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【KAKUMAY】ライヴレポート<KAKUMAY ONEMAN TOUR GRAND FINAL「No. 1」>2024年4月3日(水)恵比寿LIQUIDROOM◆──自身初のリキッドワンマンで悲願のZepp発表。

KAKUMAY43()に自身初となる恵比寿LIQUIDROOMワンマンを開催した。
No.1」と名付けられた公演は、昨年11月より2つのフェーズに分けて敢行された全国ツアーのグランドファイナルでもある。「アンチェイン」、「共依存」とそれぞれ自身の楽曲タイトルに準えたツアーの終着地が「No.1」だ。

《もう好きなようにさせて!お前の常識をもう押し付けんな》_______UNCHAIN

《顔も出せねえアンチはファックユー》_______「共依存」

《誰かが言った 『このバンドはライブがイマイチ』だって》_______No.1

随所に毒ガスのようなヘイトを溜め込んだKAKUMAYは今どこにいるのか。
VISUNAVI Japanでは以前、ベーシストであるゆいと。の単独インタビューを実施(https://www.visunavi.com/special/2024-03-15/3808/  )している。
その際にも、風向き上昇中のバンドの現状を押さえつけるようにゆいと。は「まだまだこんなもんじゃダメだ」と冷静に語った。順風満帆に見える充実の活動にも関わらず、何故KAKUMAYはこんなにも生き急いでいるのだろうか。

昨年3月、9月と半年のスパンで行ったO-WESTワンマン。実のところ3回目の挑戦で完売させネクストステップへ進もうというプランだったが、9月公演を見事ソールドアウトさせたことで、3回目は幻となり、急遽今回のLIQUIDROOMが現実となった。
先述の記事の通り、8月にはバンドの要であったゆいと。の薬指切断というショッキングな出来事もあり、これを乗り越えることは、バンドのエネルギーや瞬発力だけでは不可能だっただろう。彼らの中に共通して描ける未来への地図すなわちいつの日か立つと結成以来誓っている<Zepp Diver City>という夢があったからこそ進めたことは想像に難くない。9月に発表してから半年弱。夢のような場所ではあるが、夢の場所には在らず。この夜KAKUMAYが恵比寿LIQUIDROOMで示した地図の続きをお届けする。

この日は生憎の雨で、咲いたばかりの桜も散る気候。全メンバー初めて立つというリキッドルームを前に、それぞれどんな面持ちなのだろうか。バックステージを覗いてみた。

開場前から2階フロアは沢山のGOAT(KAKUMAYファンの総称)で溢れていた。

大規模ワンマンならではのスタッフパスにはメンバーもご満悦のよう。

同じく大量のケータリングからもこの日が特別な日であることがわかる。

楽屋からは「緊張する!」とゆいと。の声が聴こえたかと思えば、ヴォーカルの真虎は「ただただ楽しみっすね」と頼もしいいつも通りの様子。「リキッドルームや!」と気合いを入れながらも楽屋通路をウロウロする晴。開場と同時に埋まっていくフロアをモニター越しに祈るように見つめるアザミ。「楽しみだな。今日は俺がやりますよ!」といつもよりテンションの高いNEROとまさに5者5様の過ごし方だ。なんにせよ、今日は普通じゃない。

公演の記念に描いたバンドロゴはNERO曰く「僕、こんなに絵上手くないっすよ。晴くんが描きました!」とのこと。

開演が近づくと、外の天気をスタッフに尋ねたNEROが「雨止んだ?止んでる?よっしゃ!」と声を昂らせたかと思えば、「やろうぜ!」と誓い抱き合う真虎とゆいと。の姿も見られ、2本のツアーを経た終着地への並々ならぬ心境を感じさせる。

定刻を待たずに幕が開くと、ステージ背面に配された巨大なLEDヴィジョンにはカウントダウンムービーが。焦燥感を煽るよりはむしろ穏やかに昂らせるそんな演出に、リキッドルームが春らしい温かい空気に包まれる。期待を胸に膨れ上がったフロアからのカウントが3,2,1と始まりを告げると、穏やかな空気は一気に消失し、公演タイトル「No.1」が映し出されたのに続いて、無謀な夢馬鹿にされたって”…最後に分からせてやろうぜ!と決意表明の文言が浮かび上がる。同時に、ステージ前方からCO2の柱が吹き荒れ、袖から楽器隊がステージへ勢いよく走り出して登場。最後に真虎(Vo)がゆっくりと歩を進めて定位置に着くと早くも会場のボルテージは急上昇。

1曲目はKAKUMAY流の所信表明とも言える攻撃的ナンバー「アーティスト」。流麗なメッセージと似つかわしくない毒々としたリリックは真虎節だ。ステージに立つ5人は一目見ただけで解るぐらいに華が増しているが、一方で華だけではない経験値からくる落ち着きも感じさせた。客席にマイクを向ける真虎はその高身長でスタイリッシュなシルエットがこれでもかと大会場に映える。

IDOL」は繰り返される転調が不安感を増幅させながもら、晴(Dr)は野性的で、昨年以降の積極的な音源リリースで既存の曲も異なる持ち味にフォーカスされている発見もある。最初からクライマックスだよリキッド!という煽りの通り、会場全体を巻き込んだモッシュに加え、オーディエンスの声量はハンパなく、バンドと共に闘って築かれた信頼が結実している。スクラッチとラップを導入した意欲的な新境地の「Freak Freak」も激しさを強調するものとなっていて、このライヴがKAKUMAYからの直球勝負であることが提示されている。リフが躍動感を演出する「BITE」ではファストで性急なビートが空間を支配し、また、ステージワークが格段に進化していることにも驚いた。以前は攻撃的に激しいアクションで魅せていた、ゆいと。(Ba)がやや俯瞰したポジション取りをすることで、ギターをブン回し下手エリアを自在に動くアザミ(Gt)、上手で様式美を追求するNEROの対比が好対照に映えている。

新境地と言えば、KAKUMAYの新たな扉を開いたのは最新リリースの「共依存」。壁のように迫りくるサウンドを切り裂くような真虎の高音が抜けるバランス感覚が絶妙だが、キャッチ―なサビに合わせて、揃った振付からも楽曲の浸透具合が伺える。歌唱におけるアクセントが独特な真虎は、気が付くとクセになる中毒性が今日も好調だ。

真っ赤な空間にサーチライトのような照明が射したお馴染みの「WELCOME TO THE DARKNESS」では再びCO2が噴出された。ゆいと。のローとキメの重厚なもたりは心地よく、ライヴの定番と化しているこの曲もまた大会場でプレイされる日を待ち侘びていたのではないだろうか。

ふと、KAKUMAYのヒストリーに想いを馳せたところで、ここまで加熱の一途を辿ることになったフロアに贈られたのは「for you…」だった。コード感が気持ち良いミドルチューンでは寄り添うように歌唱を変化させ、観客一人一人に歌いかけることで世界観が増幅されていく。こういった選曲もワンマンライヴならでは。今後も大会場で聴きたいと思わせるものだった。

俺たち5人はこの曲から始まった!

激しさに妖しさを掛け合わせることでエロティックなムードを醸すのは「UNDER THE BED」。先述したにように、ゆいと。の落ち着いた振る舞いが風格を感じさせる一方で、フロアへのアピール、細やかなアイコンタクトからバンドが塊と機能していることが見て取れる。ドラム台に乗って挑発する晴、可愛らしいベビーフェイスとのギャップにフックのあるアザミ、これまで同様クールな基本線は守りつつも以前よりアツさを見せるようになったNERO。集団としても、個としても強固になっている姿は頼もしい。

KAKUMAYは元来ネオ・ヴィジュアルロックの系譜を継ぐスタイルで、アグレッシヴでファストかつ、デジタル要素を取り入れながらじゃじゃ馬のように楽器をかき鳴らす姿が、直接オーディエンスの心に迫る青春群像のようなバンドである。確かに、細かい点には粗さも見受けられるが、それをもテンションの起爆で押し切るエモーショナルが魅力だ。どこか壁を感じさせるオーラを纏いながらも、人間臭さもある。知れば知るほど、その人間の部分が香る。実際、衣装替えを済ませた真虎はMCで、明るく照らされた客席を見てえっ、こんなに人いるんだけど!と自然体で笑って見せた。この人間の部分が以前よりも色濃くなった理由についても後に真虎の言葉で答えが明かされることとなった。

リラックスした様子すら感じさせたキャッチ―な「UNCHAIN」、各メンバーが代わる代わるセンターのお立ち台でアジテートする大暴れナンバー「五月蝿い」、その暴動を引き受けながらも、孤独を感じさせる2021年リリースの「アンチヒーロー」。そしてリキッド1番のピークを作ろうか!と扇動され、ついに披露されたのは「No.1」。晴のドラミングは大陸的な広がりを見せ、会場を埋めたフロア全体は呼応するように爆発的な縦ノリで応戦した。わかりやすい激しさだけではないこの曲の持つパワーと《無謀な夢追っていたって 誰かに馬鹿にされてたって 本気で叶えにいってやるよ》の言葉が巻き起こす光景は正直圧巻で、彼らがこの会場に集めた人数だけでなく、その先の景色も予見させるハイライトかつ、「No.1」の圧倒的なアンセム力はKAKUMAY史に残るものになったはずだ。

クロージングの定番「哀なんて青春。」、誰かに迎合しないことで居場所を守る「反抗期」、バンドが外向きなメッセージを放つ大きなきっかけとなった美しいメロディの「ニアリーイコール」。

そして最後は俺たちはみんなが悲しむような歌は歌わない。みんなが明日も生き続けたくなる歌を歌い続けると誓った「ONE」で優しく締めくくった。残響の中、力が抜け落ちたようにその場に座り込んだ真虎の背中が目に焼き付く。今、出来る全てがこの場所にあった。そして、最後のMCでは感謝の辞と同時に、それぞれが夢の場所である<Zepp Diver City>への決意を再度伝えた。

日本に出てきてヴィジュアル系バンドを組みたいって言ったら、お前なんかにできるわけがない。外国人ごときがって。それでも今リキッドルームに立ってるのはこのメンバーとみんなのお陰です。
──────NERO(Gt)

俺たちの努力とかもあるけど、みんながたくさん広めてくれたからだと思う。みんなのお陰です。このまま大きくなっていきたいと思います。
──────アザミ(Gt)

周りにいつまでバンドやってるの?って言われることもいっぱいある。でも今日この5人でリキッドに立てて、こんなにたくさん来てくれて嬉しいです。
──────(Dr)

ヴィジュアル系始めてすぐの時に先輩のライヴでリキッドに来て、絶対ここに立ちたいと思って10年が経ちました。10年かけてでもリキッドに立つことができました…………この5人でZepp Diver Cityに行きます。
──────ゆいと。(Ba)

他人を必要としないくらい強い人間になろうとずっと生きてて、でもこのバンドをして、本当の意味で仲間って素晴らしいなって。このバンドで俺は母親と再会したんだけど、家族もいいなと。このバンドを通じて、周りの人がとても温かくて俺の人生の中で一番のピークが常に今です。それを感じさせてくれてるのはみんなだと思ってます。そして、仲間だと思ってます。
──────真虎(Vo)

真虎は叶わなくとも夢を口に出すことの重要性を説いた。経験や知識は時に夢を阻害する。幼い頃は高らかに発せた想いも時と共に薄れていく。それはこの先もずっと。だからこそ抗って、今こそ言葉を吐かなくてはならない。

終演後にはNEW VISUALや更なるリリース、ツアーの開催。
そして最後に202426日、Zepp Shinjukuでのワンマンライヴが発表された。
ついに辿り着くZepp、夢の場所まであと一歩。
大きな目標を提示することでバンドをブラッシュすること成功し、正直想像を遥かに超える骨太な姿になったKAKUMAYZepp Diver Cityへの審判となるであろうZepp Shinjukuまでおよそ10か月。また新たな旅路が始まった。

SET LIST

KAKUMAY No.12024.4.3 恵比寿リキッドルーム
1.アーティスト
2.IDOL
3.Freak Freak
4.BITE
5.共依存
6.WELCOME TO THE DARKNESS
7.for you...
8.UNDER THE BED
9.ヘドロ
10.UNCHAIN
11.五月蝿い
12.アンチヒーロー
13.No.1
14.哀なんて青春。
15.反抗期
16.ニアリーイコール
17.ONE

LIVE

■KAKUMAY ONEMAN TOUR ACT1「噛み合い」
2024/6/27(木)池袋BlackHole
2024/7/6(土)札幌Crazy Monkey
2024/7/7(日)札幌Crazy Monkey
2024/7/14(日)福岡INSA
2024/7/15(月・祝日)福岡INSA
2024/7/17(水)広島SECOND CRUTCH
2024/7/26(金)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2024/7/27(土)仙台spaceZero
2024/8/17(土)心斎橋Clapper
2024/8/18(日)HOLIDAY NEXT NAGOYA

-TOUR FINAL-
2024/9/4(水)Spotify O-WEST

-GRAND FINAL「GOAT」-
2025/2/6(木)Zepp Shinjuku (TOKYO)

-3rd Anniversary「噛み跡」-
2024/5/30(木)渋谷clubasia

※全公演当日無料!
※全公演当日撮影会あり!

 関連リンク

【KAKUMAY OFFICIAL】
◆Official SiteOfficial X

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