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【Thiss.】スペシャルインタビュー◆「子どもがいることで、より一層自分に嘘をつけなくなる」
子どもがいることで、より一層自分に嘘をつけなくなる
────Thiss.が動くきっかけになったメカクシの1日限りのライヴについても聞かせてください。率直に再び集まろうと思った理由は?
浚ヤ うーん、なんて言うんですかね。ちょっとどう伝えるかが難しいんですけど…やりきれないことがあって。なんでこうなったのか、意味がわからないというか。この感情はどうしたらいいんだろう、どうすべきなんだろうってことが起きて、その結果として1回だけメカクシをやることでしか答えが出せないんじゃないかって思ったんです。
────事実関係だけを言うと、元メンバーさんが不慮の事故で急死されてしまったわけですよね。
浚ヤ 人の数だけいろいろな想いがあると思うけど、みんな悲しいし、僕もツラかった。自分自身も含む、悲しい気持ちを持った人の心を浄化するにはどうしたらいいんだろうって、葛藤があって。それで悩んだ末に、僕らにはライヴをすることでしか整理できないなと思いました。元メンバーたちと相談して、音楽で出会った仲間やから、できることは音楽しかなかったんです。
────このことについては公の場で話してきてないんですよね?
浚ヤ そうですね。あのどうしようもない感情を共有できる仲間っていうのは結局当時のメンバーたちだったんです。それぞれ別々の道を歩みましたが、あのとき僕らは一緒に生きていたんだってことを、彼らと再会したときに感じましたね。そもそも、メカクシをまたやろうって話はずっと持ちかけられてたんです。でも、僕はさっきも言ったように、中途半端にやることはイヤだった。ただ、僕らの感情だけを整理できてもしょうがない。彼を好きだった人の感情がSNSにも溢れていて、それを受け止めて僕らにしかできないことをしないといけないと思った記憶があります。

────でも、そこからメカクシを継続しようみたいなことにはならなかったんですね?
浚ヤ それこそ誠実じゃないですからね。
────ぶっちゃけ、“またやろう!”って誘われていたときに彼とまた一緒に音楽をやっておけばよかったっていう後悔はあるんですか?
浚ヤ 後悔はまったくないですね。僕は僕で自分の人生を豊かにするために精一杯生きていたし、彼も他のバンドで頑張っていく道を歩んでいた。僕はその活動をすごく応援してたんですよ。夜中に公園で飲みながら話したりもしました。そんななかで彼を引っ張りだして表に出るっていうのはちょっと考えにくいことでしたね。彼は大きなイベントにも呼ばれ始めたりして、僕も熱くなっていたというか。頑張れよ!っていう気持ちでいた。…後悔で言うなら、もう1回ちゃんと話したかったなって感情はずっとあります。
────ご自身にもお子さんが生まれたことで、死生観には影響がありました?
浚ヤ 正直それが大きいですね。彼の話と自分の子どもの話は全然別のことのようですけど、自分にとっては身近な命の話で。生命って有限で、だからこそ尊いじゃないですか。そういうことを強く感じているなかで、命を与えられた自分に芽生えた“音楽をやりたい”っていう気持ちに誠実でいようって思ったんですよ。と言うのも、子どもがいることで、より一層自分に嘘をつけなくなるんです。
────お子さんはバンドをしているお父さんを観たことはあるんですか?
浚ヤ ないですね。娘2人なんですけど、今回公開したMVの編集画面とかチラッと観て「これパパなの?」って言ってきたり、最近はThiss.の曲を口ずさんだりしてます(笑)。だからこそダサい音楽も生き方もできないですね。人間として大事なことを歌っていけるバンドで在りたい。意味の解らん歌は歌いたくないです。
シロ 僕もこの数年でちゃんと社会を知る機会があって。自分に足りないものがたくさんあることに気づいたんです。音楽から離れそうになったこともあるんですけど、離れられなくて、もう一度音楽をやろうと思って。それで、やっぱりやるんだったら本当にやりたかった人とやりたくて、ずっと浚ヤさんを見てました。浚ヤさんがメカクシ解散後に開設したアカウントがあるんですけど、音楽に対する想いを吐露しているのも知っていたので、こうやって今度こそ一緒にやれることが嬉しいです。
────とは言え、久々にバンドを組むことはシロさんにとっても、それなりのハードルがあったような気もします。
シロ そうですね。僕は名古屋でやっていたバンドを抜けたあとに一度上京して、新しいバンドを組む直前までいったことがあるんです。ただ、そのときに自分は音楽がしたいのか、それとも好きな仲間と音楽がしたいのかっていう選択を迫られて。やっぱり僕は好きな仲間とじゃないと音楽をしたくないなって結論に至ったんです。だから、浚ヤさんとじゃなければこういう形になってないかな。あと音楽的ルーツが近かったのも大きいですね。

浚ヤ 僕は兄の影響でXから入って、DIR EN GREYとかも聴いてきたし、the GazettEも好きなんです。
シロ その辺が似てるんです。特にthe GazettEあたりは。
────だから曲も振り幅あるし、ミクスチャーっぽさみたいなものも強調されてるんだなって納得がいきました。ただ、それがあくまで一要素に留まってるのは歌唱力による部分が大きいのかも。
浚ヤ 音楽をするうえで、モノマネも時には必要だと思うけど、その前に自分を出すことが大事なので。そこはちゃんとオリジナリティをもってやっているつもりです。あと、僕の音楽のルーツは合唱で、小学生の頃には合唱部でNHK等の合唱コンクールで優秀賞獲ったり、ミュージカルに出たりもしていたので、歌自体にも様々な要素がミクスチャーされている感覚はあるかもしれません。好きな音楽がthe GazettEやDIR EN GREYなだけであって、Thiss.として目指してるものが必ずしもそういった音楽ではないってことですね。
────それはこの2年間出してきた楽曲のバラエティからも感じるところです。そもそもはカバーをやろうぜ!からオリジナル制作に舵を切って、いよいよライヴをしようってモードになったのはどうして?
浚ヤ 曲数が充実してきたことと…諒ちゃん(Azavana・諒平)の影響が大きいかなぁ。アイツがマジで焚きつけてくるんですよ。優しいヤツなんで尻に火を点けようとしてくれてたんでしょうね。
シロ 諒平さんの存在はマジで大きいです。
────彼も人間性が素晴らしい男ですよね。優しいのはもとより、困っている人の気持ちも理解するし。ところで今後のThiss.は当面、関西を拠点に活動していくんですよね?
浚ヤ そうですね。
シロ リズム隊はサポートなんですけど、ちゃんと4人バンドの編成でのライヴを考えてます。
────たしかに取材時では最新曲の「デザイア」はこれまでになくライヴを想起させる楽曲になってますもんね。いよいよ動き出す感があります。
シロ でも、「デザイア」はライヴをすることを決めてから作った曲じゃないんですよ。本当はもう少し先に出す予定だったんですけど、ライヴをすることになったから前倒しで出したんです。だからそういう印象になるのはすごく狙い通り。
浚ヤ ライヴでの盛り上がりみたいなところもイメージすると「デザイア」を先に出した方がいいかなと話し合いました。