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【逹瑯】ソロ1stEP『奇怒哀落』&全国ツアーに向けて“ソロを語る”インタビュー実施!────「喜びの表現が今回のアルバムにはいらない」

MUCCの逹瑯(Vo)が9月9日、ソロでは初となる1stEP盤『奇怒哀落』をリリースする。人間が抱く“喜怒哀楽”の感情を“奇怒哀落”へと置き換え、こちらをテーマに書き下ろした新曲4曲と、TYPEごとにそれぞれ曲目を変えて浅草花劇場公演のライヴテイク3曲を収録した今作。逹瑯はどんな思いで、本作を制作したのか。2022年からスタートした逹瑯のソロワーク。本体であるMUCCで多忙ななか、なぜ彼はソロを続けているのか。ソロとMUCCの関係性などを改めて聞きながら、本作について、さらには全国ツアー<逹瑯 LIVE HOUSE TOUR[真人間]>、10月に開催するアコースティックツアー<逹瑯 ACOUSTIC TOUR [sing for you#2]>についてもたっぷり話を聞いた。



◆   ◆   ◆


ソロは俺にとっては試す場



────ごぶさたしております。インタビューさせていただくのは、MUCCの『シャングリラ』以来だから14年ぶりぐらいですね。

逹瑯 お久しぶりでございます。でもね、『シャングリラ』もそこまで昔な感じがしてないというか。もう、時間感覚がバグってんですよ。何が何年前なのかとか全然分かんない。過去の記憶だけないんですよ。“いま”しかないの。

────いましかないって、めちゃくちゃロックでカッコいい生き方してるじゃないですか。現在、逹瑯さんはMUCCとソロワークを展開中。昔からソロをやる自分というのは想像してたんですか?

逹瑯 してないですよ。「やんない?」っていわれても、自分だけでやるのは大変そうだから「やらない」ってずっといってたんだよ。

────そんななか、SATOちさん脱退やコロナ禍がきっかけとなってソロをやりだして。気づけばもう5年目。ソロをやって良かったですか?

逹瑯 良かったんじゃないですかね。良かったと思う。そもそも、ソロでどうなりたいかとか、想像してたものがなにもないから。でも、動き出すときは、なにをやるのかを考えてから動き出すんだけど。そこでやっていく内容っていうのも、結構そのときに自分がなにをしたいかっていうだけなんですよ。

────そこも、基準が“いま”なんですね。

逹瑯 そう。そうやって、日々やってきたものがソロって感じだから、ソロの目標っていうのはないんですよね。いまだに。

────ソロをやりだしてからも見えてこない?

逹瑯 ない。次にこういうことやってみたいなとか、こういう表現したいなとか、こういうライヴをやりたい、こういう曲作りたいっていうのはあるんだけど。どこどこでライヴをやりたいぜとか、こういうこと達成したいぜっていう野望的なものがないんだよ。良くも悪くも。

────例えば、MUCCではこういうことはできないからソロでやってみたい、みたいな気持ちは?

逹瑯 曲作りはなんかそういう感じかも。

────それ以外は? ヴォーカリストとしてとかステージパフォーマンスでこういう世界観を出してみたいとか。

逹瑯 そういうのはあんま変わんなくて。ただ作品の作り方ってことでいうと、MUCCだと全員で曲を持ち寄って作っていくけど。今回の作品は奇・怒・哀・落っていうものをテーマに、そこに曲を当て書きしてっていう作りなんですよ。こういう風に1つの大きな作品、テーマを掲げて作品を作りましょうっていうのは、ソロじゃないとできないかも。MUCCでそれをやろうと思ったら、全部自分で曲を書くか、あるいは、奇の曲は誰が作って哀の曲は誰が作ってっていう風に割り振ってやっていくしかないと思うから。それをやろうと思ったら、結構大変じゃないですか。

────そう思います。逹瑯さんのソロ活動を見ていて感じたんですけど。逹瑯さんは、コンセプトやテーマ、企画を掲げて、そこに向かって動くのが得意なんですね。

逹瑯 そういうのができるんだなって、途中から分かったの。ソロだと、自分で全部世界観を構築していくことが可能なんだっていうのに気づいたの。それだったら、テーマを決めて、そこに向かって曲を書いていったほうが楽しいかもしんないって。作詞とかも、そっちのほうがヒントがあって楽だし。

────タイアップや楽曲提供をするときも、なんでもいいっていうオーダーよりも具体的なテーマがあったほうが楽だってみなさんおっしゃいますもんね。

逹瑯 テーマがあると縛りがあるじゃん? 縛りはあるんだけど、そこに向かって考えていくっていうほうが、なんかパズルをしてるみたいで楽しいかな。俺は。

────ソロで、テーマを掲げて世界観を構築できるってことに気づいたのは、どのタイミングですか?

逹瑯 どの辺りだろう…。『MONOCHROME』(ソロ初のミニアルバム)からかな。ここでは(収録した)7曲を虹の色に分けて作っていったんだけど。面白くね? これ、ってなったのはそこがきっかけかな。それからは、思いついたことを試してきて。思いつきを試せる場かな。ソロは。

────「これ楽しそう」って思いついたことを試そうと、すぐに行動に移せる、実践できちゃうタイプなんですね。逹瑯さんは。

逹瑯 そうかな。

────ソロから少し話が逸れるんですけど、今年ヴィジュアル系ヴォーカル会を主催されてたじゃないですか。あれとかまさにそうだと思うんです。

逹瑯 あれは、YUKKE(MUCC/Ba)が毎年ベース会の写真をSNSに上げてて、その写真見て「楽しそうだな」と思って「やってみっか!」と思っただけで。あれも、思いつきですよ。

────思いつきで逹瑯さんが行動してくれたお陰で、いろんなバンドのヴォーカリストさんから「ヴォーカル会、楽しかった」というお話しをたくさん聞かされてました(微笑)。kyo(D’ERLANGER/Vo)さんも「行ってよかった」とおっしゃってましたしね。

逹瑯 あそこではね、kyoさんが本当にいいきっかけを作ってくれたんですよ。

────え、そうなんすか?

逹瑯 kyoさんが来てくれることになったことで、まずHYDEさんも参加してくれることになって、それでHYDEさんが来るとなると、いろんな先輩方も参加してくれることになって。本当にkyoさんのおかげでしたね。 次やるときは、いちばん最初に誘いたいと思っています。

────はははっ。実際kyoさんはあの会に参加してみて、挨拶に来てくれる若いバンドの子とかは全然分からなかったんだけどって。

逹瑯 俺も知らない人いたからね。

────でも、そのなかで顔は知ってたHAKUEI(PENICILLIN/Vo)さんと初めてしゃべることができたし、楽しかったとおっしゃってて。

逹瑯 へー、そうなんだ。

────逹瑯さんは、ヴィジュアル系の上下の世代を繋ぐ重要なキーマンになってるんだなと思ったんですよね。それを、今日伝えたかったんですよね。

逹瑯 じゃあ、今日はもうこれで終わりですね。

────いやいやいや。まだ作品のお話しを聞いてないですから。

逹瑯 でもね、別に(キーマンに)なって繋ごうと思ってやってるんじゃないんですけどね。

────逹瑯さんとしては、これやったら面白そうだなっていうだけのこと。

逹瑯 うん。楽しそうなことを計画するのは好きなんですよ。別に苦じゃないんです。よく「ヴォーカル会、大変だったでしょう」っていわれるんですけど。

────あれだけの人数を集めて場所を決めて、ですから。普通に考えて、相当大変だと思うんですけど。

逹瑯 でも俺、全然ああいうのは苦じゃないんですよ。

────そうなんですか?

逹瑯 誰かに「これやれ」っていわれてやると苦なんですよ。「面倒くさいな」って思うんですけど、自分で思いついてやる分には、まったく苦じゃないというか。1ミリも面倒くさいなって思わなくて。楽しみながらやってるんですよ。

────すごいですね。

逹瑯 それで、自分が計画した企画のなかで、みんなが楽しそうにしてるのを見るのが楽しいんで。俺は。だから、今日もそうやって「楽しかった」っていう話を聞けたのはすごくありがたいです。

────いえいえ。お伝えできて良かったです。逹瑯さんの自分発案で楽しいことを計画して、それを楽しみながら実行するというのは、自身のソロの創作にも繋がっている気がするのですが。そこはどうでしょうか。

逹瑯 そうかな? ソロは遊びとは違うんだけど。でも、このメンツでこういうことやったら楽しいかなっていうパズルは、それと近い脳みその使い方をしてる気がするな。これをするにはこういうパーツがあったほうが楽しそうだな、これがないと困りそうだなっていうのは、なんていうのかな。空間把握能力に近いんですけど。この空間になにがマッチするんだろうって。そこにピースをはめていくのが好きなのかも知れない。さっきの話でいったら、kyoさんを呼ぶにしてもkyoさんにも楽しんで欲しいから、それならどういう人に声をかけて集ってもらったら楽しんでもらえるかなっていう風に考えてく、かな。

────なるほど。じゃあソロの曲もこういう曲はもうあるから、こういう曲があったほうがさらに楽しめるなという組み立て方をしていく感じ?

逹瑯 そうかな。今回も、これまでライヴをいっぱいやってきて、「やっぱこういう曲はこれから絶対欲しいな」と思って、そこに向けて書いた曲があるからね。

────それはどの曲ですか?

逹瑯 2曲目の「St.Anger」。遅かれ早かれ、こういう激しいタイプの曲は作りたいなと思ってて、ライヴで欲しいなと思ったこのタイミングで作った感じですね。

────逹瑯さんのソロをやるモチベーションって「楽しいから」にあるんですかね。

逹瑯 モチベーションは……金?

────はははっ。冗談はさておき、MUCCも相変わらず忙しい訳で、それでも時間を削ってソロをやる意義ってなんだろうって思ったりしません?

逹瑯 そこは、単純に楽しいからやってるだけ。楽しくなかったらね、別にソロの方は絶対やんなきゃいけない訳じゃないんで。楽しくなかったらやんないんじゃないかな。だって、しんどいなって思いながらやりたくないもん。

────でも、本体のMUCCは楽しいだけじゃなくてしんどいときもありますよね?

逹瑯 うん。しんどいよ。楽しいときもたくさんあるけど、同じ分ぐらいしんどさはあるから。

────じゃないと、ステージであの悶々とうねるエネルギーは放出できないと思うんですよ。ソロではそこはどうなんでしょうか。

逹瑯 ソロはしんどいときはあんまないかな。スケジュールがきついなとか、ここは喉のコンディション整えなきゃいけないからっていうきつさはあるけど。メンタルにくるきつさはないかな。

────そこはMUCCとは明らかに違うんですね。

逹瑯 そうだね。でも、今回はMUCCの制作とソロの制作が続いてて。てか、クロスフェードするぐらい被ってて。まずソロの制作、作詞をパッと終わらせて。その勢いでMUCCの作詞もしたんですけど。作詞の脳みそって動き出すまでに結構時間がかかるんですよ。ソロの作詞で脳みそのストレッチがしっかり行き届いてる状態でMUCCの作品になだれ込めたから、すごくいい感じにMUCCの作詞も進められて。すごくWin-Winでやれたのがよかったなって。

────MUCCと明らかに違う部分もあれば、ソロのフィードバックがMUCCの活動にいい影響を与えているところもあると。

逹瑯 うん。だいぶある。めちゃめちゃある。ソロのほうでこういうことをやってたからMUCCのほうでもできるようになったこととかあるから。ソロは俺にとっては試す場だね。

────楽しみながらチャレンジできる場所ってことですか?

逹瑯 そう。MUCCに持ち込む前に、ソロで1回試してみて、良かったら、じゃあこれをMUCCでもやってみようかなってフィードバックすることとか、よくあるんで。

────フィードバックしたものを具体的にいうと?

逹瑯 ライヴのやりかたとか、歌う環境作りとか。

────なるほど。では、ここからは9月9日にリリースするソロ初のEP盤『奇怒哀落』について聞いていきたいと思います。ジャケットをピエロの絵にしたのは2曲目「St.Anger」の歌詞にピエロが出てくるからですか?

逹瑯 これね、歌詞が先かジャケットの打ち合わせが先だったか、覚えてないんですけど。奇怒哀落っていうものを表現するとき、奇怒哀落って目に見えないじゃないですか。見えないものの象徴としてピエロがいいなと思って。それも、すごくアンニュイな、なんともいえない表情で描いて欲しいってお願いしました。

────ジャケットなどのアートワークも、ソロはすべて自分発信なんですね。

逹瑯 MUCCに関しても基本、メンバー発信ですよ。

────テーマは喜怒哀楽からきてると思うんですが、喜を奇、楽を落に変えた理由は?

逹瑯 喜びの表現が今回のアルバムにはいらないやっていうのと、楽しいもちょっと違うなと。なんか、最後の締めはどん底までとにかくずっと、永遠に落ち続ける曲がいいと思っていたのでそうしました。

────このあとは、新曲について1曲ずつ質問していきますね。“奇”をテーマにした1曲目の「奇妙な果実」。こちらはどんな曲をオーダーしたのですか?

逹瑯 J-POPをやりたいなと思ってて。なおかつ、できれば「奇妙な果実」っていうタイトルにしたいって足立(房文/逹瑯のソロを支えるパートナー)にいって、当て書きしてもらって。

────タイトル先行の曲だったんですね。

逹瑯 そう。喜怒哀楽の喜が奇になったときに、なんともいえない奇妙な感じ。なんかこう、ここからどんな世界が始まるんだろうっていうワクワクする感じ。サーカス小屋みたいな。そういう奇妙な感じがいいなと思って。だけど、最初できあがった曲はちょっとそのイメージと違ってたんですよ。俺としては、槇原(敬之)さんの「Hungry Spider」とかサザン(オールスターズ)の「エロティカ・セブン EROTICA SEVEN」とか。ああいう感じの、なんともいえないアンニュイさが欲しいっていうのを再度オーダーして、あげてもらいました。

────アンニュイな妖しさはありつつも、メロディーはすごくキャッチーですよね。

逹瑯 それもあってロック的な表現じゃなくて、J-POP的な歌詞のキャッチーさが欲しい。ポップスにしたいなと思って歌詞は書きました。こういうキャッチーなメロディーじゃなかったら、“君が僕を好きになれば”みたいな歌詞は絶対書かないんで。そういうポップス的、J-POP的な表現を使って遊びましたね。

────ソロでは、1stシングル「エンドロール」からの3部作など、J-POPに対する意識はすごく高かったと思うんですが。逹瑯さんが思うJ-POPの魅力って?

逹瑯 メロディーに対する言葉のハマり方かな。

────そこが優れていると。

逹瑯 うん。すごいと思う。だから、キャッチーに聞こえる言葉、このフレーズがいいのよねとか、この曲ってここだよね、みたいな感じで、聴いてて気持ちいいところが残るんだと思う。

────メロに対する言葉のハマり方というところでいうと、過去作の話になるんですが、2ndシングル「残刻」のはめ方とか、すごいことになってましたが。

逹瑯 あの頃はまだそこまでの意識がいってなくて。あれはもうメロディーがクソみたいなメロディーで。足立がやりすぎてるんですよね。だから、言葉がキャッチーに聞こえるようにとか、そこまで考えられてないかな。

────話を再び「奇妙な果実」に戻して。こちらは聞え方はたしかにキャッチーなんだけど、なんかひっかかるっていう。 

逹瑯 癖はすごく欲しかったんです。「奇妙な果実」というタイトルにするには。だから、奇妙な歌にしました。キャッチーに聞こえるんだけど、ただのファンタジーなラブソングじゃなくて。ファンタジーなラブソングで進んでったんだけど、あれ? これ、登場人物の主人公じゃなくて、相手じゃねぇかっていう感じが欲しかったんですよ。どっちがヤバいんだ? ヤベぇやつはコイツじゃなくてあっちだったのかって。そういうところで遊べたかな。

────こういう風に2人の物語を考えていくのも楽しい訳ですか?

逹瑯 いや。何も考えないで過ごしていけるんだったら、そっちの方がいいんですけど。俺、基本的にはなにもしたくないんでね。本当は。でも、こういう感じの仕事なんで、せっかくやるんだったら面白いほうがいいかなっていうところですかね。

────なるほど。では、怒をテーマにした2曲目「St.Anger」。こちらはライヴで盛り上がる絵が見えるようなナンバーでした。

逹瑯 みんなで大騒ぎするような速い曲が欲しいと。

──── 一瞬MUCC? って思っちゃいました(微笑)。MUCCの得意技系の曲ですけど、いいんですか?

逹瑯 MUCCの得意技系の曲ではあるんですけど「作って」ってお願いして、上げてきたのは足立なんで。メロディーの感じとかはMUCCとは違うから。MUCCではできなかった感じができて、面白かったですね。

────メロディーラインとか、歌ってみると違うんですか?

逹瑯 全然違いますね。

────MUCCと被るような曲ははずそう、みたいな区別はないんですね。

逹瑯 最初は区別を考えて自分で曲も書いてたんですけど、ソロの途中からMUCCと並行して制作が進むときに、全部自分で書くのは無理だなと思って、足立とタッグを組んで。足立に曲のイメージを伝えて、オーダーして作ってもらうスタイルに変えたんですよね。そこから、曲に関してはディレクターみたいな立ち位置になって。こういう感じでって投げて、上がってきたものに対して「すごくこの部分はいいし、こういう感じ好きだからここでこういう風に進めようか」とか。「これはちょっと違うからもう1回書き直そう」とか。そういうやり取りをしながら曲をブラッシュアップして作っていくという風に変えたんで。そもそも、曲の作り方がMUCCとは違うんですよ。曲のスケッチを作る人も違うし。だから、区別はしなくて別にいいかなって感じになってきましたね。

────サウンドの部分で、MUCCとの線引きはなくなってきたと。

逹瑯 あ、でも基本的にソロではいまもシャウトはしたくないです。MUCCではやってるし、苦手とかではないんですけど、ミクスチャーの人らみたいに上手にコントロールできる訳じゃないから、喉への負担を軽くしながらやれないんですね。やっちゃうと他の歌に支障が出るから、ソロではあまりやりたくない。

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