【D≒SIRE/Kαin】「一番大切な貴方を忘れない」。KαinとD≒SIREが亡き盟友に届けた、ライブを通した思いの手紙。

2027年5月3日に予定されている新宿ReNY単独公演に向けて、再起動したバンドをブラッシュアップするため、D≒SIREが8月より3カ月連続で行ってきたライブも、10月10日に高田馬場CLUB PHASEで行われた、Kαinとの2MAN公演『藤田幸也 音楽活動33周年記念無料公演「Wish You Were Here.」』をもって、未来へ向けて一つの区切りを迎えた。
10月10日は藤田幸也の盟友である、今は亡きLaputaのボーカリスト・akiの誕生日でもある。akiは大変残念なことに活動30周年めの自らの誕生日を迎えることはなかった訳だが、その急遽中止になった公演を替わりに開催して以降、幸也は毎年「10月10日の高田馬場CLUB PHASE」で無料公演を現在も続けている。
今年は、D≒SIREがふたたび活動を始めたことから、KαinとD≒SIREの2MAN LIVEとしての開催となった。
akiの誕生日に彼の最後のホームであった高田馬場CLUB PHASEのステージに、Laputaと対バンしていた当時のメンバーでのD≒SIREが立つというのも非常にエモーショナルな出来事であったが、
残念ながら病気療養のため一時離脱した秀朗(B)の復帰時期が未定であることから、この日は、幸也(Vo)、聖詩(G)、橘舞已(G)、MIE(Dr)の4人で出演となった。
しかしながら、家庭の事情で先に行った2公演を欠場していたオリジナルギタリストの聖詩が5月以来にライブに登場したのは、ファンにとっても嬉しい出来事であったことだろう。
ここからは、Kαinと、D≒SIREの公演の模様をお届けしたい。
◆ ◆ ◆
Kαin
先陣を切って登場したのが、Kαinだ。荘厳な、でも胸を騒がせる『Haunt』(SE)を受け、ソリッドでスリリングな演奏に乗せて、ハートを切り刻むように一也のギターのカッティングが鋭く響き渡る。緊張感を孕んだ『die4you』の演奏を通してKαinは、これから始まる物語に期待を寄せる超満員の観客たちに強烈な「言葉と演奏のナイフ」を突きつけた。ステージからあふれ出るブリティッシュビートに乗せて響く鋭く尖った音色の一つひとつが、鋭利な刃先となって観客たちの身体を切り刻む。その痛みを覚えるたびに、気持ちが高ぶり続ける。冒頭からKαinは、肌を貫く衝撃を与えていった。
躍動したデジタル音が鳴り響く中、満員の観客たちへ向けてYUKIYAが叫んだ「1.2.3.GO!」の声を合図に、楽曲が熱を帯びて駆けだした。Kαinは『graver』を通して、血潮がほとばしるような思いを観客たちのハートに注ぎ込んでいく。スリリングさの中に熱を閉じ込めた演奏の上で、YUKIYAは感情を露わにしながら言葉を解き放っていた。「おい、いこうか!お前ら!」と煽る声に向け、場内からも「Oh!」と熱い声が上がる。心の中でうずく痛みが滾る熱によって身体中から消え去るようだ。曲が進むにつれて、痛みを吹き飛ばすように感情が高ぶり続けるのが歌声や演奏、観客たちの熱狂ぶりから伝わってきた。YUKIYAの煽りに応えて、場内から張り上がる「Oh!」と叫ぶ声、声、声。そこへ…。
「声を聞かせてくれるかい」と叫ぶYUKIYAの声をきっかけに、ATSUSHIのドラムが激しくビートを叩き『BARREL』が荒々しく駆け出した。疾走する演奏に向けて、場内から「Oi!Oi!」と荒ぶる声が飛び交いだす。YUKIYAも声を荒らげて観客たちをけしかければ、ときに声を唸らせて「魂が!」と叫んでいた。「一也!」と叫んだYUKIYAの声を受けて、気持ちを高揚へと導くギターの旋律を奏でた一也の姿も印象的だ。「魂の声」で歌い、煽るYUKIYAの声に合わせて、フロアからも魂を奮い立てた声が響いていた。奮い立てた「魂の声」は、いつしかメラメラと燃え盛っていた。
YUKIYAが再び「1.2.3.GO!」と叫ぶと、熱情を重ね合わせるように『因果律』がバーストした。この曲でもKαinは、観客たちと「誰よりも」と声を掛け合うやりとりを見せつつ、爆走する演奏の熱をどんどん膨らませながら、荒々しい音を撒き散らしていた。「歌ってくれ!」の声に誘われるまま、「誰よりも」と歌うオーディエンスの声が場内に響き渡る。メランコリックでありながらも、情熱のほとばしる演奏が身体中を熱く、とにかく熱く刺激していった。

「ここから1曲、レアな曲をやってやるよ。みんな、覚えているか?!」と呼びかける声をきっかけに演奏をしたのが、D≒SIRE時代に生み出された幻のデモテープ収録曲『TEAR』だ。
胸の奥に涙を秘めながら、愛しい人へ思いを問いかけるように歌いだす。演奏が進むにつれてYUKIYAは、観客たちと悲しみや切なさを共有しながら、一人ひとりの胸に生々しい感情を注ぐように歌っていた。心を裸にしたYUKIYAが、言葉の一つひとつに痛みと情熱を注ぎながら、大切な"あなた"に向けて思いを響かせる。その声がずっと感情を掻きむしり、観客たちの心に癒えない傷跡を刻んでいった。
「いけるか、馬場!」スケールの大きな、胸をエモく揺らす演奏が流れ出した。「君の悲しみのすべて、燃えるように溶けてしまえばいい。」と歌うYUKIYAの声を合図に『Re:MEMBER』へ。透明感を持ったギターの旋律が、胸に心地よく響き渡る。切ない心模様を綴った歌詞ながら、YUKIYA自身が気持ちを浮遊させ、胸に心地よいメロディアスな歌を、声の絵筆で、観客たちの心のキャンバスに彩り鮮やかに塗り上げていく。「君を取り戻せないままで」と歌うその声に、気持ちが溺れる。その思いをドラマチックに彩る演奏に、胸がずっと騒いでいた。Kαin流のビートナンバーに乗せて、YUKIYAは「君を取り戻せないままで」と切々と歌い上げていた。YUKIYAはその言葉を何度も歌い上げながら、一人ひとりの胸にしっかりと思いを刻み込んでいった。この日に生まれた熱狂も、二度と取り戻すことはできない。それをわかっているからこそ、今、この場に生まれた、胸が張り裂けんばかりに熱情した思いを、誰もがしっかりと抱きしめていた。
「Kαinの大切な曲を聴いてくれ」。スケール大きくシンフォニックな音色に乗せて、『Latency Sorrow』が響き出した。「声を聞かせてくれ」と叫ぶYUKIYAに呼ばれるように、場内から荒々しい声が沸き上がる。とても美しく、でもYUKIYAらしい、歌心を抱いた悲哀に満ちた楽曲だ。「悲しみに濡れても 魂が求めるなら」や「涙の理由(わけ)も鍵も守りたい」と歌う声に合わせて、場内からも、「この手を繋いで」と、その思いを確かめ、分かち合うように歌う声が響いていた。YUKIYAが振る声のタクト(指揮棒)に導かれるように、メンバーと観客たちが「この手を繋いで」と思いを一つに重ね合わせて歌うたびに、悲しみに暮れながらも、心は強く、きつく結ばれ合っていった。



MCでは、この日に向けての思いや、無料公演にしたことでの懐事情も匂わせつつも、この日に行うライブを継続し続けることへの思いを述べていた。以下に、要約した形で伝えたい。
「俺、本当にこれはもう、ただ友情のためにやってんだぜ?笑 中には、事情も知らずに無料公演だから観に来たって人もいるかもしれないけど、それでも、今夜会いに来てくれてありがとう。この日に、この場所を選んで来てくれていることが嬉しいよ。この会場って、俺の古い友達にとってすごく大事な思い出がある場所だと思うんだよ。今日来てくれた人の中で、彼のことを覚えていて、今でも大事に思って来てくれている人がどれだけいるのかはわからないけど、無料だから来ただけって人がいても構わない。ただ音楽を楽しんでくれれば。みんなにとって音楽やロックが、もっと言えばロックバンドが、どんな時代になっても、みんなにとって大事なものであったらいいなと、俺も、そして彼も思ってると思います。」
ライブも後半へ。この場に足を運んだ一人ひとりの心に歌声の光を降り注ぐように、「風がそっと心を揺らす」とYUKIYAが『光-hikari-』を歌い出した。つねに、心の痛みを生きる道標としてYUKIYAは歌に刻んできた。悲しみが心を縛るからこそ、そこ(底)へ心を沈めるだけでなく、運命を背負ったうえで、その傷跡に光を降り注いできた。この日も、嗚咽を振り切るように力強く『光-hikari-』を歌うYUKIYAと気持ちを重ね合わせた人たちが、心の中で思いを歌にしながら、ステージから降り注ぐ歌声の光を全身で受け止めていた。エッジの効いたスリリングな演奏に乗せて、YUKIYAと観客たちが声を交わしあう。そのたびに、胸の中が、少しずつ輝く光に満たされていくようだ。誰もが、気持ちを解き放つ演奏に乗せ、YUKIYAが歌い叫ぶ姿を見つめながら、降り注ぐ思いを全身で抱きしめていた。きっとYUKIYAが、Kαinを通して心の音を伝え続ける限り、その声も、光も、届かなくなることはきっとない。
最後にKαinは、ここに集まった一人ひとりの胸に生きる証を刻むように『証-akashi-』を歌っていた。YUKIYAはステージの上で、こう伝えてきた、「いつか思い知るだろう 失ったものの大きさを それでも僕らは生きてゆく(君と過ごした)愛しい日々を」と。Kαinと、いや、藤田幸也という悲しみの十字架を背負って生きる男と共に歩み続けてきた人たちは、この思いを道標の一つにしながら思いを分かち続けてきたし、今日も分かち合っていた。だから、胸を揺さぶるその声をつかもうと、高く振り上げた手をステージに向けて伸ばしていた。傍観者も相応にいたとはいえ、「聞かせてくれ、声を」と叫ぶYUKIYAの声に魂を揺さぶられた人たちが、沈む思いを振り切るように、心の底から沸き立つ声を張り上げていた。悲しみや痛みをすべて振り切るように歌うYUKIYAの声を抱きしめたくて、いつしか一緒に「燦々めく時よ 君と過ごした 奇跡のような 愛しい日々よ この胸にまだ 褪せることなく 綺麗なままで 輝いて」と声を重ねていた。悲しみに染まりそうなこの夜に、ここにいる多くの人たちが悲しみに光をまとわせ、拳と声を生きる証という輝きにして、その身から発していた。眩しいその光は、次へのバンドへと繋ぐ、熱狂の道標にもなっていった。
だから、場内に流れ出した『theEND-piano-』(SE)が、次への期待を煽り、心を揺らす楽曲として、胸にずっと響き続けていた。

D≒SIRE
重厚な『Re_frain』(SE)が場内を包み込む。高まる期待。その音色が美しくもシンフォニックな音として広がり出すのに合わせて、ゆっくりと幕が開き、D≒SIREのメンバーがステージに姿を現した。この日はそこに聖詩の姿もあった。それが嬉しい。彼らに向けた大きな拍手が、これから始まる物語への期待を示していた。
ズーンと重く沈むサウンドを背に、幸也が「始めようか」と上げた声に向けて、「フロアから瞬時にOh!」と声が上がる。その声を合図に、MIEの叩くビートが高鳴るや、「Oi!Oi!」「Oi!Oi!」と場内中から荒ぶる声が飛び交いだした。どんどん高まる期待と興奮の声。幸也の「JUST DREAMS BURN DOWN!」の叫び声を合図に、熱狂を敷き詰めた場内に『DREAMS BURN DOWN』の演奏が轟いた。この場が早くも、高く拳を突き上げ荒々しい声が飛び交う熱を帯びた空間に染まっていく。幸也に導かれるように観客たちが「JUST DREAMS BURN DOWN」と歌う。今やお馴染みの光景だ。でもライブを重ねるたびに、終わることない興奮に熱狂をつのらせるように、フロアに生まれる熱量が着実に増しているのを感じる。間奏で、聖詩と橘舞已のギターの旋律が重なり合う音に触れた瞬間、興奮した血が身体を駆け巡り出した。打鍵の強いMIEのドラムの音に煽られるように、幸也はどんどん気持ちを奮い立てて歌っていた。ギターソロのたびに、「聖詩!」「橘舞已!」と煽る幸也の声が、本当に嬉しそうだ。
続く『SHADES』でも、さらに猛々しさを増した演奏に乗せて、観客たちも、幸也と一緒に心の中で「遠すぎる 想い出でも忘れない 愛しい記憶」「違う誰も 愛せずに叶わない夢を抱いていた...」と歌いながら、激しさと心地よい緊張感を抱いた演奏に嬉しく溺れていた。触れるたびに恍惚を覚えると言えばよいだろうか、『DREAM BURN DOWN』『SHADES』と続く流れを味わうたびに、胸の奥の衝動が激しく駆り立てられ、身体も気持ちも奮い立つ。聖詩と橘舞已のハモる演奏に触れるたびに、天(そら)へ向かって駆け上がるような気持ちになる。なんて情熱的な歌と演奏だ。テンションの高い、このスリリングさこそが、D≒SIREがただ過去を掘り起こすのではなく、現在進行形で進化し続けているバンドであることをまざまざと示していた。だから今は、眩い光と熱狂の中で、ただただ狂っていたい。

10年前にここ高田馬場CLUB PHASEで、Kαinとakiが2MAN LIVEを行った際に「お互いがリクエストした曲を1曲だけ、絶対に断らずに演奏しよう。」と、幸也とakiは約束し実行したという。そのときにakiがリクエストをしたのが、Kαinの楽曲ではなくD≒SIREの『LEAVE ME』だったという。復活後のD≒SIREのライブでも演奏している楽曲だが、この日はそんな盟友の思いも背負いながらの演奏のように感じられた。「本当に正直に言えば、この曲だけでも5人で演奏したかった。」と語っていた幸也は、嗚咽を漏らし叫ぶように、こう歌っていた。「行かないで。 繋いだ指ちぎれてしまいそう」と。「行かないで」と歌う幸也の声が、高い、高い空の上で耳を傾けていたakiの胸に、どんな声として届いていたのだろうか。いつも以上に感情的に歌う幸也の声が胸を震わせる。幸也の「一緒に歌えるか?」の声を受けて、観客たちも「行かないで。」と切ない声を響かせていた。その思いに寄り添う哀愁を帯びたギターの音色が、気持ちを掻き乱す。「『行かないで』 触れられぬ距離だから届かない」「枯れるまで流れ尽きれば楽になれる?」。その歌詞が、今宵はいろんな意味や想いを持って胸を揺さぶっていた。
そこからの『CURSE』へと続く展開に心が騒いだ。バスドラムを激しく打ち鳴らすMIEの重々しいビートが魂を蹴り上げ、橘舞已の奏でる重厚なギターの音色が意識を混濁させる。荒々しく躍動する演奏の上で、震える感情を掻き立てるように歌う幸也。今まで以上に攻撃性と迫力と存在感を膨らませ、触れた人たちを奈落へ突き落とす勢いで、彼らは気持ちが揺れ動くまま、いや、激しく揺さぶられるままに、猛々しい演奏や歌声を場内に振りまいていった。
「激しいD≒SIREは好きですか?」と呼びかける幸也の声に向けて、場内から「Oh!」と上がる声。「じゃあ、激しいヤツいこうか。『人工楽園!』」と口にするや、その言葉を示すように、猛々しい演奏に乗せて、D≒SIREは『人工楽園』をぶち噛ましてきた。曲を重ねるごとに過激さを増していくのが、今のD≒SIREのライブスタイルだ。とくに最近は、MIEの打ち鳴らす一つひとつの打鍵音が強烈だからこそ、そのビートに、メンバーの気持ちが奮い立てば、観客たちも感情のストッパーを壊して騒ぎだす。この日も、場内から「Oi!Oi!」と叫ぶ声が上がっていた。荒ぶる感情と感情を、燃え盛る魂と魂をぶつけあう景色が、目の前に広がりだす。感情を剥き出しにして歌い煽る幸也。激烈な演奏の中でも、聖詩のギターのクリーンな音色が胸を濡らすのが嬉しい。幸也が叫ぶたびにフロアから「Oi!Oi!」と上がる荒ぶる声。このままイクところまで一緒に高めあい、狂い騒ぐ楽園をこの場に築き上げてしまえ。
「まだまだいけるかー」。アタックの強いドラムのビートと、ザクザクと歪む音をカッティングするギターの音がシンクロしながら、観客たちの感情をさらに高ぶらせる。D≒SIREは『KISS』を通して、切れた唇が血塗られ、腫れ上がるくらいの激しい演奏のKISSでせまってきた。幸也が「もう離さないで」と歌うたびに、フロアから「Don't Stop Your Last Kiss」と声が上がり、熱狂した接吻を交わしあう。こんなにも感情を高ぶらすKISSやHUGなら、何百回、何千回でも交わしあいたいし、ずっと離さないでいてほしい。それを願っているからこそ、ここに集まった人たちは、この身を切り刻む激しい演奏に身体も心も捧げながら、D≒SIREの存在が消えないことを願うように、5人の激しい歌声と演奏のKISSに溺れていた…。
「もっと激しくいけるかい?やっちまおうか!」と煽る幸也。彼が「JESUS CHRIST」と口にした瞬間に、まるで阿吽の呼吸のように、場内から「LOVE FOR YOU!」と声が上がる。これまで以上に速度と激しさを増した姿で『JESUS?』が襲いかかってきた。がなるように歌う幸也へ向けて、絶叫の祈りを捧げるように、フロアの至る所から荒ぶる声が飛び交い続ける。観客たちの叫ぶ「JESUS」の声を受け、「I Wanna Be Your”Only”」と歌う幸也。いつものやり取りとわかっていながらも、互いに本気で想いを求めあうからこそ、胸が熱く高ぶり続ける。このまま熱狂に身を捧げ、すべて壊れてしまっても構わない。そんな気持ちだ。沸き立つこの感情を止められないのなら、燃え尽きるまで一緒に魂を燃やし続けていたい。狂い咲くこの気持ちを焼き尽くすまで、その歌声と演奏できつく抱きしめてほしい。止められない衝動のまま、もっともっと熱狂のその先の景色まで連れてイッてくれ。ずっとこのままで…。


熱狂の余韻に浸るように,D≒SIREが最後に届けたのが、『静夢』だった。盟友のバンドと出会った時も、この曲のデモを交換したという。今宵は、空へと旅立った一番大切な貴方へのレクイエムとして、『静夢』の歌詞に刻んだ一つひとつの思いを、幸也は、かすれ出した声で大切に歌っていた。「静寂に包まれて」「刹那の」や、「重ねた口唇で」「伝えたい」「繋いだ指先で」「伝えたい」など、幸也と観客たちが思いを交わしあうやり取りからも、互いに心の絆が強く結ばれていることを感じずにはいられなかった。なにより今宵は、「一番大切な貴方を忘れない。」と思いを募らせて歌う声に、気持ちがずっと震えていた。
そのとき、その場に生まれる感情の空気によって、歌も、演奏も、歌詞も、いろんな意味を持った物語として息をしていく。今宵の『静夢』も、いや、D≒SIREもKαinも含めた、この日のライブ自体が、仲間に向けて届けた、とても生々しく、感情のこもった歌声や演奏による手紙のようだった。だから、貴方のことをいつまでも忘れない…。そんな熱狂の物語を描きながら、D≒SIREのライブは『Re_quiem』(SE)に乗せて幕を閉じていった。
次にD≒SIREに会えるのは、2027年5月3日に新宿ReNYで行われるワンマン公演になるだろうか。
実は、このメンバーのD≒SIREでは、その日が初のワンマン公演になる。その日、5人がステージの上で、狂おしく立てた歌声と演奏の爪で、記憶を途絶えさせることなく、消えない傷跡を残してくれることを願っている。あわよくばD≒SIREが、永続的に動き続けることを。ワンマンの前に、せめてもう一度や二度、出会えることも祈りながら、今は、期待に胸を馳せていたい。
PHOTO:TMFR
TEXT:長澤智典
SET LIST
2026年10月10日セットリスト
⚫︎Kαin
『Haunt』(SE)
『die4you』
『graver』
『BARREL』
『因果律』
『TEAR』
『Re:MEMBER』
『Latency Sorrow』
MC
『光 -hikari-』
『証 -akashi-』
『theEND-piano-』(SE)
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⚫︎D≒SIRE
『Re_frain』(SE)
『DREAM BURN DOWN』
『SHADES』
MC
『LEAVE ME』
『CURSE』
『人工楽園』
『KISSxxxx』
『JESUS?』
『静夢』
『Re_quiem』(SE)
LIVE
⚫︎Kαin
2026年10月29日(木)池袋手刀(ワンマン)
https://tiget.net/events/529830
2026年11月11日(水)GT LIVE TOKYO(ワンマン)
2026年12月31日(木)GT LIVE TOKYO(ワンマン)
2027年05月02日(日)新宿ReNY(ワンマン)
⚫︎D≒SIRE
2027年05月03日(月祝)新宿ReNY(ワンマン)
※幸也、聖詩、橘舞已、秀朗、MIEでの出演予定。
関連リンク
藤田幸也公式HP:http://yukiya.tokyo



