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【E.T】★インタビュー★今年結成15周年を迎えて、ニューアルバムのリリースとアニバーサリー公演を控えているE.Tをキャッチ!

モダンなヘヴィネスと洗練感を巧みに融合させた独創的な音楽性や、リスナーの共感を得る等身大の歌詞、高度な演奏力、非日常感のあるバンドイメージなどが折り重なって、ジャンルを超えた魅力を放つE.T。今夏にリリースが予定されている彼らの最新アルバム『Something left unfinished』は、あらゆる面にさらなる磨きがかかり、必聴と言える一作に仕上がっている。E.Tの本質に迫るべく、『Something left unfinished』を軸に様々なことを語ってもらった全員インタビューをお届けしよう。


◆   ◆   ◆


「Tribe」はわりと作為的と言いますか、アルバムのリード曲を目指して作った“狙いにいっている感”があります(一星)



────『Something left unfinished』を作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?

 僕たちはリリースに関係なく自分たちが本当に好きなものを作り続けていて、曲数が溜まったらアルバムになるという感じなんです。なので、今回のアルバムも、テーマなどはとくにありませんでした。ただ、曲を作るにあたってなるべく挑戦しようと思ったところはあって、前に作った曲のアプローチをちょっと進化させてみたり、今までやってこなかったことにトライしたりしています。前作のアルバム(『Between Sleeping and Waking』 / 2021.7.25リリース)のあともずっとそういうスタンスで曲作りをしてきて、それをまとめたのが今回の『Something left unfinished』というアルバムです。

一星 浩(Vo)が話したように、どういうアルバムにしようかというテーマはいつもないですね。1曲ごとに今回はこういう曲を作りたいというテーマはあって、アルバムはそれの寄せ集めみたいになってしまう。なので、『Something left unfinished』もアルバムとしての統一感はないと思います。

────そうでしょうか? 楽曲の幅広さがいい方向に出て、様々な表情を見せながらひとつの物語を紡いでいるような印象を受けました。

一星 そう感じていただけたなら、よかったです。

 一星(Ba)や將高(Gt)が作ってくれた曲であっても、僕が最後にそれをまとめ上げるというか、メロディーをつけたり、「この曲はこういう方向に持っていこう」と提案したりするんです。そういうところで、本当の意味でのバラバラにはならないんじゃないかなという気はしますね。

────どの曲もE.Tの世界になっていて、散漫さは感じません。『Something left unfinished』は良質な楽曲が揃っていますが、とくに印象の強い曲をそれぞれ挙げるとしたら?

 僕は、「moonlight」ですね。一星が書いた曲ですけど、「この曲はシティポップとメタルコアを融合させた“シティコア”にしよう」みたいな話から入っていったんです。それは意外となかったのではないかと感じて、新しいジャンルを生み出したと言うとちょっと大げさですが、新しいところにいけたんじゃないかなと思いますね。

一星 この曲はまさしく“シティコア”というテーマが先にあって、そこから曲作りを始めました。自分の中で、メタルとかラウドがE.Tのメインジャンルだということに変わりはありませんが、僕はそうではないものも普段から聴いているんです。ジャミロクワイだったり、邦楽ではSuchmosだったりも好きでよく聴いていて、ああいうオシャレな感じとヘヴィなサウンドを上手い具合にミックスして、ライヴでも軽く乗れるような曲を作りたいなとずっと思っていました。それを今回、自分的に納得いく形にはできたかなと思います。

────「moonlight」は“夜の都会感”を巧みに表現した上で、イントロやサビでメタルコアの象徴とも言えるブレイクダウンを“オシャレ要素”として使っていることに驚きました。

一星 そういうものになるように、かなり頑張りました。ヘヴィネスを押し出した曲であれば、サビとかはもうちょっとシンプルなバッキングでいいと思うんですよ。そのほうがライヴでも弾きやすいし。こんなに刻む必要はないけど、それだとよくある感じになってしまいそうだったんですよね。それで、ちょっと無理やりなところはあったけど、刻みながらコード進行を出すという形に持っていきました。

────無理やり感は全くなくて、ジャンルを超えた独自の魅力が生まれています。「moonlight」の歌詞についても話していただけますか。

 「moonlight」は大きく言うと、“自分らしく生きろ”ということを歌っています。それに、この曲もそうですが、僕は“雨はやがて止んで、空に虹がかかる”というようなことを総合的に言いがちなんです。自分たちは、苦節15年という感じで活動していますので(笑)。でも、自分たちを信じて続けているわけで、“雨が上がったあとに虹が見える景色を思い浮かべて頑張る”という思いが要所に出ているという感じですね。

▲Vocal.浩


────今作は歌詞の良さも光っています。陽気に“明るい未来を信じて頑張れ!”というような歌詞ではなく、痛みや苦しみなどに目を向けた上で前向きなメッセージを発しているため、響くものになっています。

 そう言っていただけると嬉しいです。なんて言うんだろう……生きていれば誰もがそうだと思いますが、大変なことも多いし、納得できないことも多いですよね。とはいえ、そういったことを受け入れて頑張るしかないし、なんとか現状を変えていく努力をするしかない。それを代弁しているわけではなくて、自分もそうなので、そのまま歌っているという感じです。

────聴いているリスナーに救いや癒しを与えることは間違いありません。

 だとしたら、いいなと思いますね。ちょっと英語が多過ぎたかなという気もしますが。

────ですが、極端に難しい英語ではないですし、英語で歌っていることを日本語でも歌っていたりしますので伝わると思います。一星さん、將高さんもとくに印象の強い曲を挙げていただけますか。

一星 僕は「Tribe」になりますね。この曲はわりと作為的と言いますか、アルバムのリード曲を目指して作った“狙いにいっている感”があります。

 “盛り上げたい!”に振り切った感じだよね?

一星 そう。もちろん僕の中にはシンプルに、「自分がこういう曲をやりたいよね」というエゴもありますが、「Tribe」はそういうことよりも「ライヴでこんなふうに盛り上がりたい」ということを重視して、置きにいったと言いますか。その上で、いいところに落とし込めたんじゃないかなと思います。

▲Bass.一星


────「Tribe」もハードネスを基調としながらサビや展開パートは美メロが配されているというコントラストが効いています。それに、この曲に限らず、E.Tはいいメロディが多いですね。

一星 メロディは全部、浩が考えているんです。

 作曲者からオケだけ投げられて、メロディは僕が考えるというパターン。メジャーシーンではメロディまで含めて作曲と言うと思いますけど、僕らはオケを作った人を作曲者としてクレジットしているんです。デモを渡された段階では、メロディは一音もないですね。

────おおっ! ということは、浩さんはメロディセンスが抜群にいいですね。

 いやいやいやっ!(笑)

一星 センス、いいですよね。僕らは本当に彼を信頼しています。

────さらに、「Tribe」もそうですが、浩さんはラップを多用されることも特色になっています。ラップも作曲者の意向などではなく、ご自身で……?

 勝手に入れています(笑)。僕は2回目のAメロをラップにすることが多いですね。今は時代的に、聴いている人が飽きてしまうものはあまりよろしくないなという印象がある。それで、この曲に限らず、いろんな面白さを入れたいなというのがあって、自分は欲張りだし、いろいろなジャンルから着想を得て、それぞれの曲に合うなと思うものを活かしています。

────エモく歌うシーンもあれば、怒涛のグロウルもあれば、繊細な歌唱あり、ラップもあるなど、多重人格者を思わせるヴォーカルを披露されています。

 僕は性格も多重人格っぽいんです(笑)。ヤバい人間なんです(笑)。歌に関してもいろいろやりたいというのがあって、出されてくる曲に求められるアプローチを考えた時に、もっとこうだな、もっとこうだな……となるんですよね。あとは、多少メンバーのスパルタもあって、「ここは、もっと低くいけない?」とか「もっとパワフルにいけないの?」というような声が出ると、それに応えるというのもあります。それは今回に限らず前からあって、いろいろブラッシュアップしてきて、今に至っているという感じです。

メタルから入って、あとからオシャレなものを勉強しました(將高)



────幅広さということではギターとベースも同様で、それぞれの楽曲に合わせて多彩なアプローチを見せています。

將高 ギターに関しては、一星さんはギターも弾けるので、デモの段階で8割くらい入っているんです。僕は上ものを再構築したり、ギターソロは任せてもらっているので考えるという感じですね。一星さんはルーツがメタルなので、カッコ良いリフを作るのは苦にならないんです。

一星 メタルはリフとかバッキングは基本的にユニゾンするジャンルなので、とくにアレンジとかはありませんが、ギターソロとか、リード系は將高に任せています。

將高 大体オケが静かになっていて、ここはクリーントーンでソロを弾いてほしいんだろうな……みたいな(笑)。

────そういったことを感じ取って、上もののギターやソロを考えるんですね。その話と関連しますが、E.Tは結成当初から音楽性の幅は広かったのでしょうか?

一星 激しいものと歌ものというのは最初から両方あって、その中からさらに枝分かれしてきた感じがありますね。とくに、最近はそれが顕著だと思います。

────枝分かれしていく中で、ギターもこういうプレイをしてほしい、もっとこうしてほしいといった声があって、それに応えてきたんですね?

將高 そう。もちろん苦手なものもありますけど、今のところはなんとかメンバーの要望に応えられているかなと思います。

一星 將高とは普段からよく音楽の話をしていて、メタルとかラウド系はもちろんお互い共通で好きですけど、それ以外にジャズとか、フュージョンといったジャンルの話も通じるんです。ジャズギタリストの話をしても將高は応えてくれるので、クリーントーンでちょっとジャズっぽいソロを弾いてほしいというようなことを頼んでも絶対に応えてくれるだろうと期待して投げています。

────將高さんのフレキシブルなプレイを聴かせていただいて、元々幅広いジャンルのプレイを追求されていて、むしろあとからヘヴィなテイストも指向するようになったタイプなのではと思いました。

將高 なるほど。いえ、ちゃんとメタルから入っています(笑)。

一同 ちゃんと!(笑)

將高 メタルから入って、あとからオシャレなものを勉強しました。

一星 將高は、誰よりもメタルが好きだと思います。

▲Guitar.將高


────メタル好きで、この懐の深さというのはさすがです。そして、ベースもヘヴィなユニゾンを軸としながらメロウなプレイや休符を活かしたグルーヴィなアプローチなど、幅広さが光っています。

一星 休符は意識していますね。この手のジャンルはユニゾンが多くて、グルーヴィなベースが出てくる場面というのは少なくなってしまいがちなので、意図的にそういうセクションを入れ込むようにしています。僕はファンクとかR&Bといったブラックミュージック的なベースが好きで、なるべく入れたいなと思うんですよ。そういうアプローチを優先して曲を作ることもあって、「moonlight」とかはまさにそうですね。自分のやりたいように構成しているというか、こういうベースを弾きたいから、こういうAメロにしようと作ったんです(笑)。

────それが、バンドにとっていい方向に出ていますね。E.Tはテクニカル集団という印象もありますが、かといってテクニックをひけらかすのではなく、効果的に活かしているのが絶妙です。

 そう思ってもらえるのは一番嬉しいですね。ひけらかしたいわけではないので。

────テクニックは、音楽をより洗練させるために使うパターンですよね。だいぶ遅くなってしまいましたが、將高さんも印象の強い曲を挙げていただけますか。

將高 僕は4~5年前にこのバンドに途中加入したんですけど、今作はより広がりが増えたなという印象がありますね。明るいロックの「Afterglow」とかは、最初に出てきた時にビックリしました。そういう意味で、印象が強いかな。

────「Afterglow」もヘヴィネスと洗練感をハイブリッドさせていますし、Bメロでタッピング(右手の指でギター/ベースの指板を叩いて音を出す奏法)を織り交ぜたフレーズをベースとギターでユニゾンされていて“おおっ!”と思いました。

一星 やってしまいました(笑)。「Afterglow」は、それこそおいしいものを全部並べてみようと思ったんです。僕の中では昔からミドルテンポの歌ものというのが一番E.Tらしいと思う部分なんですけど、そういう曲はテクニックとかは入れづらいじゃないですか。リンキン・パークみたいに楽器隊はわりと普通で、メロディアスなヴォーカルで引っ張っていくパターンが一般的ですよね。「Afterglow」は、そういう感じの曲なのに変態な要素がいっぱいある曲をやりたいなと思ったんです。そうなると、僕と將高が変態担当じゃないですか(笑)。それで、こういうBメロになりました(笑)。

 そこは、僕も気持ちが上がりました(笑)。「Afterglow」の歌詞は“一歩進んで、2歩下がる”だったり“人生は繰り返しだ”といったことを言っていて、“でも、自分はここにいる”ということや“自分が生きるためにはあなたの力も必要だし、自分もそれを返していける”ということを歌っています。

────この曲の歌詞も人間味に溢れていますね。

 そうですね。僕はわりと人間クサいことは、ずっと書いていると思います。人間好きなので。

────サウンドがソリッドかつラウドだったり、スタイリッシュでいながら歌詞は人間味に溢れていることもE.Tの魅力といえます。そして、皆さんが挙げてくださった曲以外にも“おっ!”と思う曲が並んでいまして、例えば「insecurity」はこの曲もBメロでブレイクダウンをオシャレ要素として使っていますし、モチーフになっている無機質なギターリフが楽曲の世界を深めていますね。

將高 あのリフはタッピングです。いわゆるギタリスト的なタッピングではないですよね。シンセっぽいというか。これも一星さんのデモに入っていて、それをちょっとギタリストっぽいニュアンスに寄せました。大変でしたけど、楽しかったです。

一星 このリフは、僕の中では効果音的なイメージでしたね。「insecurity」のAメロは繊細な雰囲気だけど、そういうシーンにもテクニカルな面を入れたいなと思ったんです。それで、テクニカルだけど効果音的みたいな、よくわからない感じを狙ったところ、將高が最適解で応えてくれました。

將高 楽曲の中の大きな要素だけど、主張し過ぎないという。一星さんの狙っているところは、すぐに理解できました。

 聴いていただいた「insecurity」はシングルとしてリリースされた時のトラックで、アルバムには再ミックスしたヴァージョンが収録されます。シングルの時はDEXCOREというバンドの架神(Vo)くんに、ミックスしてもらったんです。

一星 アルバムのほうはまだ投げている途中で、今日(4月のインタビュー時)は間に合わなかったんですが。

────アルバムヴァージョンも楽しみにさせていただきます。「insecurity」は“ビルが並ぶ街の中で俺は何を築き上げる”と自身に問いかけつつ、“自分は歌うことをやめない”と歌う歌詞も注目です。

 落ちているけど、希望を見つけたい……みたいな歌詞になっています。まあ、ナーバスな感情ですよね。

────浩さんは苦しみや痛みの多い人生でも“歌う”ということがあるために前向きになれるんですね。

 それは、間違いないです。

────生きる拠りどころを持っていることの大切さを改めて感じますし、E.Tを聴かれた方は、自分もそういうものを見つけようという気持ちになると思います。

 押しつけではなくて、それが自然に伝わってくれると嬉しいですね。聴いてくれた人に、ちょっとでも伝わるといいなと思います。


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