【ギャロ】ライヴレポート<ギャロ十漆周年記念単独公演 『黒鶏記念』>2026年5月5日(火・祝)上野音横丁◆十漆周年記念単独公演で見せた極上の宴。悪夢を喰らいつくした先にあった幸福論。

始動記念日である5月5日、ギャロが十漆周年記念単独公演『黒鶏記念』の舞台に選んだのは、あらゆる文化と欲望が入り混じる街・上野にある上野音横丁。綺麗だけど不穏、滑稽だけど恐ろしい――そんな表裏一体の狂気を孕んだ世界は深化を遂げ、かつてよりもわずかにマイルドになったアプローチからも、17年という時の経過を感じられた祝祭の宴。開演前に“形式訓練”として行われたのは、銀の匙が白い皿を打ち付ける儀式のようなお馴染みの光景で、ガチャガチャとした下世話な音さえも高揚感を煽るファクターとなっていた。その場に生じる歪ささえ、ギャロが作り出す空間では様式美となる。
SEに乗せてメンバーが姿を現すと、ジョジョ(Vo)は「さぁ、極上の悪夢へご招待いたしましょう」と妖しく告げ、続けざまに「腹減ったなぁ!」と渇望の叫びをあげた。幕開けを飾ったのは、“浅草に渦巻く情熱に溺れて札束が舞い散る”という下町の猥雑さを映し出した『BOOGEYMAN』。雌鶏(ファンの呼称)たちが掲げる皿と匙は、『GALLOWEEN N°2』では霊柩車を走らせるハンドルとなり、『黒鶏式葬送曲第伍番-アリオト-』では墓を掘るスコップへと変貌する。さらに、フロア一面に食器が掲げられる光景は、“早く食わせろ”と次の曲をせがんでいるようで、飢えにも似た熱狂が場内の熱を上昇させていった。ノヴがギターで先導した『IL RISTORANTE GIALLO-GINZA-』の横揺れが似合うポップさや、ワジョウのギターソロが冴えわたる『YOKOHAMA BEAST』の海岸沿いを彷彿とさせる疾走感と、それぞれ異なる色を持ちながらも、一貫して退廃の匂いがまとわりついていた。

ここで、2月から4月にかけて三箇月連続配信された音源を立て続けに披露。まずは、文字通り“新宿”を舞台とした露骨な恋愛劇を歌う『新宿恋物語-PART1-』と『新宿恋物語-PART2-』が、雪から雨へと変化するようにテイストの異なるブルージーな空気で会場を満たす。そこへ、「ウ!ハ!」の掛け声やスキャットで空気を一掃した『CABARET-IMAGE-』では、「解答(こたえ)なんて要らないよな!」と歌い替えたラストのフレーズが、感情の捌け口となる一時を強調しているようでもあった。
ギャロのサウンドにおいて要とも言える重低音と鋭利なギターリフが折り重なるたび、長きに渡り研ぎ澄まされてきた輪郭が、否応なしに浮かび上がってくる。『VILLAIN-DEATH-』では、悪夢号(バイク)に乗ると見立ててサークルモッシュが起き、カエデとノヴが順に「腹減ったなぁ!」と煽り立てた『葬魔-LUCIFER-』から続いた『禁句』では、冒頭でノヴが「真ん中開けろ!」と指示すると、フロア後方からジョジョが登場。そんなカオスに相まって、パンクなメロディーに乗せて“エロイムエッサイム”という悪魔を召喚する呪文を唱えながら嬉々としてモッシュを起こすというミスマッチさもたまらない。『淫魔-BELPHEGOR-』で起こしたモッシュの波も、彼らにかかれば異形なパレードとなる。その中で、“貴方の夢を、おまえたちの夢を、永遠に俺は見続けるよ”とジョジョなりの熱のこもったメッセージを挟むと、一気に温度感が増していくのだった。


「まだまだ夢、喰らい足らねぇなぁ!」と、『夢葬』からラストスパートへ突入。アンディのベースとファンキーなギターリフが映えるテンポに合わせてツーステップを踏んでいた観客が、続く『神風型駆逐艦・闇風』では「もっと愛してくれよ!」の号令で前方へ詰め寄る逆ダイブの応酬を繰り広げる。さらに、「生きてるか!? 生かされてるか!?」とギターロックチューン『MRMD-13β』でアッパーに押し上げて、いよいよクライマックスへ。「おまえたちの悲しみ、苦しみ、憎しみ、妬み、痛み、幸福、絶望、全部俺たちが喰いつくそう。さぁ、共喰いを始めよう。喰い殺されてぇか!」とラストを飾ったのは、『聖黒薔薇學院-青春-』。どれほどドス黒いエンディングになるかと思いきや、“青春!”という合言葉を発しながら白熱していく会場に満ちていたのは、暗闇の先でようやく辿り着いた光のようなもの。ただし、それはありふれた健全な光ではない。淫靡で公序良俗から外れるような不可侵領域でしか成立しない類のもので、言うなれば、ギャロが織りなす空間でしか満たされない欲望があるということを強く物語るシーンでもあったのだ。

「決して楽な17年ではなかったんですよ。でも、結構長く続けていると〈ギャロ、17年もやってるんですね、すごいですね〉って言ってくれる人がいっぱいいるんです。バンドやってる人もそうだし、辞めちゃった人もそうだし、先輩も後輩もみんなそう言ってくれる。確かに続けることって、すごいことだと思うんですけど……(メンバー)みんな、いい奴なんですよ(笑)。ノヴちゃん、アンちゃん、カエデさん、ワジョウさんを推してる人、〈いい人を推してる〉と思っていいです。俺は、わかんないよ? まあ、丸くなりましたけどね(笑)。でも、あのときの尖りを忘れずにやっていく年にしていこうと思うので、ぜひよろしくお願いします」

アンコールの冒頭で、こう話していたジョジョ。『夢魔-INCUBUS-』の演奏中も、「幸せかい? 俺は幸せだよ」と語りかけ、「ずっと俺たちは夢を見てきました。こうやってここで歌えること、ここで演奏できることはすごく幸せなことで、特別なことだと思います。だからもっともっとみんなに甘えさせてください、甘やかしてください。もっと愛してください」とシンガロングを誘発するなど、とにかくストレートな言葉で胸の内を口にする場面が印象的だった。これがジョジョ自身の言う“丸くなりました”ということなのかもしれないが、現在のギャロのライヴには以前にも増して血が通っているような、温度のある感触を覚えたのだった。そして「次の旅が待ってますから」と、メンバー全員がマイクへ向かって多幸感で包み込みこんだ『極東海賊團-神威-』が、これからに向けた前進の号令となり幕を閉じていった。
ライヴ中のMCでは、新たな発表もあった。7月21日に、ここ上野音横丁でワンマンライヴが開催されることと、7月22日には“ギャロの世界を象徴する曲”が収録されるというシングルが発売されるとのこと。すでに発表されている予定としては、ジョジョが“兄貴”と慕うガラ率いるメリーとの2マンライヴが6月28日にHOLIDAY SHINJUKUにて開催されることになっており、「兄貴をぶっ飛ばす……いや、喜ばせよう」と意気込みも露わにしていた。これからも、腹をすかせた“黒い雄鶏”たちは、群れを成して愛を求めながら進み続けていく。
テキスト:平井綾子
撮影:折田琢矢
SET LIST
【セットリスト】
-SE-
BOOGEYMAN
GALLOWEEN N°2
-MC-
黒鶏式葬送曲第伍番-アリオト-
IL RISTORANTE GIALLO-GINZA-
YOKOHAMA BEAST
-チューニング-
新宿恋物語-PART1-
新宿恋物語-PART2-
-チューニング-
CABARET-IMAGE-
VILLAIN-DEATH-
葬魔-LUCIFER-
禁句
淫魔-BELPHEGOR-
-MC-
夢葬
神風型駆逐艦・闇風
MRMD-13β
聖黒薔薇學院-青春-
-EN-
夢魔-INCUBUS-
極東海賊團-神威-
LIVE
令和08年06月28日(日)
新宿HOLIDAY
ギャロ十七周年祭-第零夜-∞メリー
WORLD'S END 2MAN SHOW
☆出演☆ ギャロ/メリー
https://eplus.jp/sf/detail/4490940001-P0030001
令和08年07月09日(木)
高田馬場CLUB PHASE
ギャロ十七周年祭-第壱夜-
∞The THIRTEEN
WORLD'S END 2MAN SHOW
☆出演☆ギャロ/The THIRTEEN
https://t-dv.com/world-end-2man-13
令和08年07月21日(火)
上野音横丁
ワンマン公演
詳細未定
RELEASE
ギャロ三箇月連続配信音源・壱
『新宿恋物語-PART1-』
令和08年02月27日(金)
https://linkco.re/2UVdqd4F
ギャロ三箇月連続配信音源・弐
『CABARET -IMAGE-』
令和08年03月26日(木)
https://linkco.re/EBRB356r
ギャロ三箇月連続配信音源・参
『新宿恋物語-PART2-』
令和08年04月27日(月)
https://linkco.re/5b8mGCPP
令和08年07年22日(水)
NEW SINGLE発売
詳細未定
関連リンク
HP:http://9allo.jp/
X:https://x.com/9allox9allo



