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【Chanty】スペシャルロングインタビュー◆ワンマンツアー総括と13周年公演、ミニアルバム制作秘話、そして来年4月9日開催のSpotify O-Crestワンマンに向けた想いを語る。「見栄で固めたバンド像なんて、誰にも届かない。」(芥)


「微熱」は、今のChantyに感じる翳りを突き破りたいという気持ちを込めた曲。



────では、歌詞のお話に移ります。今作は、全体的に歌詞に迷いが無かったとか?

芥 無かったです!

────芥さんの中で今伝えたいことや、Chantyとして表現したいものが明確でした?

芥 それはわからないけれど、やっぱり「微熱」がきっかけではありました。「微熱」のデモ時のタイトルは「motto」で、今のChantyに感じている停滞感だったり、まだ行き切れていない“どうしよう”感みたいなものを、歌詞と曲の上でも突き破りたかったんですよね。だから、メンバーみんなでコーラスをすることも最初から頭にあったし、全員で総攻撃して今のChantyに感じる翳りを突き破りたいという気持ちを込めた曲でした。“ただなんとなく息をしてる僕らは”というところから、“呼吸”というものに繋がって、そこから順々に他の曲を書いていったんです。あ、「累々」は別ですけどね。歌詞からも伝わるかもですが、あれは蝉の曲なので。

────最後、抜け殻を見上げていますからね。

芥 そう、蝉の姿に自分たちを重ねています。自分たちも“こうありたい。”とか“他とは違うんだ。”なんて思いながらも、いずれは必ず死んでいく。“そうなれなかったな。”と思いながら最期を迎えるのは嫌だなと思って書きました。だから、歌詞の順番的には「微熱」と「累々」を書いてから、他の曲を埋めていった感じです。

────なるほど。

芥 そうやって“生きる中でのこと”を考えていたら、コロナ禍を思い出してきて。あの時期って、いろんなことがしんどかったけど、ある意味ではとても幸せだったと思うんですよね。他の人の呼吸に耳を澄ますことができた、というか。物理的な距離ができてしまったことで、みんながみんな、何とかお互いのことを知ろう・理解しようとしたじゃないですか?でも、あれだけの想いをしておきながら、段々とそういう気持ちが無くなっていってしまうんですよね。

────喉元過ぎれば何とやら・・・本当に人間って生き物は、です。

芥 そういうことを前提に書こうと思った。「微熱」と「累々」のパッケージがある中で、それを総括して『深々呼吸』という名前で書いていこうと決まって。それが始まりですね。

────「微熱」の“「誰かが生きたかった今日だとか わかってんだよ、だからさ、もがいてるんだろ?」”というフレーズは、私の中の『2026年に生まれた名フレーズランキング』で現在ぶっちぎりの1位です。

芥 ありがとうございます!自分でも、“これはきたな!”と思いました(笑)。

一同:(笑)

芥 「誰かが生きたかった今日なんだから、頑張れ!」とか、余計なお世話だよなと思ってしまう。

────それぞれの人生の上では、そういう言葉で片付くものではないよなと感じます。

芥 このバンド自体、その中でもがいている部分もあるし。それぞれの人生においても、そんなことを感じる場面があるだろうし・・・うん、この曲は結構そこに尽きるかもしれない。生きている限り誰しもについてまわることだから、オーディエンス含めてああいう一体感が出せるのかもしれないですね。でもね、この曲は歌詞より何より、一番カッコいいのはソロですからね!

────ギターソロで芥さんが扇動してフロアから一斉に手が上がる光景、本当に素敵ですよね。

一同:そう!

芥 良いですよね!僕は毎回、1人で物凄く感動してしまうんだけど。

shota 1人で!?

野中 1人じゃないと思うよ。

白 うん、凄く良いですよね。

芥 便宜上はソロと言っていますけど、あれはソロじゃないと思っていて。みんなでグワッと熱を上げる感じ、「微熱」のメインディッシュはそこだと思います。

白 Cメロに疾走感があるのも良いんだよね。

一同:確かに!

芥 そう考えると、ベースソロの時点で富士山の五合目あたりに居る感じで、そこから段々と上がって、ギターソロで御来光が・・・(笑)。

一同:(笑)

────わかりやすい喩えでした(笑)。

芥 御来光の後のCメロからは、ちゃんと朝陽が上った後の明るさだし。“「微熱」of人生”みたいな歌詞が書けました!自分でも「微熱」の歌詞は満足しているし、正直、今回の歌詞はどれも良いのではないかと思っています。

────「唯一輪」は、まずタイトルの美しさからして惹かれました。そして、Xに書いていらした「僕らはいつだって唯一輪。誰かと出会って花束になる。」という思考が本当に素敵だなと。

芥 これもコロナの時のことを思い出した部分もあるんですが、人間は孤独という大前提の中で、あの時に感じた物理的な「独り」よりも今の方が独りに感じることって多いなって思っちゃったんです。誰かと共に生きることって、段々と当たり前になっていきますよね。初めて出会って共感した瞬間の初期衝動っていうのはなかなか超えられないもので、出会った後にもそれを超える瞬間っていくらでもあるはずなのにどんどん気付けなくなったり気付こうとしなくなっていく。本当に人間ってどうしようもないですよね。

────本当にそうですね・・・当たり前なことなんて何ひとつ無いのに、いつの間にかそれを忘れて、しかも忘れてしまったことすら気付かない。改めて考えると、とても怖くて寂しいことだと感じます。

芥 バンド内だって私生活だって、いろんな場面であることです。そんなどうしようもない感覚を、この曲に詰めました。そうはいっても自分の理想を相手に投げかけるって感情も当然の行為だから、マジで禅問答ですよね。こんな美しい曲ですけど、この曲を書いてる時はだいぶ殺伐とした気分で書いてたので、うまいこと形になってよかったと思ってます。

────変わってしまうことも、いつかは終わってしまうことも、その全てに抗うことは難しい。でも、大切なものを少しでも心と記憶に留めて今日を始められたら、見落とさずに済むことが増えるかもしれない。

芥 うん。個人的に、この曲の歌詞から「真空透過」の歌詞で終わるのが、このアルバムで一番歌詞の面で満足してるポイントかもしれません。

バンドが提案したこととファンの人たちがやりたいと思ったこと、それがたまたま合致した時に生まれるものに惹かれる。



────「累々」は久しぶりに比喩全開な歌詞ですが、“聞き飽きた言葉の葬列に 心預けたくなかった”もお気に入りのフレーズです。

芥 僕もそこが好きです!そういうChantyでありたいと思いつつ、でもChantyも段々その葬列の中に加わっていくんだろうな、今だって葬列の中に居たりするんだろうな、という気持ちもありつつ。変な自己否定とかではなく、そう思っています。

────どう伝わるか、どう受け取られるかというのもあるし、難しいですよね。『USHIMITSU DANCE』は、時々出てくる爆裂ブチ切れ系で。

芥 最近、本当はもっとこういう歌詞を書きたいんですよ。

────そうなんですか!でも、ある意味凄くChantyらしい歌詞でもあります。

芥 そう、主に5人時代にあった感じかもしれない。

────まさに!“大概のことに病み飽きたから 丑三つ時ダンスでもはじめよっかな”って発想が凄まじい。

芥 これはもう不眠症特有のやつです(苦笑)。

────芥さんがこの曲を踊っている動画に、shotaさんが「家でなんて事してるんだ・・・」とコメントされていたのがリアルでした。

shota 一般人が誰しも思うであろうことを、俺が代弁しました(笑)。

芥 自分的には“大丈夫?くらい言ってくれるかな”がベストフレーズです。

────芥さんが普段使うことが無さそうな“社不ぶって”にも少し驚きましたよ。

芥 いや、使うというか結構思いますよ。“心配して欲しいな!”って。

一同:(笑)

────ちょっと“構って欲しい”精神が・・・。

芥 出ています(笑)。「微熱」みたいな正統派の歌詞以外では、この曲の歌詞が一番好きかもしれない。

白 ちょっとラフな感じも良いよね。

────ライヴで、みんなで叫んで発散できるのも良いです。

芥 そうだ!“大丈夫?くらい言ってくれるかな”のところを、ファンの人たちに歌って欲しいんですよ!僕が“社不ぶって欠勤したらさ”と歌ったら、“大丈夫?くらい言ってくれるかな”をレスポンス的に返して欲しい。今その部分で流れている僕の声を、大きい声で掻き消して欲しい。

白 あ、良いね!

野中 このインタビューで伝わったらいいね。

────書いておきましょう!

芥 でも、うちのファンの人たちは僕の言うことをフル無視することがあるので(笑)。

野中 そうやねんなぁ(笑)。

────それはどういう・・・?

芥 あ、全然嫌な話ではないです!僕が何かを提案した時、ファンの人たちが“それは違うぞ!”と思ったら、頑なな意思表示をする時があるんです。僕は、そういう反応も結構好き。ボーカルの言うことを100%聞いて欲しいとは思っていないし、バンドが提案したこととファンの人たちがやりたいと思ったこと、それがたまたま合致した時に生まれるものに惹かれるので。

────確かに!

芥 “こうだ!”と思ってやったけどモッシュが止まったこととか、何度かありますよ。そういう時、僕は下唇を噛みながら歌い始めます(笑)。

────ファンの方たちが自分たちなりの正解を導き出すくらい考えてくださっていたからこそだと思うと、嬉しくもありますよね。

白 うん、そういうことですよね。

芥 ステージに居るからって上から物を言うわけではないし、フェアというかフラットなので。「頭振れ!」と言っても“私はじっくり観たいから”と絶対に振らない人も居るし、僕はそれで良いと思う。Chantyは、そういうバンドで在りたいです。でも!良ければ!「USHIMITSU DANCE」の今の部分は、僕の声を掻き消すくらいの素敵な声を聴かせてもらいたいです!

一同:(同意)

────この場で提案しておきましょう!次の「帰らない」は、先日の周年で“これは終わりの夜じゃない始まりの夜”をあまりに美しく体現していらして。

芥 うん、本当にそうでしたよね。

────“途中下車した音が描いてた 夢もそっと忍ばせ飾ってるから”も、とてもChantyらしくて。各地へ音を届けに向かうChanty号の様子が、より鮮明に浮かびます。

芥 確かに。僕は、あまり機材車の運転をしないんですけどね。

野中 風にあおられちゃうから・・・全員、途中下車することになっちゃうから・・・。

一同:(大爆笑)

────ご説明をお願いします!

芥 “横殴りの風にハンドルを取られながら”というフレーズがあるんですが、ここで言う“横殴りの風”は車のトラブルではなく人生やバンドの活動においてのトラブルという意味で書いていたから、自分としてわりと感動的な良いフレーズだと思っていたんですよ。

────もしや、リアルな強風だと思われていた?

芥 そう!過去に僕が高速道路で強風に煽られて転倒しそうになったエピソードを知っているファンの人たちがいて、その人たちから「あのエピソードが思い浮かびました。」という反応がきて(笑)。

一同:(笑)

芥 自分でも、そう捉えられる可能性があると過ぎってはいたんですけどね。

野中 物理的な風ではないよっていう(笑)。

白 そのエピソードトークが先に出ていたからね。感動にも面白エピソードにもなる歌詞、二度おいしい(笑)。

────ですね!“立ち止まる時がこなけりゃずっと嘘にならない”は、本当にそのとおりだよなと思います。

芥 まだ嘘にしたくないことがたくさんありますからね。僕の中では、やっぱり機材車はshotaくんが運転しているイメージです。BGMにUVERworldが結構な爆音で流れる中、僕はちょっと音でかいなあと思いつつ窓から遠くを眺めながら・・・。

shota あははははは!(笑)

芥 「いつも運んでくれてありがとう!」という気持ちも込めた曲です(笑)。

周年ワンマンでこの曲を歌い終わった瞬間、映画のエンドロールみたいな気持ちになって。



────ラストの「真空透過」は、1分半という短い時間の中に詰まっているものの密度が物凄くて。

一同:確かに。

────逆に、この分数以外は考えられないというか。

白 そう、これで良かったと思う。しょうてぃも、この歌詞がお気に入りだし。

shota (笑顔)

芥 shotaくんは、ちょっと馬鹿にしていると思う!ずっと「トートートートー!」って言っているんですよ。「ツー」は言わないんだよね(笑)。

shota そうです、“ト”だけがわかりやすくて良いです(笑)。

────この曲のドラム、歌っているような抑揚が綺麗なフレーズでとても好きです。

芥 難しいドラムですよね、「トートートートー」に頭を持っていかれるとミスするから。

shota そう、これは集中しないといけない。聴く分には良いんですけど、演奏する側は集中しないと崩れてしまうので。

野中 身体に入っていかないというか、人の身体に馴染まない拍子だからね。

────モールス信号を入れたのは?

芥 モールス信号ではあるんですけど、この信号自体に意味は無いんですよ。

野中 無いの!?「SOS、助けて」ではないんや?

shota そうなんだ!?

白 SOSには、信号がちょっと足らないんだよね?

芥 そうです。これは伝わる人にだけ伝わればわかればいいかなとも思っていたんですけど、SOSと言いたいけれど、それが伝わっていない。途切れている。もしくは、言いたいけど言えない。だから、“こんなに近くに居るのに僕らは遠くて 目と目を合わせてみたって何も聞こえない”なんです。

────真空って、音が聞こえないから。

芥 そう。本当は『・・・---・・・』の3・3・3でSOSなんだけど、この歌詞では3・2・3とか2・2・3になってる。メロを詰め込んでSOSにすることもできたけど、“助けて、助けて”と繰り返す曲にするのもちょっと嫌だなと思った。

一同:確かに。

野中 SOSって、有名なモールス信号だもんね。

芥 有名だから、意味のあるモールス信号にしたくなくて。

野中 「間違ってるやん、芥さん!」と思ってしまった人も居るかもしれないから、ここで話せて良かったね。

芥 別に、それはそれでOKだけどね。でも、僕は「助けて」なんてひとことも言っていないので!(笑)

野中 横殴りの風に吹かれても・・・(笑)。

一同:「(強風に煽られながら窓を叩いて)トートートー・ツーツーツー・・・」(爆笑)

────それはさすがに助けてもらってください(笑)。

芥 まぁ、僕の中にはそういうギミックもある歌詞でした!

野中 確かにギミックやな!

shota そういうところが凄い。

────本当に!歌詞も曲も素晴らしい仕上がりでした。

芥 この尺だったから、この歌詞ボリュームで全てを完結できたなと思う。もしもう一度Aメロがくるような曲構成だったら、ちょっと濁ってしまったかもしれない。

白 そうだね。

野中 長さのある曲でカッコいいものや自分好みのものって世の中に溢れているけれど、短い曲のほうが残るんですよね。「足りない!」ってなる。

白 あ、わかる。

芥 足りなくて「もう1回!」ってなるよね。このミニアルバム全体でも、17分くらい。世の中には1曲で17分以上ある曲も存在するけれど、6曲で17分。

一同:確かに。

芥 周年ワンマンでこの曲を歌い終わった時、僕は「on drums、shota!」みたいにメンバー全員をコールしたんですけど、あれは事前にそうしようと決めていたわけではなく。歌い終わった瞬間、映画のエンドロールみたいな気持ちになって。そこからメンバーを紹介して、「ありがとう。」と言ってステージを降りようと思った。

────それもまたひとつのパッケージ感ですよね。

芥 うん、自然とそういう気持ちになった。やっぱり、『深々呼吸』は人生みたいなアルバムなんだろうな。


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