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【逹瑯】<フリーマガジン「Visunavi Magazine」>巻頭特集・アルバムインタビュー =Web版=

ちょっとマニアックな方向に行っても成立するなというのはあって


 

────MUCCの25周年を走り抜けたことって、その後のソロアルバムの制作にはなにか影響与えました?

逹瑯分かんない。チャンネルも違うし、パッと浮かぶ何かはないかも知れない。去年はとにかくいっぱいいっぱいで、年内のスケジュールが終わるまでは頭が回らないって感じだったんで。今年に入ってから頭を切り替えて、急ピッチでやった感じで。

────アルバムはすでにリリースされてる曲に加えて、新曲5曲が収録されてますが。新曲5曲は今年に入って仕上げたんですか?

逹瑯:イチから作った曲は4曲かな。「これはアルバムのリード曲だな」っていう、「COLORS」が結構早い段階で出来たので。「軸は出来てるから、あとは遊べるな」と思っていた中で、「LASTICA type RE:入れてもいいかもな」って思って入れてみたり。

────LASTICA type RE:」はシングル「ソラノカタチ」に収録されてます。

逹瑯:そう。でも配信もしてなかったし、反響も良かったし、ツアーでもやっていくと思うし。もう一回、このアルバムの中にあっても良いかなと思って入れました。

────通して聴いた時、シングル曲に新曲たちが加わったことで、アルバムの世界観がしっかり構築出来ているし。繰り返し聴ける、めちゃくちゃ良いアルバムになったなと思います。

逹瑯MUCCのアルバムって、1315曲くらい入るんですけど、ソロのアルバムはもうちょっとコンパクトにしたいと思ってて。SE入れて10曲か、11曲と思って曲を作ってて。それくらいの感じの方がお腹いっぱいになる前に終わるんで、集中して聴けるし。何度も繰り返し聴ける感じがいいかな? というのは思ってました。シングル曲たちがキャッチーで、サウンド的にも開けてるものが多かったんで、ちょっとマニアックな方向に行っても成立するなというのはあって、新曲の制作はすごくやりやすかったですね。もう柱が立ってたんで、家が建てやすかったみたいな。

────うん、シングル曲があったからこそ、もう一歩奥に踏み込めていて。そこに逹瑯さんのパーソナルやリアルがより見えてくるし、すごく胸に迫る作品になったなという印象でした。

逹瑯:そこはMUCCとの違いなんですけど、MUCCはバンドの音だから。MUCCの曲はメンバーみんなの曲だから、歌詞を書くにしてもそこはどうしても意識しちゃうと思うんです。それがソロだと、自分が良ければ良いので、好きに書けるというか。よりパーソナルなことを書いても、みんなの歌じゃないしっていうのが一番の違いかな。

────ソロに関しては、音楽にわがままになれてるというか、自分のやりたいことをやり切れてる感がありますし。1stと比べた時にバシッとピントが合ってる感があって。シングル曲を作っていく中で、なにか見えたものがあったのかな?と思ったんですが。

逹瑯:1stは「とりあえずやってみよう」で、好きなことややりたいことを全部やったら、しっちゃかめっちゃかだったんだけど(笑)。ソロでライブやってるうちに、「攻撃力が足りない。いまの感じじゃ、対バンで勝てねぇな」って、ずっとモヤモヤしてて。年末に水戸ライトハウスでライブやって、メンバーと話してる中で、「もっとステージ上でのバンド感が欲しいから、同期いらんかもね」って話になって。そこからアルバムに向けて、もっとバンド感を出していこうと曲を作り進めていったんで。「バンドサウンドのアルバムが作りたい」ってところで、1stの時よりも向く方向が定まってたというのはありました。結局、高校卒業してから、MUCCしかやってきてないんで。「自分が求めてるところは、バンドサウンドなんだな」っていうのがどっかにあって。で、バンドサウンドで構築して、自分の好きなものを素直に作っていこうって思ったら、どんどんサウンドがMUCCみたいになってきちゃったなと思って。

────わはは、どうしてもMUCCが出てしまう(笑)。

逹瑯:でも大きな違いとして、俺が足立(房文)に「こういうタイプの曲がやりたいんだけど」ってオーダーして、ベースとなる曲を作ってくれて。「だったら、もっとこうしてメロディをいじって、ギターをこう付けて」とか口出しながら構築していくんで。ソロの曲は工程上、MUCCでは絶対に生まれてこない曲たちなんですよね。「このサウンド感だったら、MUCCでやればいいじゃん」って言われても、MUCCでは絶対に生まれてこなかった曲たちだから。そこにソロでやる意味があるなとすごく感じますね。

────さらに大島こうすけさんのアレンジが加わることで、逹瑯さんの新たな魅力を引き出してくれていますし。「エンドロール」を聴いた時、すげぇ新しいなと思ったし、そこに逹瑯さんがソロでやる意味も感じたんですけど。さらにぶっ飛んだのが、「ソラノカタチ」で。こんな曲も歌うんだ! と思いながら、アルバムに入った時にこの曲があることの重要さをより感じました。

逹瑯:大島さんは脳みそのチャンネルが全然違うんですよ。だから大島さんにやってもらったアレンジで、楽曲がドラマチックになったり、エキサイティングになったりして、すごく味付けが濃くなったし。「このアレンジに負けない歌詞の世界観を練っていかないとな」ってせめぎ合いもあったんで、すごく面白かったですね。「ソラノカタチ」なんか、ドラマチックでめっちゃ壮大で。ストリングスのアレンジも入ってより壮大になったんで。「ここまで壮大なら、めっちゃピンポイントな誰にでも当てはまる日常を入れた方がハマりそうだな」と思って。その辺のさじ加減が面白かったですね。

────それがアルバムだと、世の中、真っ暗闇で腹立つことばっかりだけど、それでも日常は続いて、空は青くてという振り幅を生んでて、すごく良いなと思いましたし。そこに逹瑯さんの人柄やパーソナルがすごく見えた気がして、ソロの意味を感じました。

逹瑯:その時々で思ってることとか、曲の空気感とマッチして言葉がずるっと引き出されてくる感じなんで。このアルバムなんて、シングルから始まるとすごく長い時間をかけてアルバムを作ってるから。また半年後にアルバムの曲を書いてたら、また全然違う曲と歌詞になってただろうなって気がしますけどね。

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