリスト-
1.國立少年-ナショナルキッド-(R指定) / 2.ORIGINATEに帰す(グラビティ) / 3.無音(無音) / 4.ハルシオンキャンディ(DOG inThePWO) / 5.曼殊沙華(己龍) / 6.叫声(己龍)

TEXT:平井綾子
PHOTO:Lestat C&M Project

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