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【まみれた】伐、単独インタビュー__「水を吐かないから床下を感じろ」


歯に衣着せぬ発言と、標榜する“床下”を基軸に、弱き者に寄り添う必要悪としてシーンのなかでも確かな立ち位置を築いているまみれた。
2025年の復活以降も、その勢いは止まらず「もしもし」や「お邪魔します」といった代表曲はSNSで拡散され、世間に届くまでになった。
順調なバンドは8月8日に自身初となる東京キネマ倶楽部ワンマンまで歩を進める。

だが、そんな目前でいわゆる“炎上”を意図せずしてしまう。
それはフロントマン・伐の言動とステージパフォーマンスによるものだった。
そんな彼とちょうど“メシ行こっか?”と話している矢先に起きた事変について、彼の偽りない想いとこれからどうすべきなのかをあるがままに語ってもらった。


<もともと普通だったものを普通だと感じられなくなってきている>

--今日は久々に話を聞きたいなと思ってご飯行こうと声かけたんですよ。そしたら、とんでもないことになっているみたいで。

伐:そうですね。

--ところで「KHIMAIRA」のEDGE5DAYSはどうでした?やりにくそうだなって印象だったけど。

伐;いやー、やりにくかったですね。自分たちの武器が通用しにくいってわけじゃないんだけど、みんな違ってみんな良いっていう日だったんで。えんそくもmitsuさんもトガった良さがあるし、いつもだったらまみれただけが異質だからやりやすいんだけど、あの日は全員が異質でしたからね。

--ヘイト・スピリットを高めて闘うスタイルとは相性が悪かっただろうし、だから、そういうときのまみれたに興味があったんですよ。でも、結果的には終盤一気に畳みかけてきて。苦悩と強さが同居する素晴らしいステージだったと思いますよ。

伐:まみれたにとっても吸収するものが多かったと思います。刺激的でしたね。

--新たな顔も見せましたよね。それこそ4月にリリースした『歪ンダじゃずト瓶詰メノじゃむ』はジャジーななかに、らしさを感じさせるノスタルジックさもありました。従来の暴れて激しいバンド像からは変貌したと言えるかもしれません。あの作風はどういった意図で?

伐:もっと深い歌を歌いたかったんです。バンドとして表現したいものを広げていきたいって気持ちもあったけど、一番は歌ですかね。

--2026年はこれまでのまみれた像から大きく変わるかもしれないって話は昨年末から出てましたよね。実際、あの作品を出して世間の反応はどうです?

伐:わからないです。ひろくん(鮮血A子ちゃん・滅多刺しひろくん)や不破(ex.「#没」)はすげえいいって言ってましたけど。

--ブラッシュされたサウンドとメロディも新しくはあるけど、一方でまみれたの音楽の本質から辿ると、全然変わってないじゃんっていうのも正直な印象で。どの側面からこのバンドを見るかで受け取り方が変わるのは面白いですよね。個人的にはあのEPを引っ提げたツアーをやってよかったと思う。

伐:俺の好きな音楽なんですよね。それがまみれたっぽいのかは聴いた人が勝手に決めればいいんですけど。年内に新しい音源も出す予定なんですけど、それはみんなが想像するまみれたっぽいものになると思う。今はいろいろなことをやっていきたいモードなんです。ジャンルに捉われないのがヴィジュアル系の良さだと思っているんで。

--今作ってるのはアルバム?

伐:いや、もうちょっとコンパクトな作品。でも、アルバムも作りたいなとは思ってますよ。

--音源も続報を待ちたいところです。その前に8月8日には東京キネマ倶楽部でのワンマンもありますね。と、そんなまみれたですが、最近何かと話題になっています。ぶっちゃけ何があったんですか?

伐:まぁ俺がトガりすぎたんでしょうね。トガってるつもりもないし、普通にやってるだけなんですけどね。

--それは「KHIMAIRA」の翌日の長野公演で?

伐:そうですね。それで俺がSNSに思ってることを投稿したら、批判の声がたくさん届いてます。

--過去の出来事もたくさんタイムラインに流れてきてますよ。

伐:マジで覚えてないこともあるんですよ。正直に、“覚えてない”っていうとまた炎上しちゃうんでしょうけど、昔、俺にステージから水をかけられたり煽り続けられたお客さんがいるとかで。申し訳ないんですけど、俺、お客さんの気持ちがわからないんですよ。

--当時、なんでそんなことをしたと思う?

伐:きっとお客さんが意思表示をしてこなかったからだと思います。会場でも前の方の見えるところにいるのに、無視されてる気持ちになったんでしょうね。暴れることを強要してるつもりなんてないし、嫌なら嫌だって意思表示をしてほしいんですよ。嫌いならそれでいいんです。ただ、無視されることってゼロじゃないですか。好きでも嫌いでもいいから、そこに人の感情が見えないと音楽をやれないんですよ。

--それとお客さんに暴言を吐くことがイコールとも思えないけど、伐さんとしては魂のぶつけ合いを求めてるってことなんですかね。

伐:んー、むずかしいですね。俺がお客さんの気持ちをわかっていないように、お客さんにも俺の気持ちはわからないんですよ。今回、炎上して“お前の実力不足だ”って声もあったけど、曲を聴いてるのか聴いてないのかもわからない表情を見ると、答えを求めたくなるんです。その結果として水を吹きかけたりしたんだと思う。お客さんの気持ちをわからなくてやったことで炎上…炎上っていうか、傷つけてしまったならそれは俺が100%悪いですね。

--そこは反抗するわけではなく、真摯に受け止めると。

伐:いや、真摯っていうか普通です。俺が嫌なことをしたから嫌なこと言われるのは当たり前じゃないですか。俺もステージに立ってる人間として嫌だから水をかけてるんで。

--もし、それが事実ならやりすぎですよ。でも、お客さんのノリに対してステージサイドから言及してオーディエンスと衝突することって、正直なところアリーナクラスのバンドやシンガーでも往々にしておきているし。オーディエンスが思っている以上にステージに立っている人間は1人1人に向けてライヴをしているんだということは想像がつきます。

伐:まぁでも、申し訳ないと思ってます。傷つけたくて音楽やってるわけじゃないんで。ほんとうにわからないんです。ただ、今回のことで他のバンドマンがなんか言ってくるのは腹立ちますね。もともと俺らのことを悪く言ってる人は全然OKなんですけど、これ見よがしに手のひら返してくるバンドマンたちは一体なんなんだろう?って感じです。悲しいですね。

--オーディエンスの気持ちを理解できなかったからこそ、反省もするけど、そこはまたちょっと違うかもしれない。

伐:あと、復活してからは俺なりにお客さんのことを一生懸命考えてライヴをやっているつもりなんです。“首が痛かったんです”とか“体調悪かったんです”みたいな意見を後からいただくと、さすがに俺も気がつくというか。愛してくれてる人を傷つけたいなんて思ってないし。それで言うと、昔はもっとめちゃくちゃだったと思う。気に食わないとすぐに「帰れ!」って言ってたし。ノリが悪いから帰したこともあると思う。でも、今はそんなことはないと俺は思ってます。どうなんだろ、これもお客さん次第だけど。

--「死因:無視」の歌詞などでも顕著ですけど、無視されたくない…もっと言えばわかってほしいという居場所のない人間の苦しみもバンドの表現しているものではある。とはいえ、実際に1対1で対話をするステージはお客さんにとってはヘヴィだと思いますよ。

伐:やっぱり萎縮しちゃう子もいるらしいんですよね。本当は言いたい事があるけど、気が弱くて言えないみたいな。だから、今まではちょっと反応が無かったらすぐに無視されたって思ってしまっていたけど、すぐにそう判断しないでそういう人達の事もちゃんと考えてあげないといけないなって思いました。今回SNSでいわゆる"炎上"をしている中で一番目についたのは、叩いている人の多くが「曲は良いのに」と言っていたことで。前の方で棒立ちしている人や俺が水吹いたりした人のなかにも、萎縮しちゃって意思表示ができかった人がいたのかって考えると、すごく申し訳ない気持ちになります。

--これはジェネレーションの問題だから、ここで議論することにあまり意味がないんだけど、かつては水を吹きかけられるなんて当たり前も当たり前ではあったんですよね。

伐:そうですね。だから、俺はもう過剰に水吹いたりするのは控えるかもしれません。なかにはガッカリする人がいるかもしれないけど、そうします。

--いや、水を吐くのは表現の一端でしかないから、ガッカリさせるようなことじゃない気がする。

伐:まさにそうで。別に水を吐きたくて吐いてるわけじゃないから。今回、いろいろなことを言われて、受け止めるものは受け止めなきゃいけないなと思ったんですけど、“音楽で勝負してないじゃん”って言われたことが一番引っかかったんですよ。勝負してない?してるよ、と。あぁ、ステージがパッと見て過激だと音楽してないと思われてるんだって感じて、ひとつスイッチが入ったというか。じゃあ水を吐かないから音楽を聴けよと。

--伐さんは無視することは人殺しと一緒だってずっと言ってますしね。

伐:それならしっかり音楽をやるから、そっちもちゃんと聴いてほしい。素直に聴いてください、何かしらの感情を向けてくださいっていうのが心からの想いです。ただただ無視されるのが嫌なので、意思表示が出来る人は、俺のことがウザいなとかムカつくとか思ったら好きなだけ攻撃してきてください。ライヴは戦いですから。俺が一方的に主張するのはフェアじゃないですしね。お客さんにもどんどん主張して来てほしいです。好きなら好き、嫌いなら嫌いって、その意思を伝えてください。

--やり方は多少変わるけど、つまるところ言ってることは変わらない。

伐:だと思います。まぁ。コロナとかもあったじゃないですか。そのあたりでできることが制限されてお客さんの感覚も変わっていったんだと思います。もともと普通だったものを普通だと感じられなくなってきている気がする。俺はずっと、自分が見て育ってきたヴィジュアル系らしいものをやり続けてるだけなんですけどね。これがヴィジュアル系なんだって気持ちでライヴをしているし、そう思ってる人がいるから、お客さんもたくさんついてきてくれてるんだとは思います。お客さんを跳ねのけたいわけでもないし、イキがりたいわけでもない。意思表示をしてほしい、ただそれだけ。

--当時の伐さんに声かけるならなんて言います?

伐:暴言吐く前に一度演奏止めて、ちゃんと会話しなって言いますね。

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