【Verde/】◆スペシャルインタビュー◆「求められる自分」を手放して見えた、可も不可も超えた境地

Alice Nine.の凍結を経て始動し、2年半を迎えたShouのソロプロジェクト、Verde/。
全国ワンマンツアー「SPRING CIRCUIT: PULSE / STATIC EDEN」を完走した今、その歩みは着実に次のフェーズへと進んでいる。
6月3日には最新シングル「Static Eden/」のリリースも控える中、彼が見据える次なる景色とは?
“求められるもの”と“やりたいこと”の狭間で揺れながらも、アーティストとしての核を再定義していく、その現在地と未来を聞いた。
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チャレンジしないと成長どころか衰退していく
────────4月24日にツアーファイナルを迎えた全国ワンマンツアー「SPRING CIRCUIT: PULSE / STATIC EDEN」は、Verde/のさらなる躍進を期待させる盛り上がりでした。Shouさんにとって、どんなツアーになりましたか?
Shou 今回、Verde/の中でも特に尖った「Pulse/」という楽曲を引っさげてツアーを回りました。今のVerde/は、ほぼ完璧にサポートメンバーを固定しているんですが、去年あたりから彼らと「一番ライヴで映えて、楽しんでもらえる曲は何なのか」という話し合いを重ねていたんです。僕だけの考えじゃなく、サポートの優介(Gt)や燿(Ba)、KEN'ICHI(Dr)からアドバイスをもらい、初期のVerde/のすごくポップなところからシフトして、激しさとメロディアスが融合した楽曲をどんどん出していこうと。そこで生まれたのが「Pulse/」です。僕たちのアイデアがオーディエンスの方にも伝わって、広がっていく予感がしました。
────────ツアー中、「Pulse/」のイントロで横モッシュをするファンの皆さんは、本当に楽しそうでした。
Shou いやー嬉しいですね。「Pulse/」は、当初ダンスメタルみたいな楽曲をイメージして作っていたんです。そこでまずイントロのオリエンタルでスケール感のあるギターリフを思いつきました。ちょっとPIERROTっぽい雰囲気が、まさか僕から出てきたのが面白かったですね。それで、狙い通りライヴで成長していった曲でした。ヴィジュアル系の伝統的な横モッシュのノリが広がって、皆も自己表現してくれて。「Pulse/」を筆頭に、僕らっていうよりは、オーディエンスがどんどん進化していったツアーでしたね。
────────ツアーを通して感じるVerde/の変化はありましたか?
Shou Verde/としての活動をスタートした当初は、Alice Nine.が凍結した直後ということもあり、それまで応援してくださっていた方々からの悲しい気持ちを一身に受け止めて活動していたんです。だから、「Alice Nine.でこういうことをもっとやりたかった」「こんな曲があったら面白かったんじゃない?」って思ったことを心の赴くままに形にしていました。もともとAlice Nine.は光の要素が強い、メロディアスでポップ、キャッチーな曲が多いバンド。だから、最初はかなり歌モノに引っ張られたアルバムからVerde/が始まっていったんです。だけど、今回のツアーに向けて、僕自身が作りたかったポストハードコアをテーマにした楽曲を制作するなど、やりたいことが形になってきていますね。
────────ツアーファイナルのMCでも、今のShouさんは「自分がやりたいことをできている」と語っていたのが印象でした。
Shou Verde/を始める時に、改めていろんな曲を聴いていたんです。それで、「僕って何がやりたい人間なんだろう」と考えて。長年、Alice Nine.としてバンド活動をしてきたからこそ、そこは仲間ありきだったし、僕個人だけの考えで方向性が決まるものでもない。そんな時間が長かった分、「自分は何がやりたいんだろうか?」というのがよくわからなくて、自分探しから始めたんです。
────────その時は、どんな音楽を聴かれていたんですか?
Shou 一番ワクワクした音楽が、マシン・ガン・ケリーとかヤングブラッド。あとはスクリレックスとか。メロディーはジャスティン・ビーバーっぽいんだけど、リズムはデヴィッド・ゲッタみたいな、クラブで大物DJが回しているような雰囲気の音楽に惹かれていましたね。デジタルハードコアのような音楽がすごく良いなと思うけど、日本だとそれを完璧にやられている方はいないなと思い始めて。強いて言うなら、日本のCVLTEとかは近いなと思ったんですけど。とはいえ、自分はブリング・ミー・ザ・ホライズンほどいきすぎなくてもいいかなと考えたりもして。ああいう音楽性でありながら、もっと光の部分も感じられることがやりたいなと思ったんです。こんなふうに考えを巡らせていたことの解像度が、最近だんだんと高くなっている感じですね。
────────本当にたくさんの音楽に触れて、自分自身と向き合ってきたんですね。とはいえ、同じくツアーファイナルのMCで、これまでのShouさんは「周囲が求めることに応えてきた」とも話されていました。そういう意味で、やりたいことを貫くことの葛藤や、受け入れてもらえるかという不安はなかったですか?
Shou もちろん多少なりの不安はありましたし、音楽を何年もやってきてマーケティングというか、オーディエンスの聴きたいものを作る姿勢も必要だとは思っています。だけど、それをずっとやり続けてしまうと、お互い共喰いになってしまう。
────────共喰い、とは?
Shou どんどん縮小していく感覚というか。僕が思うに、リスナーとアーティストの一番良い関係って、まだ気づいていない「聴きたい」「面白い」「楽しい」っていう感情をアーティスト側が見つけてあげることだと思うんです。僕が「こんなのどう?」と提示したら、聴いてくださる方が「あ、こういうのいいかも!」ってお互いの視野が広がっていくような関係性です。
────────なるほど。確かにそれって健全でポジティブな関係に聞こえます。
Shou 例えば、今ヴィジュアル系のシーンでキズがすごく成功されていますよね? ということは、やっぱりDIR EN GREYやキズのような(フリーウィルの)系譜が熱い。若手バンドが売れたいと思ったら、こんなふうにシーンのトレンドが何なのかを考えて、そこに自分のエッセンスを少し入れていくような戦略は正しいと思います。だけど、僕自身、アーティストとしてはもう中堅の域にきているので。怖い気持ちも正直ありますけど、今は自分が面白いと感じることにどんどん挑戦したい。「高校生の時にAlice Nine.を聴いて音楽をやろうと思いました」って言ってくれるバンドが活躍し始めている中で、今の僕が迎合するようなことをしてしまうと、彼らをがっかりさせてしまうのではないかと思うんです。
────────ShouさんがそんなふうにVerde/としての軸を持って、やりたいことを貫き通すスタンスになれたきっかけは何だったんですか?
Shou その出来事は、未だにはっきり覚えていますね。ファーストアルバム「V/」を出した2024年のツアー中、今のサポートメンバーと京都でご飯を食べにいったんです。そこで、皆にふと言われたんですよ。「Shouさんがやりたいこと、やりゃいいんですよ」って。「それを俺たちは全力でやりますから」と言ってもらえて、背中を押されました。
────────メンバーの皆さんは、Shouさんがどこか葛藤されている様子を感じ取っていたんでしょうか。
Shou 周囲に応えなきゃという責任感が強いタイプでしたからね。Alice Nine.で活動していた時も、バンドは僕たちメンバーだけのものじゃないと思っていました。僕たちを売ろうと頑張ってくださったメーカーの方とか、僕たちに夢を託してたくさん宣伝してくださったメディアの方とか。いろんな方が作り上げてくれたものなので。それに、一番はファンをがっかりさせたくなかった。そう考えると、つい今までの延長線上のことをやっている自分もいました。それはそれで美しいあり方だと思うのですが、キャリアが長くなってきたからこそ、もっとチャレンジしないと成長どころか衰退していくなとも感じるんです。だからこそ、サポートメンバーがくれた一言ですごく楽になりました。
────────今回のツアーは、そんなサポートメンバーとの結束が強く感じられるライヴでもありました。
Shou Verde/はShouのソロプロジェクトということで間違いはないんです。ただ、僕が演出していることはもう完全にバンドですね。なぜかというと、僕はバンドとしてのプロデュースが得意なんです。何を伝えるのか、そのための表現は何なのか。さらに、必要な曲や表現が決まれば、アートワークも生まれていく。そんな一貫性をずっと考え続けてきた人間なので、Verde/はバンドだと思ってクリエイティブをやっている側面が少なからずあります。結束という意味では、今明らかにAlice Nine.の時よりもっとカッコいいことをやっている自信があるのに、まだ全然その時の動員に届いていないことを「どうしよう? どうする?」って友達みたいに話している瞬間が楽しいですね。


