【DEZERT】3月20日幕張メッセワンマンに向けてフルメンバーインタビュー敢行! 生々しいリアリティで辿り着いた4人の現在地。────「音楽で人を救いたい」

3月20日に幕張メッセイベントホールにて自身2度目となるアリーナワンマンを開催するDEZERT。日本武道館ワンマンを成功させたのち、自身初の試みとなる47都道府県ツアーを敢行したバンドは現在何を想うのか。
フロントマン=千秋は、「DEZERT第一章を締めくくれる場所が見つかった」とも語る。終わりなき旅のなかで生き続ける意味とは?
全国各地を軒並みソールドアウトさせた事実に浮つくこともなく、4人からはどこまでもリアルな言葉が発せられた。それは生々しく刻まれるバンドの鼓動が、これからも続いていくことを各人が理解しているからこそだ。
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失敗を恐れない覚悟が生まれた
────2025年末にリリースされたメジャー1stシングル「「火花」/「無修正。」」は、DEZERTの今を体現する快作でしたね。「「火花」」は西島秀俊さん主演のドラマ「人間標本」の挿入歌で、なんでもメンバーの皆さんも俳優デビューをされたとか。
千秋:いや、何もないですよ。セリフもないし、湯船に浸かってただけなんで。
Miyako:楽器隊は演奏シーンだけだったけど、ドラマって、一つひとつのシーンにあんなに時間かけて作ってるんだって驚きはあったかな。「人間標本」は全5話なんだけど、作り上げるのはきっと大変なんだろうなと思いましたね。
Sacchan:撮影環境はすごく新鮮でした。
SORA:僕もMVと同じくドラムを叩くお仕事だったんで、いつもどおり頑張ったってとこですかね。
────なるほど。そのほかにもこれまで以上に活動の幅が広がった昨今だと思うんですけど、まずは2025年6月から続いている“DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR '25-'26 “あなたに会いに行くツアー””について。自身初の47都道府県ツアーを始めるにあたって、当初はどんなふうにバンドが変化していくと思ってました?
千秋:特別な変化を求めるツアーではなかったんで、しれっと始まった感はあったよね。スパンも長いし、本数を重ねていくうちにどこかふわふわした感じもあって。全然手を抜いてるわけではなくて、むしろその状態が心地良くもあったんだけど。
────47都道府県を回ったからこそ得られる感覚だと。
千秋:ツアータイトルのとおり、巡礼じゃないけど、武道館を終えて、地方で待ってくれている子たちに会いに行くっていうツアーだからね。バンドの根本が変わるようなこともなかった。始めからわかってたことなんだけどね。もちろん幕張メッセに来てねって気持ちで回ってる部分もあるんだけど、なんか野心的なものがちょっと今のDEZERTにはないのかなって感じてる。
────2024年末の初武道館ワンマンのときとは違う感覚なんですね。
千秋:武道館のときは野心があったよね。先輩と2マンさせていただいて、DEZERTを知らない層も武道館に連れて行くぞって必死感があった。けど、47都道府県ツアーをやっていると対バンとかイベントにも出れないし、そういう“奪ってやるぞ”的な野心感は生まれなかった気がする。
────だけど、それすらもある程度予想してたことなんですよね、きっと。
千秋:いざやってみると、正直メンバーだけじゃ処理できない部分がいっぱいあって。スタッフワークもなかなか難しくてキツい部分もあったかな。まぁ、それもわかってたことなんだけどね。
Miyako:まさにわかってはいたけど、想像以上に大変っていう感覚。1本1本を大切に回るツアーにしたいと思ってやってるからこそ、自分自身ともバンドとも向き合う時間が増えていった気がする。
Sacchan:どういうツアーになるか事前に思い描いてたことって、正直に言うと何もなくて。47都道府県ツアーをやったことがなかったので、なんならどう変わってもいいぜ!くらいのテンション感ではあったと思うんですよ。でも、一方で恐怖感もあったかもしれないですね。
────恐怖感?
Sacchan:半年以上の間、同じタイトルでライヴをやり続けるわけじゃないですか。それも初めての経験だし、終わったときにどうなっていたいかを想像するっていうよりは、まだ戦ったことのない敵と戦う気持ちだった気がしますね。未知の感覚というか。だから、気持ち的にも余裕を持って回らないと、何かあったときにバンドが壊れてしまうんじゃないかって恐怖感は持ってました。大丈夫って言い聞かせながら臨んでたところはあるし、心にちゃんと余裕を持っておかないとっていう意識が、さっき千秋くんが言ってた“ふわっと始まったツアー”ってことなのかなと思いますね。
────決してネガティブな意味ではなく。
Sacchan:そう、悪い意味じゃなくて。そもそもバンドって生き物は、ライヴが多ければ多いほど衝突する可能性が増えると思うんです。メンバーによって考え方も違うかもしれないし、それで歯車が狂っちゃうことも考えられる。正直なことをぶっちゃけると、長いツアーを回ること自体がワクワク感に勝る恐怖があるんですよ。これはうちに限らず、ある程度長くやってきたバンドはそうだと思うんですけどね。このツアーに関しては、セットリストを固定してやろうぜって言ってたわけでもないし、アベレージを求めるライヴにする感じでもなかったから、とにかく大らかな気持ちでやってきました。
────Miyakoさんは、2015年に加入してほどなくハードなロングツアーを回った経験もありますけど、あの頃とは当然バンドの雰囲気は違うわけですよね?
Miyako:そうですね。でも、武道館を終えて成長したはずの自分たちにとっても、こんなに大変なことなんだなって思わされたかな。そりゃ47ヵ所にただ行くだけなら楽だろうけど、各地方でその日しか観られないお客さんもいるんだって思うと、責任も大きいし、なおかつ幕張メッセに来てもらえるようなステージをしなきゃいけないしね。成長することって終着点がないでしょ? 辿り着けたと思ったらまだ先があるってことを、ずっと繰り返してる感じです。
────それは成長し続けているってことの証でもあるんでしょうけどね。
Miyako:こうなったら、ゴールっていうものが明確にあれば楽になれるんだけどそうじゃないからね。これはバンドに限った話じゃないと思うけど。
SORA:僕は、ツアーが始まるときはすごいワクワクしてましたね。と言うのも、以前にロングツアーをしたときと比べて、色々なことを広い視野と寛大な気持ちで受け入れられるようになっていたから。それでもまだまだ未熟だと思ってるけど、これは先輩をはじめとする方々に多くの経験をさせていただいたことによる成長だと思いますね。昔回ったロングツアーのときはもっと未熟だったし、マインド自体が今とは全然違ったと思うんですよ。今の自分たちならあの頃とは違って、もっと色々なことができるんだろうなって気持ちで初日を迎えたことを覚えてます。
────実際に回ってみて、どうでした?
SORA:音楽やドラム、バンドを続ける覚悟をしっかり言語化することに対して日々考えているって感じですかね。まだ、自分のなかでは全然できてないんですけど。
────まだ模索中?
SORA:模索中。例えば格闘技だと、RIZIN大晦日(“Yogibo presents RIZIN師走の超強者祭り”)の朝倉未来選手は負けちゃったけど、とても素晴らしかったじゃないですか。あれって負けたときにどうするのかって覚悟を持っているからだと思うんですよ。人前に立つっていうことに対しての覚悟って、色々な形があると思うんだけど、自分にとってのそれは何なんだろうっていうことを考えさせられるツアーでしたね。
Miyako:そうだね。1本1本のライヴをしっかりお客さんに届けることは、もう当たり前にできるバンドになってきたんだなって実感もあるし、俺らって大人になったのかな?って思うこともありました。ただ、それが良いことなのかそうじゃないのかは現時点ではわからないんだけど。
────成長することと、大人になることがイコールじゃないってことですか?
Miyako:バンドって大人にならないほうが良いこともあるような気がしてるから、そこは俺のなかでもまだ整理がついてないかな、って感じです。もっと先になって理解できるのかもしれない。でも、答え探しのためにバンドをしてるわけじゃないから、答えがなくても構わないかな。
千秋:自分探しをする旅でもないからね。
────ツアーではほぼ全ての公演を「真宵のメロディー」から始めたじゃないですか。それは当初から決めてたんですか?
千秋:ツアーが始まるタイミングで出したミニアルバム『yourself: ATTITUDE』にも、「真宵のメロディー」は収録されるかどうかわからないぐらいだったんだけどね、実は。そこでメンバーやスタッフからも大きい会場が見える曲だよねって意見が上がってきて収録されることになって、じゃあツアーもこの曲を1曲目にしようかってなった。1曲目にやらなかった公演もいくつかあるんだけど、そもそも俺はこの曲を1曲目にすることを推してたわけじゃないんだよね。
────やってみたらしっくりくるものがあったんですかね?
千秋:いや、「真宵のメロディー」に関しては、まだしっくりきたことがない。だから1曲目でやってるのかも。
────武道館ワンマン前あたりで、千秋さんから「自分が言われたい言葉を歌うようになってきた」って発言を聞くようになったんですけど、その考えは今も変わらない感じですか?
千秋:結局さ、自分も音楽に救われて今ここにいるわけでしょ。俺は“あなたを救いたい”みたいなことをハッキリ言うタイプじゃないんだけど、端的に言えば救ってあげたいんだよ。なんで音楽やってるかって言ったらお金のためじゃないでしょ。お金稼ごうと思って音楽始めましたか?って話。
────自分を救う言葉が、誰かを救う言葉になっているってことですよね。逆に言えば誰かを救うことで自分を救える。
千秋:だから、そこで自分自身との戦いが始まると思うんだよ、バンドマンって。俺はあんまり人付き合いがないほうだけど、たまに後輩バンドの話を聞いたりする。「どれぐらい収入があります」みたいなこと言われるんだけど、そこはどうでもよくない?みたいな。音楽で人を救いたいんじゃないの?って思う。こっちも人間だから言ってることが変わったりもするけど、DEZERTをずっと続ける理由はそれでしかないから、音楽は人を救えるんだって気持ちがなくなることはないかな。
────かつて、“千秋を救うツアー”と題してロングツアーを回ったことも腑に落ちてきますね。伏線回収じゃないですけど。
千秋:まぁ、あのタイトルは俺が決めたわけじゃないんだけどね。
────話を戻しますが、“もう大丈夫”と歌い始める「真宵のメロディー」からライヴがスタートすることにハッとさせられたんですよ。DEZERTが何を伝えたくて全国回ってきたのかの理由がそこにあるんだなって。
千秋:そこは言葉の強さだよね。そういうメッセージを、例えばみーちゃん(Miyako)にギターの一音で表現しろって言ったってそんなの無理じゃん? 「おお……千秋がまたなんかエラいこと言い出したな」ってなるでしょ? やっぱそこは常にマイクを持って言葉にできるフロントマンとではハードルが違うし、言葉で伝えるっていうのはヴォーカルの役目だよね。人間のコミュニケーションって、“言葉”だから。それをふまえてDEZERT代表として、フロントマンとして、伝えていくことは徹底していってるつもり。よく知ってると思うけど、俺は喋りすぎるからグダるときもあるけど、嘘を言ったことはないのよ。正直な気持ちをずっと伝えてるし、本気で人生変えてあげたいなとか、何かの活力になりたいってずっと思ってる。だから、このバンドで売れたいんだろうな。
────先日、MCでも仰ってましたもんね。バカにされたくないからデカい会場でやるって。
千秋:DEZERTを聴いてくれてる人もそのほうが勇気出るでしょ。良いときも悪いときも、小っちゃいことを積み重ねて成功してる姿を見せれたら、力になれると思うんだよね。俺は、格闘技はあんま見ないけど、さっきの朝倉未来さんの話もそうだと思ってて。
────無謀な試合だと言われていても立ち向かっていく姿勢ですよね。
千秋:人間だから勝つときもあれば負けるときもあるけど、それを全部ひっくるめてどう生きてるかが人を動かすでしょ。今は良いところだけ切り取ってカッコつけてるヤツが多い。俺はむしろカッコ悪いときもあることが大事なんじゃないの?って思ってる。失敗してもどう立ち上がるかが大切だし、SORAくんの“覚悟”って言葉を借りると、俺は失敗を恐れない覚悟が生まれたと思う。そう考えると「真宵のメロディー」は覚悟の曲じゃないんだよな。
────答えが明瞭ではないってことですか?
千秋:“もう大丈夫”って歌ってるけど、何が大丈夫なんだい?ってすごくぼやかした曲。真宵ってタイトルも、夜明けの薄暗くて明るくはない景色というものに付随してるからね。今のDEZERTをすごく表している曲だなと思うよ。だって難しいよね。武道館もあれだけの人が集まってくれて、周りも応援してくれている状態でバンドがめっちゃ順調に見えると思うんだけど、実際はもがいている部分もあるし。
────そういう意味では、バンドを取り巻く環境もやるべきことも変わってないんですね。
千秋:そうだね。変わったらまたそのとき話します。
────ところで、年明けの新宿LOFT公演では「「火花」」を本編ラストに据えたじゃないですか? 「「火花」」はメジャー感があって疾走するキャッチーな楽曲ですけど、淡々とした曲調の「真宵のメロディー」とすごく似てるなと思ったんですよ。その2曲が本編の最初と最後にいることで、バンドの景色が変わるような気もしたんです。
千秋:LOFTの2日目ね。1日目が終わったあとに「なんで「「火花」」を最後にやんないの?」って俺に言ってきたでしょ?
────そう。初日は中盤にプレイしてたけど、「真宵のメロディー」と同じぐらい“バンドの今”を象徴してる印象を受けたんですよ。
千秋:俺のなかで「「火花」」ってちょっと難しい立ち位置だったんだけど、ああいうふうに言われて正直ハッとしたんだよね。たしかになんで最後にやらないんだろう?って。どうやらSORAくんは最初から「「火花」」をラストにすべきだって言ってたらしいんだけど、実際にやってみたらすごく手応えがあって。ようやくツアーが完成する感じがしました。
────正直、めちゃくちゃ説得力がありました。置きどころが難しかった理由はなんだったんですか?
千秋:つまり「「火花」」って曲は理想郷なんだよ。すげえ良いこと言ってるんだけど、俺たち4人が心からあれを言いきるってことに関してはまだ模索中なのかもなって思う。だから俺は、最後にしなかったのかな。自然とね、感覚的な話。でもやってみてしっくりきたから、幕張も最後にこの曲をやるんだろうなって思った。あ、それで言うと、ツアーがどうだったかって答えが出たわ。「真宵のメロディー」で始まって「「火花」」で終わるためのツアーだったんだろうね。
────あと、内情の話で言うと「「火花」」って曲はずっと前からあった曲なのも興味深いところです。
千秋:たしかにリリースは年末だったけど、2024年の武道館を終えてすぐに書いた曲だから、実は新曲のなかで一番付き合いが長い曲ではある。
────「真宵のメロディー」も「「火花」」も共通して“大丈夫”って歌ってるけど、ともにキャッチーなのに奥底にすごく孤独が眠っているし、そもそも本当に大丈夫な人は“大丈夫”なんてきっと歌わないんですよね。
千秋:そう、全然大丈夫じゃない。大丈夫じゃないからみんながついてきてくれるんでしょ。完璧なヤツなんか誰も興味ないし、大丈夫じゃなくていいんだよ。



