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【灰音アサナ × 山内秀一】◆対談◆「少年ヴィジュアルロック」(秋田書店・マンガクロス)連載中の漫画家・灰音アサナとVISUNAVI Japanプロデューサー・山内秀一がヴィジュアルロックの初期衝動とこれからを語る。

 

人生は一度しかないので、救ってもらったジャンルに恩返しはしないと。



────ヴィジュアル系を広めていくためには何が必要だと思いますか?口コミとか、広告とか、いわゆるバズるとか色々試行錯誤はあると思うんですけど。

山内:これだけモノが溢れてる時代に、あえてヴィジュアル系を聴いてるお姉さんとかお兄さんってめっちゃアンテナが強いと思うんです。だって、わざわざ探さなきゃ出会えないのに、それに気が付いて大好きでいるって、センスが良いんですよそもそも。だからこそ好きだっていうことを発信してほしいですよね。ヴィジュアル系を広める旗振りをするのは少ヴィジュでもなくVISUNAVI Japanでもなくバンド自身ですけど、我々も応援する気持ちは満々で。

灰音:そうですね。ヴィジュアル系に出会ったことで生まれた感情とか、それが救いになって生きているところはあるので、恩返しがしたい。その応援の一端になりたいなという気持ちで描いてます。

────恩返し。

山内:恩返しであり、好きなものを肯定することですかね。多感な頃に鬱屈した感情で、自分に味方なんて一人もいないんじゃないかって思ってた時に、DIR EN GREYPIERROTMUCCが深い闇の世界を提示してくれたことによって、俺はまだ一人じゃないと気づけたこととか。人生を救われちゃってるんですよね。人生が何回かあるならヴィジュアル系は趣味にしておいて、もっと楽な仕事したいですけど。人生は一度しかないので、救ってもらったジャンルに恩返しはしないとな、と。アラフォーになって強く思います。あと、特にMUCCとかは年々音楽性やヴィジュアルも変化していって、キャリアと共に深みを増してるじゃないですか。共に人生を歩みながら成長できる気がしてるんですよ。これってヴィジュアル系の強みだなと思うんですけど、閉鎖的な部分があるからこそ長く続くバンドは、どんどん開けていった時にその生き様自体が強いメッセージになるんですよ。これは他のジャンルとの差異かな。

灰音:目標をもって夢に向かうっていうことがしづらい世の中だし、景気も悪いし努力しても売れるかわかんないし、なのにSNSで簡単に人と比較できてしまう。夢見ていこうぜ!って言ってられないような状況な気はしてますけど、それでも夢に向かうことってすごく尊いよねっていう話をしたくて、それが体現できるのがヴィジュアル系なんですよ。

山内:そもそも夢見ていこうぜ!ってジャンルじゃないからこそ()

灰音:子ども達にも夢を見てほしいんですけど、特にこれからヴィジュアル系バンドを始める人に夢を見てほしいっていうのを伝えたいなと思ってるんですよね。

山内:主人公の静弥のお母さんがヴィジュアル系に理解あるところが大好きで。

灰音:ありがとうございます!()

────少しポップな要素というのはこういうキャラクターの描写ですよね。元バンギャのお母さんもだけど、お父さんも実は優しくて良いパパだと思います。これから静弥たちのライヴとか観に来るのかなとか気になってしまいます。

山内:応援してくれる存在は嬉しいですよね。学校という対面のコミュニティの中で芽生えた感情がヴィジュアル系楽器を通して、少年たちが集まってバンドをやるという展開が青春だなと眩しく思います。静弥たちを騙す悪い大人とか怖い先輩がこの先のストーリーで出てこないことを祈ってます()

灰音:子どもを応援する大人はいっぱい登場させたいと思ってます。

山内:悪いヤツ出てきたらブラグレのメンバーにぶっ飛ばしてほしい()現実でも、若くて頑張ってるバンドを助けようっていう先輩方の存在が本当に頼もしいし、かっこいいです。誰がそういう愛情のある人なのかはきっちり見定めていこうと思ってます。

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