【Sadie × DEZERT】ライヴレポート<Sadie presents「THE UNITED KILLERS 2026」>2026年9月22日(火・祝)Yokohama Bay Hall

5人組ロックバンドSadieが主催イベント『Sadie presents「THE UNITED KILLERS 2026」』を9月22日に神奈川県・Yokohama Bay Hallで開催。2024年10月の大阪BIGCAT以来2年ぶりとなるDEZERTとのツーマンで、集まったオーディエンスと共に、この日だからこその特別な夜を楽しんだ。
2024年に9年ぶりの復活を果たして以来、毎年9月に『THE UNITED KILLERS』の名のもとゲストアーティストを招いて対バンイベントを開催してきたSadie。今年は9月21日にMUCC、22日にDEZERTとのツーマン形式による2デイズが予定されていたが、21日は台風25号の接近のためやむなく延期となり、12月17日に振替公演が行われることに。演者、オーディエンス共に悔しさを残した中で行われた22日の公演は、DEZERTの先攻で幕を開けた。
◆ ◆ ◆
DEZERT
まずは「俺たちの特別な1日始めるぞ、横浜いいか!」と千秋(Vo)が号令をかけ、Miyako(G)の凶悪なギターリフで始まったのは、リリースされたばかりの新曲「Welcome To The End」。ヘヴィなビートに頭と身体を大きく振るオーディエンスを、千秋は「生きてるヤツは手あげろ!」と煽り立て、“終わるなら始めろ”と歌い叫ぶ。そんな重厚な最新作から続いた超定番曲「「君の子宮を触る」」で、千秋が“うまく言えないけれど……昨日の分も楽しみたーい!”と歌詞を歌い替えれば、お立ち台に上がった彼に向かってフロアは大合唱。「Welcome To The End」と同時リリースされた「TOXIC」でも、ダークにしてメロディックなサウンドを放つバンドと、容赦のない暴れっぷりを見せる客席とで、新曲とは思えぬ熱いエモーションの交歓を果たしていく。

序盤から最新型のDEZERTをきっちりアピールし、大歓声があがるなか、千秋は「SadieとDEZERTのツーマン、主役はあんたです。今日だけでもいい、明日に繋がるなら、とことんあんたの為に今日俺ら、命燃やします!」と宣誓。さらに「あんたらの声が必要なんだよ!」と叫び、フロアを“オイ!オイ!”の声で満たしたのは、SORA(Ds)のドラムが牽引する「「セイオン」」だ。パワフルかつ光を感じさせるロックチューンに乗せ、デスヴォイスとクリーンボーカルを交錯させながら“僕らが……主役だ!”と歌い上げた千秋は、暗転を挟んで疾走する「MONSTER」では“殺せ”と繰り返し、初期の2曲で光と闇の両極を体現。そのまま千秋がギターを抱えてからは4人で楽器セッションを繰り出し、緑色のライトが妖しくステージを照らすなか、Miyakoはステージ上を狂おしくうごめき、Sachhan(B)はお立ち台から野太いビートを放って、SORAはダイナミックにドラムを打ち込んでいく。ドゥームな空気をまき散らし、シームレスで雪崩れ込んだ「神経と重力」では、明滅するライティングに暗転で闇が差し込まれるドラマティックな照明演出、SORAの咆哮に、絶望的なほどに重苦しいプレイで“愛してほしい”という切実な想いを表出。現実離れした空気感を漂わせながら、彼らの楽曲にはいつだってリアルなメッセージが仕込まれているのだ。

「いつだって俺たちは狂人なんじゃねぇのか? 少数派なんじゃねぇのかよ! そいつらがカッコいいことやってるからカッコいいんじゃねぇか!」(千秋)と生ぬるいノリを叱咤しての「感染少女」からは、場内のテンションもグッと上昇。「「秘密」」に続くと千秋はペットボトルの水をかぶり、MiyakoとSacchanもステージ両端のお立ち台にそれぞれ立って、左右にモッシュするフロアを煽動していく。曲中、オーディエンス全員をしゃがませたままヘドバンさせるおなじみの演出では、前日に出演するはずだった先輩のMUCCをリスペクトして、千秋から「全員、死刑!」の号令も。さらに「ゴシック」では「笑顔じゃねーんだよ! 苦しい顔が見たいんだよ、この曲は! あとで笑顔にさせてやるからよ!」と煽り立て、水をまきまくったフロアを10分以上にわたりモッシュ&ジャンプさせたあげく、オーディエンスの無数の腕に支えられながら身を乗り出していく。また、彼に「そんなカッコつけたもん外してフロアに行ってこい!」と命令されたSacchanが、サングラスを外して客席に飛び込む場面も。その間も千秋が代わりにベースを弾くのだから強い。


地元の大阪にいた頃、人生で初めて行ったライブがSadieだったという経歴を持つ千秋。MCでは、今日のSadieのセットリストに自身の好きな「under the chaos」が入っていないと暴露して「ありえねーだろ!」とSadie愛をあふれさせた。「受験控えてて嫌だった、大阪MUSEに行った。楽しかった。金使った。今日はSadieから金もらってる、そんなヤツ俺しかいねぇだろ! 特別な日なんだよ!」と続けて拍手を浴びると、「今日俺ら、あんたの明日のために音楽やるから」と約束して贈ったラストソングは「TODAY」。今、生きている“今日”を肯定する壮大なナンバーに、オーディエンスはジッと耳を傾けながら飛び跳ね、ステージに向かって腕を伸ばしていった。そんなフロアの光景を、明るい光が照らし出して、千秋が歌う“生きててよかった”というリリックを目と耳でジワリと実感させていく。最後は「特別な1日を一緒にあなたと過ごせて良かったと思ってます、あとはSadieに任せよう!」(千秋)とバトンタッチ。敬愛する先輩の前だからこそ、遠慮のない全身全霊のステージングで、結成15周年を迎えたDEZERTの今=TODAYを示した。

Sadie
荘厳なSEを伴い、まるで異世界の住人のような出で立ちで現れたのは後攻のSadie。「行くぞ、横浜!」と真緒(Vo)が吠え、数多の後輩バンドたちがコピーしてきた代表曲「迷彩」でステージの幕があがると、フロアはあっという間に拳とヘッドバンギングの海となり、“曝け出せば問題はないだろう!”の合唱を贈る。それでも美月(G)は「声!」、真緒は「かかってこい!」とフロアを煽り立て、亜季(B)がお立ち台に上がって腕を波打たせるおなじみのプレイを繰り出せば、剣(G)はテクニカルなギターソロで鋭く切り込んで圧倒。クライマックスのブレイクでは大歓声が場内を満たし、景(Ds)のドラミングが炸裂するやフロント陣がバッと展開し轟音を放って、最後に真緒が咆哮をあげるという“これぞSadie”なパフォーマンスで場を席巻する。さらに、フロントの4人がセンターに集い、凶悪なギターリフから「Welcome to UNITED KILLERS! 横浜、全員でかかってこい!」と真緒が煽り、「心眼」を投下すればフロアは沸騰。へヴィな音像に飛び跳ね、振り上がった拳と声はメロディックな「Ice Romancer」でも止むことなく、Sadie特有の激しさと美しさに満ちた序盤3曲だけで凄まじい一体感を生み、大合唱を自然発生させた。

MCではMUCCが出演予定だった前日21日が台風で延期を余儀なくされ、対する22日が晴天になったことに真緒が触れて「MUCCにしろSadieにしろ“雨”がつく楽曲が多々あると思います。DEZERTさんは雨のつくタイトルは無いですよね? 僕がApple Musicで見た限りでは無かったです」とオーディエンスを笑わせる場面も。また「今年のテーマは、僕たちが復活してからお誘いいただいたアーティストにお返し……いや、仕返しをすること」と語り、2年前に大阪で開催されたDEZERTとのツーマンが、復活後一発目のイベントだったと回顧。そして「その借りを今日返したいと思いますので」と、翌9月23日にリリースされる11年ぶりの新曲「悪の花」をライブ初披露した。原曲を担当した剣のクリーンギターから始まるアッパーチューンは、メロディックな旋律と疾走感、ヘヴィネスと攻撃性、そして真緒の叫びとハイトーンに切なさと儚さを秘めたSadie節全開のナンバーで、公式YouTubeチャンネルではMVが既に40万回再生を突破。懐かしくも最新のサウンドにオーディエンスは勢いよく拳を突き上げ、身体を折りたたんで、11年かけてSadieが産み落とした進化の結晶に喜び震える。カットアウトで訪れた静寂に続いた「ドレス」も、重低音へヴィネスに美しいメロディを備え、復活後のリアレンジによりエモーショナルにアップデートを遂げた楽曲。活動休止中もそれぞれが積み重ねてきた経験は、今のSadieに大きな恩恵をもたらしている。


彼ら特有の重厚な世界観を存分に味わわせてからは「昨日ライブできなかったストレスをお前たちで晴らしてくれ!」と、アッパーかつきらびやかな楽曲でオーディエンスと楽しむターンへ。カラフルなライトでクラップとジャンプが弾ける「HOWLING」、ステージ上のメンバーも思いのままに躍動する「クライモア」に、なんと「Grieving the dead soul」では千秋が乱入! 剣と肩を組み、美月のマイクでシャウトコーラスを入れまくって、真緒に突然マイク向けられてもキッチリ歌いきってみせる。曲中、おなじみの「生きてるか!」の叫びを真緒が放つと、千秋は「生きてるぞ!」とリアクションして、正真正銘の“ファン”の力をステージ上からも注入。結果「サイコカルチャー」では5人のパフォーマンスもますますヒートアップし、ジャケットを脱いで鍛え上げられた背中を見せつけた真緒は、「お前たちの居場所はここだ!」と繰り返し叫んで、凄まじい肺活量で息の続く限り叫びあげる。そして「ラストいけるか!」と始まったのは、「迷彩」と共にSadie代表曲の一翼を担う「陽炎」。「お前たちの生きてる声、ここにぶつけてこい!」と号令をかければオーディエンスはドッと声をあげ、歌詞に合わせて拳と腕で舞う。爽快にして刹那が痛い疾走チューンに食らいつく彼らを、美月は持ち前のチャーミングなパフォーマンスで煽り、間奏ではセンターに身を乗り出した剣がギターを弾き倒して挑発。熱狂のフロアを亜季はジッと見つめて何かを確かめるように時おりうなずき、オーディエンスの合唱と共に真緒が歌い上げれば、そのすべてを最後方から景のたくましいドラミングが支えていく。幾星霜を経て完成された五角形。そこにオーディエンスの熱い声が加わる、その光景は感動的なまでに美しかった。


アンコールでは、真緒が「千秋がいきなり出てきて気が動転しちゃいました」と「Grieving the dead soul」での乱入が想定外であったことを明かし、今日のセットリストに関しても「俺の好きな曲、全然ないじゃないですか!」、「1曲目が「迷彩」はぬるい。置きに行ってる」といちゃもんを付けられたと暴露。さらに『THE UNITED KILLERS』の最後は、出演バンド皆でSadieの楽曲をやるのが恒例になっていると説明し、「この楽曲も千秋セレクトなんですよ」と千秋を呼び込んで始まったのは、初期からおなじみの煽り曲「妄想被虐性癖」だ。Sadieのフロント陣と共に後ろ向きで並んだ千秋は、真緒と肩を組んで身体を揺らし、マイクを握って歪んだデスヴォイスを放っていたものの、早々に客席へと姿を消して「千秋どこやねん!」(真緒)と探される始末。完全にキッズに戻った彼はオーディエンスと共に拳を振り上げ、その間、ステージではMiyakoが剣とツインギターを組み、代わりに美月はギターを下ろして煽りに専念し、SORAにドラムプレイを任せた景とSacchanはフロアにペットボトルの水を撒きまくる。亜季も珍しくマイクを持って叫び、真緒が水を噴きまくる狂乱の宴は実に15分以上にわたり続行。にもかかわらず「俺、あと1時間くらいいける!」と豪語した千秋に、真緒は「ぬるい曲やろう、最後」と急遽「迷彩」をリプレイすることを決める。突然ステージにあげられたファン状態の千秋は、楽しそうに叫び、歌い、頭を振って「生きてるか!」と叫ぶと、自分で「生きてます」と返答して1人2役。そんな彼に「よかった、そりゃよかった」と真緒が応える前代未聞の「迷彩」は、間違いなく、この日だけのスペシャルなものだった。
Sadieファンとして最高の夢を叶えて「俺、今日誕生日? 誕生日かな?」と戸惑う千秋を見送り、真緒は「最高に狂ったライブだったと思います」と、この日のステージを賞賛。「皆さんもすごく声が出てたし、すごく気合入ってました。改めて、UNDEAD界隈、ひまわり界隈の皆さま、ありがとうございました!」と、両バンドのファンクラブ名を借りて感謝する。自らを敬愛する後輩への温かな眼差しと、先輩としての懐の広さを示したSadieは、終演後、全18箇所20公演に及ぶツアー『THE BLEEDING BLACK MASS」の開催を発表。美月の誕生日である1月8日、彼の出身地である滋賀から始まる今ツアーは、前日に12月のリリースが告知された12年ぶりのアルバム『PANDRA』を携えて行われるものだという。さらに3月21日には結成22周年記念公演『DEVIL’S TABOO』を東京・Zepp Shinjukuで開催することも決定。復活から約3年を経て、いよいよ次なるフェーズへと進むSadieの新章が、今、幕開ける。
写真:Jun Tsuneda
文:Sana Harukawa
関連リンク
◆Sadie Official X https://x.com/Sadie__jp
◆DEZERT Official X https://x.com/DEZERT_OFFICIAL



