【ライヴレポート】アルルカン主催『束の世界-SONOSEKAI- 2026』にMUCC、DEZERT、キズ、甘い暴力が集結!仲間たちに誓った決意の夜◆2026年3月1日(日) EX THEATER ROPPONGI

2022年以来3度目となるアルルカン主催イベント「束の世界 -SONOSEKAI- 2026」が東京・EX THEATER ROPPONGIで開催された。アルルカンの呼びかけによって集結したのは、MUCC、DEZERT、キズ、甘い暴力という強力な布陣。現在のヴィジュアル系シーンの第一線に立つバンドたちであることはもちろん、それよりも重要な鍵はアルルカンとの関係性の深さだろう。チケットが即ソールドアウトしたのも、ラインナップの豪華さだけでなく、今日この場所で生まれる物語を目撃したいという期待の表れと言える。会場には、開演前から観客の熱がたちこめていた。
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甘い暴力
イベントの口火を切るのは甘い暴力。今年10周年を迎える実力者だが、本日のラインナップの中では唯一の後輩枠だ。「極悪な曲しかやんねえからな!」と闘志を燃やしながら登場した直後、ポップな「ちゅーしたい」で踊らせたかと思いきや、すぐに「仕切り直しや!!」とヘヴィな「スイート・ペイン・ロックンロール」を投下。彼ららしい悪戯心で、いきなりオーディエンスの心を掴んでみせる。

オラついたパフォーマンスを繰り広げつつ、アルルカン・暁(Vo)からのリクエストを踏まえて「普段の対バンじゃない、メッセージのあるライブをやってもいいですか」と咲(Vo)が語りかけた。甘い暴力は、2月15日にドラマー・啓の脱退を経て新体制となり、新曲「虎伏戦吼」をひっさげてのツアーをスタートさせたばかり。足を止めないことを選んだ彼らにも物語があり、激動のただ中で「束の世界 -SONOSEKAI- 2026」のステージに立っていることは大きな意味を持つはずだ。「舐めとったら血ィ見んどワレ!」というインパクト絶大なフレーズで威嚇する「虎伏戦吼」に、決して折れない牙が光る。
ラストは「暁からのリクエストの曲。対バンでは滅多にやんねえんだけど」と添えての「どうせ死ぬ」。力強いサウンドと歌から伝わってくるのは、「いつか終わりが来る」という重い現実から逃げずに向き合って初めて掴める希望があること。咲が「一番大嫌いな言葉を届けます。生きて、生きて、生きてください。大丈夫、どうせ死ぬから」と言い残し、ライブを締め括った。

キズ
二番手として、こちらも全国ツアー真っ只中のキズが現れた。カラフルなグラフィティで彩られたお立ち台に来夢(Vo)が君臨し、「R/E/D/」でスタート。シーンの先達への愛とリスペクトを込めたリリックが、「束の世界 -SONOSEKAI-」だからこその訴求力を持って会場を揺らした。きょうのすけ(Dr)の華やかなドラミングに後押しされ、reiki(G)とユエ(B)も前方に飛び出して重厚なサウンドを浴びせていく。アグレッシブなモードとともに確固たる安定感を感じるのは、ツアーを通してライブバンドとしての進化を遂げているからだろう。その進化を盟友のイベントで証明するのだという意気込みに満ち溢れている。

ピンスポットライトに照らされた来夢の歌で始まる「鬼」では、ラップからシャウト、のびやかなハイトーンまで多彩な表現を盛り込んだパフォーマンスが舞台のよう。reikiの鋭いギターリフからドラマチックに展開していく「地獄」など、激しくも美しいキズの世界に取り込まれていった。
攻撃の手を緩めないセットリストを叩きつけつつ、「アルルカン、呼んでくれてありがとう。久しぶりの対バン楽しいです。いいね、やっぱり」と笑顔を覗かせる来夢。ひと呼吸置いて、アコギの弾き語りから「黒い雨」を歌い始めた。優しいメロディに込められた悲痛な祈りの向こう側に、目を背けられない現実が浮かび上がる。彼らがこの曲を発表した2019年から、皮肉にも世界はますます混乱を極める一方だ。それでも歌い続ける、奏で続けるーーキズのブレない姿勢を示すエンディングだった。

DEZERT
続いては、幕張メッセイベントホールでのライブを間近に控えたDEZERT。アルルカンとキズ、DEZERTと言えば、過去に何度も共演を重ね、昨年8月のスリーマンライブ『VISUAL SCARLET』も記憶に新しい。それぞれの道を歩む中で、当然「前回と同じ」はあり得ない。キズがたゆまぬ進化を示したように、DEZERTは47都道府県ツアーという大きな経験値を積んで、2度目の「束の世界 -SONOSEKAI-」に臨んだ。

4人がステージに揃うやいなや、「俺たちとあんたの勝ち負けのない一本勝負です。いいですか!」と千秋が宣言。久しぶりにツインテールを結った頭を振り乱し、「「変身」」で一気にボルテージを上げていく。Miyakoの掻き鳴らすリフ、SORAとSacchanによる盤石なリズム隊のエネルギーも最初から全開。初期からのキラーチューン「「君の子宮を触る」」に続き、昨年発表された「「無修正。」」のダンサブルな爆発力も絶大で、オーディエンスのテンションは疲れ知らずどころか激しさを増す一方だ。中盤には、事前の対談でアルルカン・暁にリクエストされていた「神経と重力」を披露し、ダークな側面でも魅了した。
最後の1曲を前に、「バンドにはそれぞれの道があるから、あれこれ言うつもりはないけど……」と千秋がマイクを取る。「暁、5年後に武道館って言ったの、どこ行ってん! 忘れてへんぞ、俺は。ファンも忘れてへんぞ。やれよ。俺は見たいし、見たら頑張れるから。それで、また一緒に闘おう」。日本武道館ワンマンを経験した立場から発破を掛ける言葉のようだが、その奥にあるのは確かな愛と信頼だ。彼にしか言えない直球の激励とともに、決意の曲「TODAY」を贈った。DEZERT自身の背中を押してきたこの曲が、暁を始めとしたアルルカンのメンバーだけでなく、目の前のオーディエンス一人ひとりの心にも火を灯したに違いない。

MUCC
アルルカンにバトンを繋ぐ役割は、唯一の先輩枠・MUCCが担った。SEをかけずにゆっくりと姿を現し、静寂の中「不死鳥」の歌で始まるという意表を突いたオープニング。そのまま艶やかでジャジーなムードに誘うところは、これまでの3バンドとはまったく違うアプローチだ。逹瑯が「自由にいこうぜ!」と声をかけ、「G.G.」では軽快な4つ打ちビートで踊らせる。YUKKEのグルーヴィなベースラインとミヤの華麗なギターソロに加え、サポートキーボードの吉田トオルの音色と、この日が初サポートのドラマー・山内康雄のタイトなリズムが作り上げる豪華なアンサンブルに酔い痴れた。

「後輩ばっかりで、ダブちゃった先輩みたいな気分」と冗談めかして笑いを取りつつ、「日々、選択したことを積み重ねて、今この場で同じ時間を共有できているのはとても素敵なことだと思います。明日からもたくさんの選択を重ねた先に、またこうやってひとつの場所で楽しめたらいいなと思っています。そうやって、たくさんの選択をしてきた俺たちの曲です」と逹瑯が紹介し「Never Evergreen」へ。重ねた年月が生む切なさと眩しさに満ちた1曲が、アルルカンと「束の世界 -SONOSEKAI- 2026」への贈り物のように優しく響き渡った。
もちろん優しさだけが贈り物ではない。鉄板のキラーチューン「前へ」「蘭鋳」を連投して空気を切り替えると、フロアにはリフトやダイバーも続出。暴れ回るサウンドとオーディエンスのかけ算で狂乱のパーティ空間を作り出してみせた。逹瑯が「ラスト!」と煽ったところで終了予定時刻が来たらしく、「先輩が時間を押すわけにいかないから(笑)」と急遽1曲カットして撤収する事態に。この臨機応変な対応力もキャリアの賜物とばかりに、最後まで予想外の展開で湧かせたのだった。

アルルカン
四者四様に自らの信念とアルルカンへの愛を込めたライブが続き、十分に温まり切った会場。熱を引き継ぎ、ついに主催者・アルルカンが舞台に立つ。
勢いよく登場した來堵(G)、祥平(B)、奈緒(G)に続いて、ショッキングピンクの髪を逆立てた暁(Vo)がマイクを握り「今日、俺たちは流れを変えに来た!」と宣誓。そのまま「Eclipse」で爆音を解放し、さっそくヘッドバンギングの波を巻き起こす。フロアに食らいつくように歌う暁を始め、メンバー全員からいつもよりギラギラとしたオーラを感じるのは、4バンドの想いを余すところなく受け取ったからだろう。それは、主催者としての責任感というより、同じ時代に生きるバンドとしてのプライドと覚悟。その気迫はオーディエンスにも伝わり、狂騒のレベルがどんどん更新されていく。



「音楽やバンドやライブというものは、人生を変えてしまうような力を持っていると思います。僕にとって今日のイベントは本当に特別です。これが生前葬だったと言ってもいいくらい大切な1日になりました。人生の節目のような1日。この日を迎えるまで、やる気に満ち溢れている日もあれば、生ゴミのような日もあって、少しうまく生きられているなと思える日があったら、消えてしまいたいと思う日が来て……。そんな時に言葉をくれたり、胸倉をグッと掴んでくれるバンドがいて、苦しみもがき続けているところを見守ってくれるファンがいました。それに応えるべく、今胸を張って届けられるアルルカンの音楽を、アルルカンという生き物を、君たちにぶつけに来ました!」

暁がこう語った意思はセットリストにも表れていた。勝負の場としてこれまで鍛えてきたキラーチューンで固めることもできるところ、3月にリリースされるニューアルバム『imagine』からの未発表曲を2曲も盛り込んできたのだ。新曲を含めた最新型こそが最強かつベストである、という宣言に他ならない。
まず3曲目に披露された「DAWN」は、暁の歌から始まる叙情的なナンバー。來堵と奈緒のツインギターが織りなす緻密なアレンジに暁の激情溢れる歌が乗り、まさにDAWN=夜明けを思わせる1曲だった。
もう1曲の「AFTERMATH」は、一転してストレートな疾走感とポジティブなエネルギーが印象的なナンバー。祥平のエネルギッシュなベースに牽引され、スピードを上げて突き進むバンドの想いが漲っている。色は違えど、2曲ともオーディエンスをすぐに巻き込む力があり、初めて聴いた人が多いとは思えない盛り上がりを見せていた。否応なく、ニューアルバムへの期待が高まる。
「『束の世界-SONOSEKAI-』って呼びかけてもらうたびに、いつもの曲が違って聞こえたり、一つひとつにすごく愛を感じました。愛されてるなって感じました。生きてる実感さえあればいい。それが悔しさでも、惨めさでも、この自分の生き方を愛せれば、きっとその生き方は愛してもらえるんだって。俺は俺を肯定して今ここに立っています」

自分自身とともにこの場所に集まった全員を讃えた暁が、「全員まとめて、俺の愛すべきダメ人間だ!」と叫んで「ダメ人間」に突入。全力を出し尽くすバンドに対して、開演からずっと暴れ倒してきたオーディエンスも残りの体力をすべて使い切る勢いで挑んでいく。新曲の存在感も大きいが、長く演奏してきた代表曲の威力はやはりすさまじい。
熱狂のピークを迎えた会場を見渡し、甘い暴力、キズ、DEZERT、MUCCそれぞれに愛を持ってイジりながら感謝を伝える暁。さらに、ニューアルバムとツアーを告知したあと「その先の未来で、アルルカンとして武道館のステージに立とうと思っています。5年後は叶わなかったけど、必ずあの場所にワンマンで立ってみせます。取り消すつもりはありません」と決意を語った。落ち着いた口調には、かつて「5年後に武道館」と発言した頃の暁とは違う意思の強さが宿っている。彼はまっすぐ前を向き、未来を見据えて告げた。「2026年、アルルカンに改めて触れてみてほしいです。ただの音が、君たちに届く瞬間にアルルカンの力に変わります。君たちが受け取ってくれることを信じて、ラストの1曲、『束の世界-SONOSEKAI-』に捧げます」
渾身の想いを込め、最後に届けられたのは「世界の終わりと夜明け前」。メンバー4人がステージ際に並び、堂々としたシルエットが光の中に浮かび上がる。凛と響く暁の歌声と、壮大なサウンドスケープが会場を包み込んだ。終ってしまう名残惜しさを吹き飛ばすように、オーディエンスの大合唱が広がっていく。「照らせよ 束の世界を いつまでも」というアンセミックな一節に彩られ、晴れやかなフィナーレを迎えた。
……と思いきや、アンコールを呼ぶ声が鳴り止まず、急遽「ラズルダズル」をひっさげて再登場。暁が演説台を蹴り倒す暴れっぷりを見せ、メンバーもフロアも笑顔の大団円となった。
結成当時から独自のスタンスで活動してきたアルルカンは、紆余曲折の道の中でさまざまなバンドと出会い、いつしか多くの仲間に愛される存在になっていた。今夜、仲間たちとの絆を確かめあうことで、改めて自分たちが一つひとつ積み重ねてきた歴史を肯定できたに違いない。この場所を新たな出発点として、アルルカンはまた大きな第一歩を踏み出していく。
3月25日にリリースされるニューアルバム『imagine』でどんな世界を描くのか。そして、9月6日のZepp Haneda(TOKYO)まで続くロングツアーでどんな景色を見せてくれるのか。ベストを塗り替え続けるアルルカンの「今」を見逃さないでほしい。その先で、また
いつか『束の世界-SONOSEKAI-』の幕が開くことを願っている。
文:後藤寛子
写真:スズキコウヘイ
関連リンク
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【DEZERT OFFICIAL】
◆Official Site
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【甘い暴力 OFFICIAL】
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【キズ OFFICIAL】
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【アルルカン OFFICIAL】
◆Official Site
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