1. HOME
  2. NEWS
  3. 【唯(umbrella)】4月24日にソロ5th MiNi ALBUM『【独楽-dokugaku-】』リリース!全曲解説と今後の活動スタンスを明かした12000字特大ボリュームインタビュー ────「バンドスタイルでいくことも活動する名義も決まっている」

【唯(umbrella)】4月24日にソロ5th MiNi ALBUM『【独楽-dokugaku-】』リリース!全曲解説と今後の活動スタンスを明かした12000字特大ボリュームインタビュー ────「バンドスタイルでいくことも活動する名義も決まっている」


本質的な絶望って生活のなかにある



────続いてが「干渉」。この曲すごく好きです。

 あ、そうなんや。前作でも「鈍色」が好きって言ってくれてて、なんでやろってずっと思ってたんですよ。それを考えていくと、umbrellaのことを好きでいてくれる理由も自ずとわかってきました。

────「鈍色」は名曲ですよ。そういう…あえて、“エッセンス”と言いますけど、そこにグッと来る人は多いんじゃないかと思います。

 嬉しいなぁ。

────「干渉」に関しては、歌始まりでノスタルジックな歌詞の世界観の印象が強いです。歌詞に出てくる“跨線橋(こせんきょう)”っていう言葉も情景的なんですよね。

 鉄道と線路を跨ぐために架けられた橋やから、別に綺麗な橋でもないんですよね。ボロボロの橋みたいな。

────その「跨線橋(こせんきょう)から見えた 新しいマンションは 夕焼けを塞ぎ居場所を奪った」という歌詞です。どんどん原風景が失われていくみたいなところがすごいノスタルジックさを感じさせますが、余談ですけど、唯さんの生まれ育った伏見にも跨線橋があるそうですよ。

 そうなんや。

────調べてみたところ、京都タワーが奥に見えるすごい綺麗な跨線橋でしたね。

 あぁ、だとするとこの曲のイメージとはちょっと違うかも。「干渉」っていろいろ妨げになるイメージで、みんな生きてるとそういうことがあるんだけど、その象徴的なものとして、朝陽と夕陽が遮られることが浮かんで。自分にとって好きな場所だった跨線橋から見える夕焼けをマンションで遮られたときに、すべてを塞がれた気がすると思うんです。「干渉」の歌詞が最大の絶望やと思ってるんですよ。直接的な絶望はあまり書きたくないけど、本質的な絶望って生活のなかにあるから。絞りに絞ってストーリーを考えました。

────これ、絶望の曲だって、気づけなかったです。

 多分、この曲の主人公は空をはけ口にして、空を見ることでなんとか保たれてたと思うんです。「身勝手な思いを馳せている」って歌詞も、勝手に空を敵に回したり味方にしたりとかあるじゃないですか。それこそ「鈍色」も空から降るもので絶望を感じる。人って好都合に自分の感情を吐き出す道具として空を使うから、それが塞がれたら行き場がない。そんなイメージ。

────「ダイアグラム」ではダイヤの乱れとか、そういう些細なものが心の精神状態に突き刺すものを描いてて、「干渉」でも一針で大きな穴が空くことを表現してるんですよね。

 そのとおりで、このアルバム、実は1曲目から順番に作ってたんですよ。「ダイアグラム」で電車っていうモチーフがあったから、「干渉」の跨線橋が浮かんできた。「干渉」だけは、すごいノスタルジーというか、歌謡に近いことにしようかなと思ってたんです。Bメロまでは歌謡曲っぽい懐かしいメロディーで、これは家族から受け継いできた昭和歌謡とかポップスのイズムが全面に出てると思います。

────umbrellaとはメロの付け方も全然違いますよね。

 そこはね、自分の中で気に入ってて。

────「何気ない事が 呆気なく壊れていくんだ」という歌詞が肝になっているように感じます。

 それで「こんな感じで」でしょ。この歌詞も「こんな感じで」なんて、あんまり書かないじゃないですか。口語的すぎるというか、雑というか。これは別のインタビューでも言ったけど、デンジャークルーに入ったあたりから歌詞のアプローチが変わったんですよ。より飾らず作ろうと思って。それが顕著に出た部分ですね。

破竹の勢いを見せるumbrella・唯、11000字独占パーソナルインタビュー「今のumbrellaは体感的にまだまだぬるい」

・音楽へ進むことを指南した恩師
・L'Arc〜en〜Cielと同じ事務所は夢
・路地裏サーチライト再開の動機
・メンバーのお尻を叩く気持ちもある

https://ch.nicovideo.jp/visunavi/blomaga/ar2229791

────メロはどこから作っていったんですか?

 サビかな。そこから見えたものもあるし、それでできたAメロから跨線橋のイメージが湧いて、もう一回サビを作り直したり。最初の「何もない空に映す」って、サビがないとできないんです。だから、サビが一番大事で、そこからのストーリーを作った感じ。曲のパターンとかも含めて、唯ってひとつの形になるといいかなと思って。唯イズムは出していきたいですね、これからも。

────だから次の「空想シティ」も、行き過ぎないところがツボをついてくる曲かなと思うんです。

 全速力じゃないでしょ、これ。

────中速力みたいな。これも唯さんの得意技だなとは思いつつ。

 絶対ブレイクかけますからね、僕の曲。アルバムは曲順に作っていったんですけど、「空想シティ」の元ネタは8年前くらいからあるにはあったんですよ。中途半端に作ってて、サビの部分まであったのかな。「空想シティ」というタイトルと歌詞も途中までできてて、このアルバムの4曲目をどうしようってときに、ようやく手をつけることになった曲です。この曲は眠らせてたころから好きやったんですよ。このアルバムの中ではだいぶ……なんやろ、トゲのある曲かなと思って。

────トゲというか、トゲが尖ってる曲ですね。

 ここだけすごい色が爽やか…なんかちょっと違うんですよね。フレッシュなんですよ。自分の思い描く空想の世界に誰かが入ってきて、僕は「すごい町でしょ!」って言ってるけど、「お前はほんまにそれでいいんか?」と問われてるみたいな。すごいふわっとしてるんですけど、夢の中で閉じこもって、現実逃避した世界にいるのはわかってる。だけど、そこに他の人が忠告をしにやってくる曲。だから最後、「笑われそうな事を話すが」ってなる。つまり、もう自分は知ってたんですよね、ここにいたらアカンって。

────それが「空想シティ」。

 うん。自由に空想して妄想して、自分の都合のいいような世界を作ってるんですけど、他の人には忠告するくせに、自分に甘く人に厳しくみたいなものを描いてます。

────これは唯さん自身の教訓でもあるんでしょうか?

 うーん、僕もほんまに人と喋らんかったんで。昔の僕、今と全然違うんで、驚くと思いますよ。人と関わることが嫌やったし、自分の世界にずっと入ってたんで。教訓みたいなところはあるかもしれないですね。歌詞の前半は昔の自分だけど、それを客観視したうえで、後半は今の自分視点の歌詞になってます。1曲のなかで今の自分が過去の自分を否定してるんですよね。

────この時空を超えるあたりが唯さんソロのおもしろいところです。ちなみに、東京出身の人間からすると、「虹を作ってさ 渋滞のない環境に」とか「廃棄処分」っていうワードで、埋立地である夢の島のイメージに引っ張られるんですよ。

 あ、なるほどね。歌詞を改めて読み返すと無機質な世界やなぁと思いますね。誰も踏み入れてないんじゃなくて、誰にも踏み入れてもらえてないって考えるとゾッとする。

────8年前の歌詞も生きてるにもかかわらず、その部分が「干渉」で歌ってた“跨線橋から見えてた景色が遮断された先”に繋がってるんですよね。

 曲順がうまいことできたと思います。

────尖ってる部分として、ラップ的なパートもありますよね。

 ラップしようとも思ってなくて。もともと曲の中に語りパートがあると萎えちゃうんですよ。だから、リズムに合わせたアプローチにしようと思ったら、メロディーの独特さも相まってああなりました。よく考えたらこれラップになるんかな?という解釈に後で気づいたっていう。

────ライヴでどうなるかというのも楽しみですね。あと、さらに超尖ってるなって一番思ったのがあのフェードアウト。

 あ、嬉しい。

────怖いなと思いました。

 でしょ?あの最後のギターのフレーズとか、気持ち悪いんですよ。お前はここから逃れられないよって自分に言ってるって感じの恐怖感を演出したくて、唐突なフェードアウトにしたんです。ただ、かなり細かいところなので果たして誰に伝わるんだろうかとは思っていました。聴いてくれた人に伝わってるなら良かったです。

────「干渉」までの間でこのアルバムのイメージができているからこそ、余計にポイ捨てされた感があるというか。

 そうそう、いいですね。突っぱねてるんです。ここでもないよって。結構攻撃的かも。

────続いては「medicine」。唯さんは前作に続き、こういう曲は入れておきたいんだな、と(笑)。

 あははは!(笑)これは完全に僕自身の曲ですね。

────歌詞カードのアートワークもケミカルな感じで。前作の『【『唯言』】』だと「Garbage」にあたるアンチテーゼ満載の1曲になってます。

 やっぱりこういう曲は入れておかないとね。

────こういう曲を、すごく丁寧に歌うあたりがいやらしいというか(笑)。

 いや、もうそこはね、激しく歌ったらそのまんまじゃないですか。これを淡々に歌うことで、怖さっていうのが出るから、いいかなっていう。冷静な怖さ。

────ハードロックっぽさもありつつ、umbrellaではないだろうなっていう印象です。

 そう。なんか明るそうやけど、ちゃんとヘヴィだし。「Garbage」と同じで一瞬でできましたね、この曲。歌詞で言うたら…そうやな、「この世の全てが今だけでもいいから 壊れてしまえば痛みは楽になるのかな」とか、最後の「薬は手放せないけど」もマジなんですよ。鬱憤がたまってしまったら、“世界全部潰れてしまえ”みたいな気持ちになるじゃないですか?“みんな死んじゃえ”っていう。あれって一番楽な気持ちかなって思ってて、そういう側面が「medicine」にはありますね。

────「medicine」というのが、いわゆるドラッグに対するアンチテーゼとかではなく、あくまでこの曲のメッセージを伝えるモチーフっていう使い方ですもんね。

 そうそう。ドラッグをやめろとかそういうんじゃなくて、気持ち的なお薬ですよっていう。考え方によってはそれが薬になるよって気持ちなんで。 

────ああ。逆に。

 結局ね、僕って少数派なんですよね、だいたい。僕が意見を出すことによって、全員が反対することもあるし、突拍子もないことを言って共感がないから、よく頭が痛くなるんですよ。ストレスが溜まるというか、なんでわかってくれへんのやろうなぁって頭痛がするんです。でも、それに対する薬って共感の声やったりもするし。共感してくれる仲間も持ちなさいよって曲でもある。

────この曲、相変わらず弾き倒してるギターソロに一瞬耳を奪われるんですけど、間奏がすごい絶妙なんです。“medicineに飲み込まれる”じゃないですけど、なんかそういう印象がすごくあったんですよね。

 あのギターソロとかはあえてめっちゃ弾き倒してるんですけど、ちょっとメディカルな感じフレーズは意識してます。よく聴いてくれてますね。

────日常の恐怖みたいなのものを感じましたね。

 ソロの後のシューゲのフレーズがあるじゃないですか?あれも神々しいんだけど、鎮痛剤が効いてきているイメージ。

────だろうなと思いました。今作も全体的にすごく映像的なんですよね。想起させた映像を補完させるようなフレーズやアプローチが随所に散りばめられています。

 前々作『標本』の「Alter」と近いんですけど、痛みを伴わないと表現できないものってあるから。「代替商品ばかりだわ」っていうのも、自分の音楽の中でずっと思っていること。批判とかを喰らわないと独自の世界を貫けないじゃないですか、今って。だから、「痛みは増していくけど」って歌詞は自分でも気にいってるんです。ある種の戒めとして。

関連キーワードでチェック

この記事をSNSでシェアする