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【mitsu】◆スペシャルインタビュー◆11年を振り返って「今が最高」と言える。
7月21日(火)Spotify O-WESTでソロ11周年記念ライヴ《mitsu 11th Anniversary Challenge Live「天元自在」》で自らの現在地を示したmitsu。11年前、ν[NEU]の解散後たった一人で歩みだした彼であったが、ステージにいた彼はもう“ひとりじゃない”ということを多くのオーディエンスが目撃した一日となった。そんな彼と11周年ライヴを振り返りつつ、ソロ始動当時のことや最新曲「空白」をはじめとする3部作のこと、そして9月から始まる《mitsu XI Anniversary Challenge Tour「Fool's Parade」》のことまで、たっぷりと話を聞いた。
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すごく寂しがりの子どもみたいな感覚でやってきた1年だった
────先日の11周年(mitsu 11th Anniversary Challenge Live「天元自在」)素晴らしいライヴでした。去年が10周年という大きな区切りを迎えた年で、今年はそこから+1年を刻みましたが、11周年ライヴを終えてみていかがですか?
mitsu 10年目までは必死に”10年”という数字を目指してきて、ν[NEU]を復活させたことも全部そこに当てるように意識してやっていたんですけど、今年の11周年はそれがなくなって、本当の意味でソロ一本になった1年目のような気持ちでした。これまで周年ライヴは、年に一度自分にとっての一番の挑戦の日だと思って必死でやってきて、今回も“Challenge Live”と掲げて臨んだくらい気合いの入った日だったんです。
ただ今年を振り返ると、10周年が終わったことが大きかったと思うんですけど、なんていうか……余力があったんですね。今回もプレッシャーや必死さはあったものの、ライヴ当日に関しては、妙な安心感というか余裕があって。これが何だったんだろう?というのをライヴを経てから考えたときに、その要因がチームだったのかなって気づいたんです。
というのも、10周年のときに初めてソロ活動でのチームが完全に固まった感覚が得られて。これまでもそう思えるような瞬間はあったんですけど、それが続かなかったり、いろんな形で人員が変わったりすることが多くて。そこから今年の11周年って、昨年の10周年からさらに加わった新スタッフさんはいるものの、基本的には同じ会場・同じバンドメンバー・同じスタッフチームでできたんです。その中で、これからもこのメンバーで続いていくんだなという気持ちが自然と芽生えたことが安心につながって、余力が生まれたのかなと自分では思っています。
もちろん当たり前なんてものはないので、このチームでやれてること自体は奇跡だと思っているし、約束されたものはないんですけど、でも、できるかな?と思いながら必死に走っていた過去とは違って、希望があるというか。きっとこのメンバーでまた今後もできるだろうという未来を見せてくれたライヴだったと思うんです。会場では今後の予定の発表もあったんですけど、来てくれた皆さんに先を見せたかったし、それと同時に自分もそれを見たかったので、それも含めてすごくいいライヴだったなと自分でも実感できました。
────バンドの結束がより強くなったキッカケはあったんでしょうか。
mitsu ありましたね。10周年の手前ぐらいから、全ライヴでメンバーと打ち上げをしてるんですよ。古い形なんですけど。ある時から「メンバーといる時間を増やしたいな」と思って。でも、それは打算的にやっているわけではなく、ただただ彼らと一緒にいたいという感覚が膨らんでいったんですよね。ミュージシャンたちなので、他愛もない話をしながらも、結局は音楽の話につながってくることが多くて楽しいんですよ。
ライヴでいうと、10周年でやりきったなっていう部分と、自分の誕生日のワンマン、あとは3月2日に”みつの日”っていうのをやったんですけど、この”みつの日”に、自分の中で家族感みたいなものをすごく感じた瞬間があったんですね。これが具体的に何かって言われるとまだ言語化しづらいんですけど……俺、スマホのケースとかに何か入れたりしないタイプなんですけど、その日メンバー5人で撮ったチェキを入れてるんですよ。
────それはエモいですね!
mitsu もともとは物販のくじの当たりのために5人で撮ったんですけど、その時に「俺も欲しいからプラスで1枚ちょうだい」と言ったら、メンバーが「俺らも欲しい」って言ってくれて、みんなの分も含めて10枚も撮ったんです(笑)。
自分はサポートをお願いしている側なので、“サポート陣”という意識はもちろん持ちつつも、彼らもこの現場をやりたくてやってくれてるんだという気持ちをその時に明確に感じたし、みんなにとっての居場所も作れてるんだと思えて、そのあたりから信頼関係がより強固なものになった気がしますね。
────サポートの皆さんからしても、スポット的なサポートではなく、“mitsuバンド”の一員であるという気持ちが強くなっていった期間であったのかもしれないですね。
mitsu そうかもしれないですね。自分はソロなので、打ち上げとかでいろんなアーティストの方と絡むことが多い中で「最高の楽器陣だよ」ってメンバーを紹介するんですよ。それがキッカケでサポート陣の別の現場が増えていったり、違う現場で得た経験をまた持ち帰ってきてくれたりで……そうするとメンバーが他の現場から“帰ってきた”みたいな感覚もやっぱりあって。このメンバーってやっぱりすごいなと改めて思うことも多くて、彼らに対するリスペクトの気持ちがどんどん強くなっています。
だから本当にこの1年間、変な言い方ですけど、悪い部分がなかったんですよね。10周年までが目標の山を登っていたとするなら、この1年間は未来に対する疑いや不安が取り除かれていって、ピュアに音楽ができた時間だったなと思っています。
────サポートの皆さんといい関係性がどんどん築けている感じがしますね。
mitsu 本当に、今回の11周年はとくにその感覚があったというか。10周年まではソロを自分のためにやる感覚がすごく大きかったんですけど、10周年を超えてからは、このメンバーとファンの子たちとこの先の10年をやっていくためには何が必要か?ということをずっと考えてて。それはなんでかというと、シンプルにこれからもみんなにいてほしいと思えたから。立派に聞こえるんですけど、すごく寂しがりの子どもみたいな感覚でやってきた1年だったんですよね。
────去年は、年始からν[NEU]の完結があって、それがソロの10周年と重なった年でした。思いとしてもいろんなものがあったのではと思うのですが、今年と去年の周年ではどのような面での違いが大きかったですか?
mitsu ν[NEU]の活動を終えるタイミングはもう3〜4年前から視野に入れていて、ちょうど10周年の前にν[NEU]を完結させてあって、その後にソロ一本で行く感覚でいました。でも11周年を経て、10周年の時はまだν[NEU]に頼っていたことに気づいたんです。なので本当の意味でソロとして自立をした感覚があったのが、今年の11周年なんですよね。
今もν[NEU]の楽曲を歌ってはいるんですけど、前まではどうしてもν[NEU]をキッカケにまた来てくれた皆さんも視野に入れて、そこに向けてやっている感覚があったんです。
だけど今年はどちらかというと、ソロの方にν[NEU]のエッセンスが入ってただけで、きちんとソロの舞台であったというか。ソロ一本に絞れた感覚が強かったことが違いとして大きいですね。こういう面の話はメンバーともずっとしてきて、楽曲のアレンジや楽曲の差し込み方とかも「もっとν[NEU]の時とは違う形でmitsuのものにしないと、それが表現できないよね?」みたいな会話を、音を出しながら何度も重ねました。これからν[NEU]のメンバーそれぞれが違ったやり方でν[NEU]を背負っていく中で、自分はこの形で背負っていくという方向性が定まったライヴだったと思います。
なので、自分的には11周年のライヴで得たものがかなり大きくて。去年までと同じライヴをしていたら、ここから先の10年は見えなかったと思うんです。なぜかというと、さっきも言ったように他のものに頼っていたから。でも今回は、ソロのmitsuという看板だけで地に足をつけてステージに立って歌えた。何かに頼らず、武器を持ったりもせず、mitsuという等身大の自分だけで、O-WESTをやれたという手応えを実感できました。これまでファンの子とかも「mitsuはそのままで大丈夫なんだよ」って言ってくれてたはずなのに、自分がそれを信じきれてなかった部分があった。振り返ると、10周年も本当に良かったんですけど、今回はさらにポジティブだったなという感覚がありましたね。
────ソロとして歩み始めた11年前、当時はどんな気持ちでソロとしてスタートしたかを覚えていらっしゃいますか?
mitsu 当時は、本当はソロをやりたくなかったんですよね。ただ、歌わないともう俺は死ぬな、生きられないなという感覚があって、精神的にもおかしくなっていたんです。その頃に、ν[NEU]時代の後半でお世話になったある関係者の方が無理やりライヴを組んでくれたんです。「お前はステージに戻らないと危ない」って、その日の夜にそのまま会場を押さえられたんですよ。
楽曲もないしメンバーもいないしで困惑したんですけど、でも「やるしかなくなっただろ」って言われて。それで始めたのがキッカケだったんですけど。そこから2ヶ月ですね。必死にできることをやって、オリジナルの楽曲は「For Myself」だけを準備して、あとはこれまでの楽曲とかカバーとかも入れたんです。
────年末にν[NEU]が解散したあと、こんなにも早くmitsuさんに再会できるとは、ファンの皆さんにとっては嬉しい予想外だったと思います。ただ、そんなに大変な状況だったんですね。ステージに立つmitsuさんは、とてもそんなふうには見えなかったと記憶しています。
mitsu 当時アメブロがあったんですけど「これは1のスタートじゃなく、マイナスを0にするためのスタートだ」って話をしたんですよ。本当にその時は自分を自分で支えられなかったので、人前に出れるような状況でもなくて、今思い出しても目も当てられない様子だったんですけど。最初にライヴをやったのが7月で、その後の11月11日にO-WESTやってるんですね。だから、そういう意味では正式に1だったのはあのO-WESTの一発目だったのかなって感覚もあって、始動ライヴはまだマイナスから再生の段階だったんです。
ν[NEU]は“希望”がコンセプトのバンドだったんですけど、自分のソロは“絶望”というコンセプトから始まったものでした。ただ始動のステージにも、今もサポートしてくれている夢時さん(Gt)はいてくれたんですよね。
────今回の11周年ではソロの始まりの曲「For Myself」を最後にやりませんでしたね。
mitsu 「For Myself」を最後にやらなかったワンマンは、11年間で初めてなんですよ。これまでは絶対にあの曲で終わってきたので、言うなれば、始動ライヴからすがってきたものだと思います。“すがってきたもの”でしか終われない自分だったんです。それを今回初めて手放せたことで、過去の暗かったものをいい思い出として昇華できたというか。過去をずっと見るんじゃなくて、未来を見ていくものにしようという意味で、捨てるわけじゃなくしまっておけた。そんなメッセージに今回は変換できたかなと思うんですね。
────ここからがmitsu第二章みたいな、そんな雰囲気ですね。
mitsu 本当に自分はその感覚が強くて。そうなったのもそうですけど、そうしたかったって感覚が大きいです。自分は11月11日に生まれていて、平成11年11月11日で11歳になったんです。それもその時住んでいたマンションが11階で。“11”ってすごく自分の中のラッキーナンバーだなって思ってたんですね。なので11年目はすごい楽しい時にしたいって1年ぐらい前から言ってたんです。特別な年にしたいと。
それで気づいたら、今回のO-WESTは自分にとっていい意味での転換期になったなと思える時間だったので、本当に恵まれてるなと。これは自分がやったわけじゃなくて、メンバーとかチームとか来てくれた皆さんとかにプレゼントしてもらったものなので、ありがたくちゃんと受け取って、次に持っていきたいという感覚です。
────11年を振り返って今が一番状態としてはいいのでしょうか?
mitsu 最高です。これは自分の実感としてもそうですし、メンバーにも「mitsuくん今までで一番いいね」って言われてて。こんなに良くていいのかな?って逆に不安になるくらい。それはチームもそうだし、ファンの子に対してマジで思うんですよね。なので、自信を持ってFCを発足できたりとか。3周年ぐらいの頃に行って以来やってこなかったワンマンツアーを発表したりとか。無理して登って目標にチャレンジしていこうというよりは“できるっしょ”みたいな。それは成功するしないとかじゃなくて、失敗はないだろうぐらいの感覚でいられてるというか。どう転んだって全部mitsuのためになるもんね、みたいな気持ちでやれてますね。
────そうそう、最近FCも開設されましたよね。
mitsu SNS以上に素の自分を発信したいと思ってFCを開設したんです。最近、思っていた以上にこんな人もSNSを見てくれてたんだと実感することが多くなって、これまでよりさらに言葉を大事にしないとなと思うことが増えて。その時からすごく発信に気を使うようになって、なんでもかんでも出すというのをやりたくなくなったんですよね。
ただ、誰が見ても大丈夫な言葉を使いたいと思う一方で、これって個人の受け取り方だよなと感じることもあって。そのままの言葉でこれを言ったらこう思われちゃうかも?みたいな不安や疑いを抜きにして、信じるベースで受け取ってくれる人たちだけの場所だったら、さらに違う言葉遣いをするのかな?っていう自分を見てみたかったのが大きいんです。棲み分けというよりは、リビングと寝室を分けるみたいに、用途が違う場所をただただ用意したかった。だから入会してくれたら嬉しいんですけど、誰彼構わず入ってこなくて大丈夫っていう気持ちもあって。おこがましいかもしれないですけど、そういう自分も本当なので、これができる方法ってなんだろうと考えたら、FCだと思ったんですよね。その時その時のやってみたいことを、いきなり豪華なものにするんじゃなくて、手作りの子ども部屋みたいに始められたらと思っています。
────手作りの子ども部屋って、すごく安心感が伝わる例えですね。今のいい状態のmitsuさんを、11年前のソロで歩み始めた当時のmitsuさんから見て、どう見えると思いますか?
mitsu いやー、嘘みたいです。バンドに憧れてバンドをやってきて、一番短い在籍で2年半、ν[NEU]で5年半が最長だったので、全部を足しても足りないぐらいソロが長くなっていて。でも自分が本当に欲しかったのは、バンドという形式だったんです。だけどそれを手放した先で一番欲しいものが来たみたいな。
バンドをやろうと思っていた時には今のバンドの感覚は得られなかったよなって思った時に、自分は結婚したことがないんでわからないんですけど、結婚したいから相手を探すんじゃなくて、気づいたらこの人と一緒にいた、みたいな感覚に近いのかな?っていうのは思っていて。今がそんな感覚にすごく近いというか。なので、あの頃の自分からよく諦めずにここまでやったねって感じなんですけど。
────11年前は絶望から始まったとおっしゃっていたのですが、今のmitsuさんはすごくイキイキしていらっしゃいますよね。逆に、今のmitsuさんがソロ始動当時のmitsuさんに会えるとしたら、なんて声をかけてあげたいですか?
mitsu 「信じな」ですかね。それしかないかな。信じられなかった。全ての出来事を大きく捉えるとほぼそれだけだと思うんです。何か新しいことをやろうとするときに、疑いでできなかったり、今の自分がダメなんじゃないかって疑ってしまったり、誰かとの関係を疑ってしまったり、世の中の物事の景色の綺麗なものさえも疑ってしまったり……全部が“疑い”から崩れていくような気がしていて。
その“信じる”って言葉さえも、そうは言っても難しいよねって絶対みんな言うじゃないですか。でも信じた先でしか見えない色味があるというか、同じものでも色が違って見えるということを信じてほしいっていうか。歌じゃなくたって別に生きていりゃどんな生活でもよかったはずなんですけど、この人生を信じてみるっていうことが、全てにおいて変わっていったキッカケなのかなって思うんです。
────今のお話の中の“信じる”ということとか、“手放し”ということをまさに歌っているのが、今年5月に公開された楽曲「空白」なのかなというふうに感じたんですけど、「空白」はどのような思いを込めた楽曲なのでしょうか。
mitsu 前作の「水深」から「空白」を出すまでには2年かかったんですけど、実は制作自体は前作のリリースの約1年後には終わっていました。3部作1作目の「水深」は、“理想の自分”と“過去の自分”という架空のものを自分の中で作り上げて、その二人の自分の狭間で動けなくなって息ができなくなってしまう、そんな状態を描いた作品でした。
そして2作目の「空白」は、そんな自分を手放す。ざっくり言うと過去を許すということですかね。過去の感情も今の感情も全てを許す、すなわち受け入れる。あの頃の自分だって間違ってなかったよね、みたいな。そういう気持ちになった時に初めて、ゼロになる、真っ白になる、一つになる……というコンセプトを作品に昇華したいと考えて作りました。
────なんだか11周年ライヴともリンクしますね。
mitsu 「空白」は、本当は去年末にはもう出すつもりでいたんですけど、妥協せずにやっていたら11周年の前になったんです。ただ、本当に不思議なもので、これを出すなら絶対に11周年の時だったよなって思うんです。このタイミング以外なかっただろって、振り返ると思って。何かにすがりながらやってきたこれまでの総決算が10周年、その後ソロ一本になった11周年は、そのままこの「空白」のテーマ通りだったなって思うんですよね。
なので、自分の中では「空白」というタイトルは、初めて自分自身が“無”になる。この”無”というものを表現したかったんですよね。持たざるものというか。歩き出すスタートの感覚を描くために作った。そうなると、みんな最初に0を描きたくなると思うんです。自分もそうだったんですけど。でも、生きていく中で完全に0の状態になることって絶対にないと思うんですよね。じゃあそれって何から描かなきゃいけないんだとなった時に、これまでの自分、さっきのソロが始動したときの話じゃないですけど、”0以前”の状態があって初めて0という地点を定められると思ったんです。例えるなら紀元前みたいな。なので今回、自分にとっての真っ白の中心点みたいなところを描きたかったのが「空白」でした。
────「空白」は3部作の2作目ですが、3作目の完成は見えているのでしょうか?
mitsu いや、全く見えてないんです(笑)。というのも、本当の意味で0になれたのが今回の11周年だったんですよね。アーティストとしてはあまりいいことじゃないかもしれないんですけど、あんまり焦ってなくて。急いで作ったものにもう自分は血が通わないんですよね。なので、作品を作るミュージシャンではあるんですけど、アーティストになったという自覚を持ってからは、自分の作品と言えないものはもういらないし出したくないんです。それは期待を裏切ることにもなるし、自分自身を疑うことにもなるので。なので、本当に自分の中から溢れ出した源泉をすくっていくことを先にしたいので、まだ全然見えていないです。
ただ方向性だけは決めていて、次の3作目「輪郭(仮)」は、ゼロになった時に自分に色が入る。これは自分が歩いた道だろうが見た景色だろうが出会った人だろうが、結局他者との接地面だと思ってるんですよ。例えば月を見てきれいだと思った感覚は、月があったからこそだったり。何かがあったから生まれる感情。これが自分にとっての「1」かなと思ったときに、マイナスから書いて0になって1になるっていうのは、最初から構成として考えていたんです。この「輪郭(仮)」というタイトルは「空白」の前にも決めていたんですけど、次は“自分を形成したもの”をテーマとして描きたいなと思っていて。
これが人なのか何なのかは現時点で全く見えていないんですけど。それさえもフラットに0になって、自分って何なんだろう?自分ってどうやってできてるんだろう?mitsuとは何だろう?みたいなものを考えた時に浮かんできた存在を落とし込んで、3部作を作れたときに初めてmitsuと名付けたものが完成すると思うんですよ。その3部作の先はまだわからないです。その先のあるなしを自分でも決めてないし考えてもいなくて、その時の感覚に従うだけだなと。
────先ほど11周年ライヴで得たものはすごく大きかったとおっしゃったんですけど、この3作目の制作には影響を与えそうですか?
mitsu そう思いますね。結局自分はライヴが一番好きで、自分にとっての日常ってライヴを軸に生活をしてるんで、次のライヴがいつだ、じゃあそれまでどういう風な過ごし方をしていく、っていうことを10年近くやってきたので。ライヴで得たものを日常で持ちながら、日常で感じたものを形にしていくということが自分のサイクルになっています。だから、11周年のステージから見えたファンのみんなの顔や、仲間たちと交わした言葉も作品に色濃く反映される気がしてるんです。ただ自分のためにやるのはそうでありつつ、「For Myself」を誰かのために歌ったように、作品が結果的に誰かの息をしやすくなるようなものになったら嬉しいなという気持ちもあって。その思いは置いておいて、ただただ100%パーセント自分のためだけに生み落とした方がいいのかは、これから自分と対話していきたいなと思っています。
────それで言うと、1作目の「水深」ってすごく内省的だと思ったのですが、2作目の「空白」では“僕ら”という他者の存在が出てきたなって思ったんですよね。
mitsu 「空白」に出てくる“僕ら”って「水深」の時のもう一人の自分なんです。「水深」の時は、自分から離れて存在している二人目の自分。理想の自分と現状の自分と二人存在しちゃってるんですよね。この二人が存在してしまうことをすごく孤独だと感じていて。なぜかというと、同じもののはずなのに一つになれないから。例えば、近い存在の誰かがいたとしても、その人といるときに感じる孤独ってあるじゃないですか。人といるのに一人よりもなんでこんなに孤独なんだろうみたいな。その状態を描きたかったんですね。で、その二人の自分が「空白」では一つになったんですよ。なので、二人の自分が“僕ら”として手をつないでる感覚なんですよね。
────なるほど、他者でなく“二人の自分”だったんですね。
mitsu そう、この二人いた自分を受け入れて、自分の中にどっちもいていいよっていう感覚になった時に初めて一つになった感覚なんですよ。だから、どっちかというと精神的なほうの僕ら。全部は一つだし、一つは全部だしみたいな考えに近いかもしれないです。
────すごく哲学的な考えですよね。
mitsu 歌うときには一人じゃないので、歌詞では自分だけのことを書きたいんですけど、歌として発して口から出た時には、受け取ってくれる人を置いていきたくないという感覚もすごくあって……わがままでなので。“僕ら”っていう言葉って、歌う自分自身にも、受け取ってくれる人にもちゃんと伝えられるなって思う言葉なんです。「ラストヒーロー」という曲でもそういう表現を使っていて、自分の好きな表現なのかなと思うんですけど。
────そういう意味が“僕ら”という言葉には込められていたんですね。あと「水深」もそうですが「空白」のMVを見た時に、自然の存在というのをすごく感じたんですね。炎、雨、草花、空、土などの自然から壮大さや力強さを感じて、そういう存在も自分の一部だよねみたいな感覚になったんですけど、映像作品として“自然”は意識したテーマなんでしょうか。
mitsu はい。生命っていう感覚に近いというか。今回の11周年ライヴの「天元自在」というタイトルは、もともと五行(火・水・木・金・土)を意識しています。生命っていうのは呼吸や成長のように似た部分がありますよね。喜怒哀楽みたいな感情的な部分でも、人間と自然ってリンクするものが多いなと思ったんです。自分が歌詞を書くときに「潜る」っていう表現を昔からしていたんですけど、水が近いところで書くことがすごく多かったり。自分の命をテーマに書いた時って、そこに絶対に自然があったんですよね。
前作の「水深」が水で「空白」は火だったんですけど、今回は、火だけは絶対に使える場所にして欲しいとリクエストして。奇しくも雨が降ってきたのですが、それもおもしろいなと楽しみながら撮っていました。
────あの雨は、降りそうな時を狙ったのか、それともたまたま降ってきたのかどっちだったんですか?
mitsu もう完全にたまたまです。火は雨が降ると使えないですし、ドローンも飛ばしていたので、雨は基本ダメなんですよね。なのでリスケも考慮してたんですけど、俺はこのチームのメンバー全員揃ってでしかやれないから、タイミング的にも絶対にこの日にやる。それで撮れるものだけでもいいからやりたいっていう話をして。
前作で水を使って撮ってくれたチームだったので「じゃあ頑張りましょう!」ってやったら、本当にいい塩梅で火と水が混ざる日に撮れたんですよね。実際に火を燃やしながらも雨は降っていたし、晴れていた瞬間もあれば台風ぐらい降った瞬間もあったので、本当に自然に恵まれてたなっていう。チームのみんなも口を揃えてそう言っていました。
────神がかってますよね。タイミングというか。
mitsu 本当に。そうやって自分で言うと嘘くさいんですけど、まさにそんな感覚でしたね。
────このお話を聞いた上で、またMVを見るとさらに味わい深くなりそうですね。あとは9月からmitsu XI Anniversary Challenge Tour「Fool's Parade」が始まります。このツアー名に込めた思いを教えていただけますか?
mitsu 直訳的な部分で言うと愚か者とか無謀という意味合い。これをまず先につけたかったんですよね。タロットの“THE FOOL(愚者)”とかがわかりやすいんですけど、何も持ってないんですよね。本当に手荷物一つぐらいで、あっけらかんとしていて。
自分がツアーというものを何年もやらなかった理由っていうのは、mitsuを存続させるために今できる裁量がこれだと思って封印していたんです。ただ、ずっとツアーはやりたかった。ライヴが好きなのにできない。やるべきじゃない。その状態をずっと抱えたまま気づいたら10年経っていて、それまでの判断はやっぱり正解だったなとは思うんです。これからも正解かもしれない。でもやる。ここに愚かさがあるんです。10年続けられたからこそ、恐れを手放していける身軽な自分でいたいというのをテーマに“Fool”というワードをつけたかったんですね。
そうなった時に誰と行くかって周りを見渡すと、今のmitsuバンドのメンバーもみんな同じような人たちだなって思ったんです。これは褒め言葉として、みんな音楽バカだな。いいなって思ったんですよ。変な話なんですけど、うちのメンバーって機材が超少ないんです。それが自分の中で衝撃的で。ν[NEU]でデビューした時は大きな機材や同期が常に必要だったのに、極論を言ったら全部なくなってもこのチームメンバーさえいればできるよなって感覚があるんです。これってすごく身軽で、築き上げてきたものからすると笑えるような愚かな形だなって思った時に、すごくmitsuバンドにぴったりだなって思ったんですよね。だからこれから歩いた先で、ボロボロになっても平気。裸足で歩いていくわ、ぐらいな気持ちで始まる11年目ってすごく素敵だなと思って、それにぴったりなタイトルがこれかなと。だからこの”愚か者の行進”という意味の《mitsu XI Anniversary Challenge Tour「Fool's Parade」》は、巡業とかサーカスみたいに、チームのみんなで行くツアーにしたかったんです。
────このキーヴィジュアルとツアータイトルを見た時に、先ほどおっしゃったタロットの「愚者」を真っ先に想起しました。衣装もそうですし、柵の上に乗って危なっかしい様子も、崖っぷちに立つ命知らずの愚者に似ている気がして。
mitsu 嬉しいです、衣装も含めてそれを意識したんで。実際ファンの子からも、今回は写真が出たタイミングでその言葉をいくつかいただいて。やっぱそうなのねみたいな。一緒に歩いてるので、ファンの子にもこういう意図が伝わるようになってきたんだって思ったらすごい嬉しくて。
これまでの衣装は10周年に向けて、高貴なものを表現したくて黒にしていたんですけど、今回のツアーではそれを手放して、サーカスをテーマに“命知らず”な感じを表現しました。いつもはスタジオで撮るんですけど、今回は、けいとさん(Dr)のスタジオの屋上で撮って。今回のテーマを決めた時に、一番身軽であっけらかんとするものが撮影できるところってどこかな?って考えたんですよ。そしたら、自然体でいて力が入らず、だるだるに自分を緩めていけるのはあの場所だなって思ったんです。
ツアーの発表のときに映像を見ながらみんな「危ない!危ない!」って言ってたって、ファンの子からコメントをいただいたんですよ(笑)。でもあの危なっかしい感じを撮りたかったんですよね。それが自分の中で一番今回のテーマに近かったんじゃないかなと思って。
────意図がしっかり伝わるヴィジュアルになっていると思います。このツアーはどんな時間にしていきたいですか?
mitsu 楽しいのがいいですね。やる前から無謀な感覚があったので。だからどう転んでもラッキーって感覚しかないと思います。もう全部がダメだったとしても、リスクもわかった上でやるので。っていうか、考えてしまったら愚か者じゃないと思うんですよね。
リスクを承知していても、踊りながら鼻歌まじりでスキップしながらいけるような自分でいたいと思ったので、そういう願いを込めています。でもこれってきっと難しいと思うので、自分への挑戦ではありますね。ただ成功させることよりも難しいと思うんですよ、嘘なく楽しめるかどうかって。だから、そんなツアーになったらいいなと思いますし、来てくれる人にも楽しい気持ちを味わってもらえたらいいなと思います。
────ツアーが楽しみですね。最後に、今後mitsuさんはどのようなことに挑戦していきたいですか?
mitsu 正直、新しいことをやりたいとは思ってないんです。ただ、せっかくここまで来たものを終わらせたくない。進むことを諦めずにいたいというほうが近いかな。11周年を迎えて、続けることでしか見えない景色があることを知ったからこそ、その先を見たいだけなんですよ。この一本道がどこまで続いているのか、ファンやチームのみんなとこれからも一緒に見に行きたいと思ってます。
取材・文:Miyu
写真:尾藤能暢

mitsu XI Anniversary Challenge Tour 「Fool's Parade」
▼日程と会場
・9/22(火祝)仙台ROCKATERIA
・10/17(土)名古屋ell.FITSALL
・10/30(金)大阪Yogibo HOLY
MOUNTAIN
・11/11(水)都内某所 ×××
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【各公演詳細】
▼日程
9/22(火祝)
OPEN16:30/START17:00
▼会場
仙台ROCKATERIA
▼サポートメンバー
Gt:夢時
Ba:RENA
Dr:大熊けいと邦夫
Key:KAZAMI
▼日程
10/17(土)
OPEN16:30/START17:00
▼会場
名古屋ell.FITSALL
▼サポートメンバー
Gt:夢時
Ba:RENA
Dr:大熊けいと邦夫
Key:SYUTO
▼日程
10/30(金)
OPEN17:30/START18:00
▼会場
大阪Yogibo HOLY MOUNTAIN
▼サポートメンバー
Gt:夢時
Ba:RENA
Dr:大熊けいと邦夫
Key:KAZAMI
【共通項目】
▼チケット
前売 ¥6,500-
当日 ¥7,500-
【FC先行(抽選)】
受付期間:7月21日(火)21:00~7月27日(月)23:59
入金期間:7月29日(水)13:00~8月1日(土)21:00
受付URL:https://mitsu-official.bitfan.id/contents/411787
【オフィシャル先行(抽選)】
受付期間:7月30日(木)12:00~8月5日(水)23:59
入金期間:8月7日(金)13:00~8月10日(月)21:00
受付URL:https://eplus.jp/mitsu/
【一般発売(先着)】
8月15日(土)10:00~
関連リンク
◆mitsu official X https://x.com/neu_mitsu