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【えんそく】◆ライヴレポート◆“シッコク”への帰還、そして新章≪キメラ探偵社≫が導く新未来――「21年もかかってしまいましたが、Zeppに挑戦することにしました」

えんそく無料有料2DAYS×10都市ツアー
「ボクラの21世紀改造事件(無料編)〜漆黒のシンフォニー〜」
2026.08.11 (火) 埼玉会館小ホール

この夏、えんそくが贈る特別な1日となったのが、8月11日に埼玉会館小ホールにて開催されたワンマンライヴだ。これは、現在開催中の無料有料2DAYS×10都市ツアーの埼玉公演・無料編だったわけだが、“夏のタマカン”と言えば、ヴィジュアル系シーンにおける風物詩であるイベント『漆黒のシンフォニー』を忘れてはいけない。まさにこの日は、『ボクラの21世紀改造事件(無料編)〜漆黒のシンフォニー〜』と公演タイトルを改めたことからも、えんそくにとって実に12年ぶりに“シッコク”へ帰還する記念すべき日となったのだ。さらにここへ“新章開幕”をぶつけてくるあたりが、えんそくらしい。

最新ミニアルバム『q』を軸に展開される新章の舞台は、“探偵社”。前作『新未来工場キメラ21』から始まった“キメラ”シリーズの第二章ということもあって、メンバーの装いもそれぞれが工場部品と動物を掛け合わせたものとなっている。定刻を迎えると、探偵社のドアをノックする効果音を交えたノスタルジーなSEと共に幕が開き、板付きで登場するや否や新曲『先天名探偵』をドロップすると、ぶう(Vo)の号令で手で作った虫眼鏡を掲げて捜査開始。さっそく“事件発生”とばかりにぶうは「私の推理によれば、恐らく皆さんは今日、台風で本当に行きたかったところに行けなくなったに違いない! じゃなきゃこんなに人が来るはずがない! 椅子が足りなくてすいませーん!」と自虐的に言葉を挟んだが、否、後方に立ち見が出るほどの大盛況ぶりこそ、今のえんそくへの注目度の高さを示す何よりの証拠でもあった。続いて、楽しさ溢れるヘンテコな世界を見るためのメガネを探し出すといった“メガネ”つながりの巧みな流れで『飛び出すメガネ』へ。さらに、SIN(Dr)のバチバチと叩き込むドラミングとミド(Ba)のベースソロといったリズム隊が土台を構築する骨太なロックサウンドが痛快に場内を包んだ『とってもマッケンロー』では、頭のネジやらブレーキやらを外して暴走は止まらない。


ここで、10都市ツアーの“無料公演”にて恒例となっている撮影可能曲として披露されたのは、『新未来工場キメラ21』。曲中に出現する合わせ技的煽りパートでは、拳を上げながらイスを上げ下げ(開け閉め)するという、異彩を放つ光景が広がった。これもホールならではといったところだが、“シッコク”を冠するこの日ならではと言えば、Joe(Gt)とクラオカユウスケ(Gt)のツインギターソロが炸裂するハードなサウンドと、往年のヴィジュアル系サウンドを彷彿とさせる『中二病の救世主』や、「僕たちを信じてついてきてみませんか?」とぶうが先導した『僕の宗教へようこそ~Welcome to my religion~』でのカオスなまでの一体感で、ヴィジュアル系の魅力を網羅するような情景を生み出していく様も見事だった。

こうして、スクワットや連続ジャンプでスパルタ的にオーディエンスを鍛える『机上の空論実行部隊』を皮切りに、早くも後半戦へと突入。ゴシックテイストな『アリス・エクス・マキナ』では、“マキナ”に掛けてか、クラオカが両肘に装着されているギアを合わせる場面もあったが、そんなクラオカとぶうが“世界中的に回してさ 俺が君の味方をやってやらぁ”というフレーズに合わせてお立ち台で向き合うシーンが印象的だった『惡のミカタ』でも、展開豊かな衝動的サウンドで観客をアジテート。笑いあり、情熱ありといった具合に、ところどころに青春ドラマを感じさせるようなえんそくのライヴは、「あの頃からずっと変わってない」と前置いたぶうの言葉が妙にしっくりくる『放課後毒電波クラブ』で大いに爆発力を発揮した。こうして、「ようこそ、新しい世界へ」と“新章”の幕開けを強く印象付けたのは、新曲『キメラq造探偵社』。それぞれのテクニカルなプレイが光ることもさることながら、やはり重要なのは、理想の“新未来”を作り出し、探し出すメッセージが込められていたことだ。これは間違いなく、この物語の“目的”を果たすための重要なピースとも言える。


メンバーが一度ステージから捌けると、映像を通して2027年1月15日にZepp Shinjukuでワンマンライヴを開催することが発表された。20周年公演のDVD発売記念に合わせ、『イイコの新未来~ボクラの21世紀解答詩編~』と題された本公演は、この無料有料2DAYS×10都市ツアーの“21公演目”となり、今ツアーの“答え”を導き出す日となるだろう。
「21年もかかってしまいましたが、Zeppに挑戦することにしました。12月にはBIG CAT 2デイズ、さらにZepp Shinjuku。とてもえんそくの話とは思えませんね!?」と笑い交じりに話していたぶうだったが、「Zepp Haneda、武道館だってゆくゆくやってやりましょうよ! (『バグサミ』等大型イベントでも)当たり前に勝ってやりましょうよ!」と叫んだ表情には、しっかりと自信が漲っているようにも見えた。冒頭で、この日のライヴを“特別”と言ったのには、えんそくの挑戦を露わにした日という意味も込めてのこと。今のえんそくはノリに乗っているだけでなく、清々しいまでに活き活きしている。この瞬間に生じた熱量をイイコ(えんそくのファンの呼称)と分かち合った、「終わらない“えんそくのテーマ”」と称した『最後のえんそく』が、この日もまた無邪気な心を取り戻すアンセムとなって鳴り響いたのだった。

終演後には、『漆黒のシンフォニー』を主催する浦和ナルシス代表・坂井氏がステージに登場。「よくぞ帰ってきてくれました! えんそくも冒険も、諦めたら終わり。素敵なワンマン、ありがとうね!」と温かい言葉が贈られると、“シッコク名物”とも言えるサインボール投げも行われ、思い出と前進する気持ちが盛りだくさんに詰め込まれた忘れられない1日が幕を閉じたのである。


20周年を経て、21年目を驀進している今のえんそくから放たれるオーラは、とにかくまぶしい。「一緒に、ムチャクチャやろう!」――ぶうが言っていたように、ずっと変わらない心で、えんそくにしかない“楽しい”を信じて突き進んできた彼らが、格段にフェーズを引き上げたとも言える新章の幕開け。この先に彼らが創造しようとしている“新未来”はいったいどんなものなのか……ただ、期待していて損はないはずだ。

写真 NORI
レポート・文 平井綾子

SET LIST

1. 先天名探偵
2. 飛び出すメガネ
3. とってもマッケンロー
4. 新未来工場キメラ21
5. 中二病の救世主
6. 僕の宗教へようこそ~Welcome to my religion~
7. 机上の空論実行部隊
8. アリス・エクス・マキナ
9. 惡のミカタ
10. 放課後毒電波クラブ
11. キメラq造探偵社
12. 最後のえんそく


関連リンク

えんそくHP:http://ensoku.in/
公式X:https://x.com/ensokuchan

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