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【灰音アサナ × 山内秀一】◆対談◆「少年ヴィジュアルロック」(秋田書店・マンガクロス)連載中の漫画家・灰音アサナとVISUNAVI Japanプロデューサー・山内秀一がヴィジュアルロックの初期衝動とこれからを語る。

高校生男子4人がヴィジュアル系バンドに憧れを抱き、自身でバンドを始めることで青春の扉を開く「少年ヴィジュアルロック」(秋田書店・マンガクロス)を連載中の漫画家・灰音アサナと、そして、20242月にVISUNAVI Japanプロデューサーに就任した山内秀一の対談が行われた。バンドの初期衝動を描き、数々のレジェンドミュージシャンからも共感の声が上がっている「少年ヴィジュアルロック」を手掛ける灰音アサナ。そして、自身がオーガナイズする新世代イベント「KHIMAIRA」を始動する山内。方法論は異なれど座標軸が近い2人の対談は、初期衝動とヴィジュアルロックのこれからと多岐に渡る内容となった。

 

ヴィジュアル系が好きだって言いにくかったんですよ。



────灰音先生が漫画家になったきっかけって何だったんですか?

灰音:昔から絵を描くのは好きだったんです。ただ、「少年ヴィジュアルロック」の主人公の静弥と同じで、バンドの音楽に魅了された経験があるので、音楽のように人の心を震わせたいと思い、実は最初はミュージシャンになりたいと思ったんですよ。

山内:あ、そうなんですね。

灰音:大学時代にサークルでバンドを組んだりもしたんですけど、ライヴやった時にあまりにも緊張しちゃってステージに向いてないなと早い段階で気づいて。元々好きだったことに立ち返って漫画を描くことになったという一度挫折があったんですよ()

山内:「少年ヴィジュアルロック」の中でも、受験を控えた高校生がバンドに目覚めるワクワクや、一方で楽器の難しさにブチ当たるシーンも描かれていますが、灰音先生の経験も少なからず反映されてるんですね()

灰音:一度は通る挫折の道ですね。

山内:僕も大学の時かな?幼馴染みの友達に山内、お前俳優でテレビとか出てるから、ついでにバンドもやろうって誘われて、スタジオに連れていかれました。お前楽器出来ないからヴォーカルなって言われたんですけど、僕めちゃめちゃ音痴だったのでツライ経験でしたよ。だから、5話あたりから静弥たちがスタジオでコピー始めるところとか読んでて、胸が躍りつつも、過去の挫折を思い出しました。

灰音みんな傷を負ってますよね()

山内:それもバンド名が「自虐的特攻隊」だったんですよ()マジダサいからやめてくれって思ったのに勝手にHPまで出来てて、僕のステージネーム“THE SIX”でした。ステージ立ったことないのに()ギターの“GUILTY FACEお兄さんとは今でも交流がありますが。

────今回、灰音先生と山内さんの対談が行われることになった経緯としては、ヴィジュアル系を広めたいという意志と、シンプルにこのジャンルが好きだからっていうこともあるんですよね。

灰音:そうですね。大好きなヴィジュアル系を扱った作品を始動することはほぼ決まっていたんですけど、「少年ヴィジュアルロック」を描き始めるにあたって、2022年末の「#V系って知ってる?powered by MAVERICK DC GROUP」を日本武道館に観に行ったんです。その時にオーガナイザーを務めていらっしゃったDEZERTSORAさんがヴィジュアル系とは憧れだという言葉を発してらして、今の時代って憧れとか夢って希薄になっているじゃないですか?そんななかでヴィジュアル系には今もまだそういうアツいものが継承されているんだ、と感じてこういったものを言葉でも音でもなく、漫画で表現しようと改めて決意しました。ただ、漫画の道具として扱っているわけではないので、敬意を大切にするにはってところでVISUNAVI Japanさんと何か形にするのが貢献していくひとつの方法なのかなと。

山内:光栄です。僕もそれこそinterfmの「#V系って知ってる?」のラジオDJとしてSORAくんが声をかけてくれたことがきっかけで、ヴィジュアル系のお仕事やVISUNAVIに参画するようになったので、何か不思議な縁を感じます。作中でも描写がありますけど、ヴィジュアル系好きって何だか言いにくかったんですよ。肩身が狭いというか、特に男子には。SORAくんとは昔コンビニの夜勤時代に出会ったっていう話はよくしてるんですけど、同じヴィジュアル系好きと出会える喜びは大きいですよね。休憩中、毎晩のように好きなバンドの動画とか観てましたね。

────お二人は最初に行ったライヴとか覚えてます?

灰音:私はGLAYでした。2003年の『GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2003』です。TERUさんが「HIGHCOMMUNICATIONS」と共にゴンドラで登場する様がまさに降臨って感じですごかったです。その時に見たHISASHIさんのギターがTalboだったのもあり、ギターの響の愛機がTalboなんですよね。そういった感動の原体験を描きたいっていう気持ちは今でも強くて、その時の衝動は1話の見開きにも反映しているのでチェックしてほしいです()

山内:アンティック珈琲店のみくさんも連載開始時に初期衝動を思い出した。と寄稿されてましたよね。

灰音HAKUEIさん、The Brow BeatRyujiさん、XANVALAさんからもコメントをいただき光栄な限りです。

山内:僕はこのジャンルで言うと、Gacktさんの『THE SIXTH DAY & SEVENTH NIGHT』とかDIR EN GREYの『KEEN UNDER THE SUN』とかなのでもう20年くらい経ちますね。自虐的特攻隊のMoetくん(Vo)DIR EN GREYのライヴ中に失神して救護されたんですけど、比較的ミドルチューンの「腐海」の時で()映像や写真だけでは解らないライヴハウスの生の熱気みたいなものを味わってうん、忘れられないですね。知らない世界が広がった瞬間でした。

灰音DIR EN GREYは今年のライヴでも血糊や生卵を投げまくる演出があって、凄まじい光景でした。ライヴの異様な熱量はこのジャンルならではだなと思います。

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