【KHIMAIRA EDGE 5DAYS】DAY5・ライヴレポート<「KHIMAIRA vol.14」- EDGE5DAYS- DAY5>2026年6月14日(日)池袋EDGE◆GUMMY、CHAQLA.、NICOLAS、Z CLEAR、鮮血A子ちゃん、世代を超越した思想が集い、5DAYSを締めくくった最鋭の夜。

“キマイラ”とはギリシャ神話に登場するライオンの頭と山羊の胴体、蛇の尾を持つ幻獣のことである。つまり、“異なったものが混ざり合った存在”としてヴィジュアル系のメタファーとして名付けられたのだろう。だからこそ、イベント内においても小さなヴィジュアル系シーンを作らなければ筋が通らない。生易しいありきたりなラインナップで開催することは許されないのだ。これまでの4日間、池袋EDGEで繰り広げられたガチンコ勝負は6月14日、ついに最終日を迎えた。本稿では、Z CLEAR、鮮血A子ちゃん、NICOLAS、CHAQLA.といった若手バンドに、錚々たるメンバーで構成された新人ガールズバンド・GUMMYがあい見えた最終日公演の模様をレポートする。
◆ ◆ ◆
Z CLEAR
最終日の一番手を務めたのは広島発の令和ヴィジュアル系の急先鋒・Z CLEAR。2年前に上京してきたばかりのバンドだが、その分ハングリーさと気合いは充分。その気合いに共鳴するように童子(Z CLEARファンの総称)も凄まじい大きさの声で彼らを出迎えると「至大至剛」で最終日の幕を開けた。

「KHIMAIRA最終日、トッパーZ CLEARです。夜露死苦!」と血の気の多い広島人らしい挨拶も早々にこの日の目玉であるGUMMYに対して「女性だからってステージ上じゃ手抜けないよね。容赦しねぇからな!」と啖呵を切ると「ぶちROCK」で故郷である広島魂を見せつけてくれた。


そう、ステージでは年齢も歴も関係なく、音で殴り合うのが流儀。「今日は先輩ばっかりだけど、ステージ上のこの時間だけは無礼講だと思ってるので、今日はお客さん全部掻っ攫うつもりで来ました!」とジャイアントキリング上等と「豚の貯金箱」を投下すると、「夜露死苦ブギー」ではZ CLEAR流のロックンロールを鳴らし、フロアはモンキーダンスで応戦。



2年前、彼らに手を差し伸べてくれたVUSUNAVI JAPANプロデューサー・山内氏への恩返しはイベントを盛り上げること。その使命を胸に「ラスト一曲、先輩バンドよりかっけぇの見せてやるよ!凄ぇの見せてやるよ!」と「JUNKIE」をプレイし、その生き様と音を確実に刻みつけてステージを後にした。物怖じすることなく持ち前のヤンキー精神で対マン勝負を挑んだZ CLEAR。その手応えはステージを後にする際のAKIRA(Vo)の笑顔が物語っていた。

鮮血A子ちゃん
会場に充満する爽快感を一変させたのは二番手・鮮血A子ちゃん。

叫び声にも似た怒号にの中、滅多刺しひろくん(Vo)はお決まりの三徳包丁を振り回しながらステージインすると、そのまま「嗚呼メクラ」でライヴをスタートさせ、会場を一気に不穏な空気で包む。セーラ服にスクールバッグを背負い、感情に任せて叫び散らかすひろくんの不気味さは、ボイスチェンジャーを使ったサイコポップナンバー「惨殺日和」をもって増幅され会場に届けられることとなる。

一体、何をしでかすかわからない危うさがあるのが鮮血A子ちゃんの魅力であり、この日もフロアと口論を繰り広げたり、ヴィジュアル系バンドマンに悪態をついたり、とてもじゃないが文字にできない言葉を口にしたり、スクールバッグを投げ捨てたりと随所に奇行を連発。その常軌の逸し方や取り止めのなさに、ライヴを見ながらどうやってレポートを書けばいいのか頭を抱えたのは明白だ。



しかし、どこか癖になるのが鮮血A子ちゃんの音楽。持ち前のサイコポップとヘヴィサウンドを掛け合わせた「3年5組の特異点」では人類に敵意を剥き出しにバンドが掲げる“人類屠殺”を表現。

その傍若無人さはラストナンバー「人肉饅頭たぎるくん」でも存分に見せつけ、しまいには自らの財布からありったけのお札をフロアにばら撒く始末。去り際に「みんな色々あると思うけど、大丈夫だよ!最悪留置所入ったら3食つくじゃん!」と言い残し、この場も我々の心も荒らして帰っていった。ただ、言いようのない不気味さと、少しのあたたかい気持ちが不思議と胸に残ったのであった。

NICOLAS
やりたい放題に散らかされたこの場の軌道修正を任されたのはKHIMAIRAの門番・NICOLAS。初日に引き続きの登場となった彼らは初日以上のボリュームの叫声に迎え入れられると「無明」でライヴの幕を切って落とした。




そのまま「曼珠沙華」、「怒涛ノ羊」へと雪崩れ込むと悪童会(NICOLASファンの総称)はヘッドバンギングで応戦。この日もステージとフロアの熱さ比べは池袋EDGEに凄まじい興奮を生み出していた。「まだ暴れ足りないでしょ?最後まで思いっきり対バンしてってください!」とさらに熱を上げることを高らかに宣言し「PERFECT FALL」を初日以上の熱量をもって届けると、とどめにお見舞いしたのは「遮断」。途中からCHAQLA.のANNIE Aと鷹乃助が飛び入り参加すると、会場からは大きな歓声が上がり、会場のボルテージは最高潮へ。

SAKU(Vo)は「初日からずっと待ってたんだ」とはにかんだが、きっとこれはKHIMAIRAを背負う者同士が束になって高すぎる壁を倒すための共鳴だったのだろう。また、彼は「俺はKHIMAIRA=CHAQLA.で、CHAQLA.がこのイベントを未来に繋げると信じています。だから俺は精一杯この出順をGUMMYに繋げます」と続けた。KHIMAIRAを背負う者同士でありながらも、CHAQLA.に花を持たせつつ、自らは自らに求められた責務を全うする。これがNICOLASのかっこよさであり男らしさだ。

彼らがなぜここまで仁義に厚いのか。それはNICOLASが外の世界を“遮断”した先で出会ったのがKHIMAIRAであり、CHAQLA.だからだったのだろう。そんな関係値に胸を熱くしながらラストナンバーである「真昼の蜃気楼」を見届けたのだった。

GUMMY
ここまでの3バンドで会場内にはかなり男臭さが漂っていた。そんな池袋EDGEにフェミニンな風を吹かすべく四番手として登場したのは新人ガールズバンド・GUMMYだ。

彼女たちは3月に始動したばかりだが、始動前の1月にシークレットという形でこのKHIMAIRA派生のイベントに出演した過去があり、始動以降破竹の勢いで突き進む彼女たちにKHIMAIRAに帰ってきてもらうというのも山内氏の今回の企画の目的の一つだったという。
優雅な調べと手拍子に導かれ登場したGUMMYの面々。マッド・デンジャラス(Gt)はレースのチュールにコサージュをあしらった出立ちで登場したが、その見た目とは裏腹に狼煙のように鳴らしたギターの出音一発で全てを黙らせる説得力が宿る。色モノだがホンモノ。誰もが一瞬で理解した瞬間であった。
陰鬱とした「グランジ」でゆったりと幕を開けた彼女たちのライヴは「氷の結末」で急加速させ、Gara(Vo)は「KHIMAIRA、帰ってきました!GUMMYです!」と挨拶すると、「もっと可愛いって言ってくれないかしら!」とおねだりまでしてみせる。

新人バンドとはいえ、錚々たるバンドでキャリアを積んだ歴戦の猛者によるバンドなだけあって、この日出演しているどのバンドより音が大きく、切れ味が鋭い。その切れ味は「死神は赤いハイヒールを履いて、首輪を残す」の高速カッティングでも炸裂し、康太(Ba)のドライヴ感のあるベースとLotty(Dr)のタイトなドラミングによる強固なリズム隊は腹の底まで響くほどの低音を聴かせてくれた。



もちろん、キャリアでいえばこの日出演しているバンドたちと比べると倍近くの差があるだろうが、そんな大ベテランたちが真正面から取っ組み合い、受け止め、音で殴り返してくれることに感銘を受ける。そして、この日の経験が必ずヴィジュアル系シーンの未来へと繋がるのだろう。しかし、彼女たちはそんな素振りも見せずに、打ち上げで美味い酒を飲むためにただただ大きな音を鳴らすというのがニクいじゃないか。

こうして、彼女たちは「シール」で感情をぶち撒けてライヴの幕を閉じ、Garaはフロアに別れの投げキスをプレゼント。楽器陣は耳鳴りがするほどの残響を残してステージを後にし、そのまま打ち上げ会場に消えていった。

CHAQLA.
残すは最終日の大トリを任されたCHAQLA.のみ。名実ともにKHIMAIRAの看板を背負っている彼らがこの5日間を通して何を得たのかを確かめるときがきた。幕が開くと、すでにCHAQLA.の面々がお決まりの開眼ポーズでスタンバイし、やる気満々の顔をしているのが見て取れた。そして、その気合いは音の大きさにも現れており、初日と比べると明らかに大きな出音が我々を襲ってきたのだ。

「5DAYS、大トリのCHAQLA.です!今日は俺たちの音楽と、俺たちのKHIMAIRAを最後まで楽しんで帰れよ!」とANNIE A(Vo)が挨拶すると、初っ端から「PLAY BACK!!!」を投下。そして、合言葉となっている「かかってこいよ!」はKHIMAIRAの象徴として、これまでの5日間に出演したすべてのバンドに向けた宣戦布告であった。

また、ANNIE Aはこの5日間を振り返り、ヴィジュアル系の面白さを再確認したと同時に、普段混ざらないようなバンドを合わせて面白いイベントを作ろうとするKHIMAIRAというイベントの心意気を感じたという。さらに、CHAQLA.がKHIMAIRAと共鳴する“ヴィジュアル系は自由であるべき”という思想を、彼がリスペクトするこのジャンルの始祖ともいわれるピンク髪の宇宙人への敬意を込めて作られた「SINK SPIDER」を通して表現。まさしくこれはCHAQLA.というバンドこそ、バンドが持つ思想や、それを表現する音や姿勢への筋の通り方も含めて、これからのヴィジュアル系シーンを背負って立つべき存在に相応しいと確信した瞬間でもあった。



そして、本編ラストにプレイされたこの日2回目となる「PLAY BACK!!!」の「かかってこいよ!」は間違いなく冒頭のそれよりももっと大きな対象――ヴィジュアル系シーン全体に向けた宣戦布告と受け取った。発破をかけられるとその分強くなる性分なのがCHAQLA.だが、この5日間で彼が得たものはシーンを背負う覚悟だったと思うくらい鬼気迫るステージだったし、そんなものを見せてられたらアンコールが起きないわけがない。

再びステージ舞い戻ったCHAQLA.の面々はサプライズで新曲「D.O.D」を披露。曲中にNICOLASのSAKUがビールを差し入れると、それをメンバーで回し飲みするなどやりたい放題で、Bikkyに至ってはビールを頭から浴びてドラムを叩く有様だった。そして、「俺たちとお前たちで、この5DAYSを終わらせるぞ!」と正真正銘ラストに演奏された「ミスキャスト」で5DAYSの幕を閉じたのだった。

改めてこの5日間を振り返ると、同じジャンルにいながらも、それぞれラインナップに違った個性があり、それぞれのラインナップに極端な振れ幅があることで、ヴィジュアル系シーンの異質さというものがより際立つようになっていたことがわかる。これこそがヴィジュアル系の面白さであり、音楽的自由度の高い無限の可能性を秘めたシーンであるということの証明であるといえるだろう。
今日において形骸化されつつあるこのシーンにも、まだ表現の方法としてヴィジュアル系を選ぶバンドがこんなにもいるということ。そして、そのバンドのために血の通ったイベントを作る人間がいるということ。その出会いは間違いなくシーンの未来を作るに違いないし、KHIMAIRAというイベントが発展するということはすなわちヴィジュアル系シーンが発展することとイコールなのである。
あらゆるものを飲み込んで出来たキマイラはヴィジュアル系シーンそのものであり、これからもさらに予想もつかないような形で大きくなり続けることを願っている。
そして、我々が見たことも想像したこともない“怪物”となるのだ。
Text:オザキケイト
Photo:Megumi Iritani
SET LIST
「KHIMAIRA vol.14」- EDGE5DAYS- DAY5
2026年6月14日(日) @池袋EDGE
⚫︎Z CLEAR
至大至剛
ぶちROCK
羨望の風
束狐
豚の貯金箱
夜露死苦ブギー
JUNKIE
⚫︎鮮血A子ちゃん
嗚呼メクラ
惨殺日和
凌遅あやめちゃん
精神分裂病拉致男
宇宙と首輪の憑いてる少女
あたしの処女膜は恋わずらい
3年5組の特異点
人肉饅頭たぎるくん
⚫︎NICOLAS
無明
曼珠沙華
怒涛ノ羊
木漏れ日
PERFECT FALL
遮断
真昼の蜃気楼
⚫︎GUMMY
グランジ
氷の結末
プリンにスプーン
無色サーカス
天国少女
不良
死神は赤いハイヒールを履いて、首輪を残す
ジグゾ
グミのテーマ
シール
⚫︎CHAQLA.
PLAY BACK!!!
首魁の音
Liberation-369
SINK SPIDER
未知への旅路
PLAY BACK!!!
En1. D.O.D(新曲)
En2. ミスキャスト

「バトルキマイラvol.7~umbrellaを困らせろ!~」
7月28日(火)大塚Hearts +
OPEN 18:00 / START 18:30
前売り¥4,500 / 未成年 ¥500
umbrella
夜光蟲
鮮血A子ちゃん
一般発売中!
http://eplus.jp/battlekhimaira/

「バトルキマイラvol.8~有名人を倒せ!~」
7月29日(水)大塚Hearts +
OPEN 18:00 / START 18:30
前売り¥4,500 / 未成年 ¥500
ティンカーベル初野
東亰浪漫
Z CLEAR
一般発売中!
http://eplus.jp/battlekhimaira/

バトルキマイラ~晩秋のCHAQLA.2DAYS編~
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DAY1 2026年10月20日(火)
大塚Hearts+ OPEN18:00 / START 18:30
CHAQLA.
DAMNED
DazzlingBAD
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DAY2 2026年10月21日(水)
大塚Hearts+ OPEN18:00 / START 18:30
CHAQLA.
Z CLEAR
鮮血A子ちゃん
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一般¥4500、未成年¥500
一般発売 7月25日(土)10:00~
http://eplus.jp/battlekhimaira/

バトルキマイラ~真冬のまみれた2DAYS編~
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DAY1 2026年12月15日(火)
大塚Hearts+ OPEN18:00 / START 18:30
まみれた
鮮血A子ちゃん
DAMNED
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DAY2 2026年12月16日(水)
大塚Hearts+ OPEN18:00 / START 18:30
まみれた
Z CLEAR
おいでよ!幽霊ズ
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一般¥4500、未成年¥500
一般発売 8月2日(土)10:00~
http://eplus.jp/battlekhimaira/
関連リンク
◆Z CLEAR Official X https://x.com/Z_C_OFFICIAL
◆鮮血A子ちゃん Official X https://x.com/senketsu37564
◆NICOLAS Official X https://x.com/NICOLAS_PSYCHO
◆GUMMY Official X https://x.com/Gummy_20260307
◆CHAQLA. Official X https://x.com/CHAQLA_offi



