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【KAKUMAY・真虎(Vo)】◆独占インタビュー◆今まで語ってこなかった真虎という像が持つ陰。俺は本当は強くない。肉親との壮絶な別れ、少年期に背負った十字架を吐露しながら、見据える先は未来────。
仲間であるメンバーやファンのことを悪く言われてるのに、俺は言い返せなかったんですよ。
────その肝心のライヴ自体はどうでした。ぶっちゃけかなりの手応えあったんじゃないですか?
真虎:うん…ありました。
────去年3月と9月のO-WESTと比較してバンドとして骨の太さが変わったなっていう印象がすごくあって。ステージングの華とかはもともとあったんですけど、KAKUMAYってこういうライヴだよねっていうイメージがあったものが、昨年立て続けにリリースした楽曲によって幅が広がったなって驚きがあったんですよ。真虎さん自身その辺りはどう感じてますか?
真虎:こうしていこうっていうプランは「IDOL」のツアーから3月のO-WESTの時にはなくて、その後、“なんかバンドとして足りないよね。”みたいに大人に言われて。
────うん。
真虎:そういうモヤモヤもだし、自分自身が3月のO-WESTで感じたもの、お客さんからの声とかをもらってるうちに、人のためになる曲を作りたいなと思ったんです。「Q」って曲を出したんですけど、そういった衝動から予定とか度外視してすぐに「反抗期」を作ったんです。実は戦略的な連続リリースじゃなくてただ書きたかっただけ。続けて大人たちへのアンサーソングとして「No.1」を出しました。俺のワガママでガンガン曲を作った時期ですね。伝えたいことが立て続けに生まれた。それを早く伝えたかった。
────時系列的には少し前になりますけど、確かに「ニアリーイコール」以降変化があったというか。フロントマン真虎としてどんどんどんどん自分の内面を出していこうって思うようになったきっかけっていうのは、やっぱりGOATと呼ばれるファンの方からの言葉?
真虎:はい、ファンの言葉ですね。
────「No.1」の歌詞とかにかなり赤裸々なリリックじゃないですか。
真虎:ですねぇ(笑)
────《誰かが言った『メンバーと客に力が無い』って》これを歌詞にするんだっていう衝撃だったと思うんですけど、実際ああいう曲を出してみての反応っていうのはいかがでしたか。
真虎:最初は受け入れられないと思ったんですよね。ヴィジュアル系っぽくないし、俺の自己満かなと。こういうことがあって悔しかったってだけじゃないですか。でも、メンバーとお前らファンのことも言われたって言う俺の悔しさに。思いもしないぐらいファンが燃えちゃったんですよね。
────意図してなかったけれど大化けした。実際リキッドルーム公演のタイトルにもなったわけだし、あの日のライヴでも大爆発も見せましたよね。
真虎:あの曲はお互い同じ気持ちすね。多分やってる時にメンバーも、ファンも俺も同じ気持ちなんだろうな。みんなで育てた曲ですよね「No.1」。
────「反抗期」以降は「UNCHAIN」だったり、「ONE」や「共依存」とタイトルがどんどんわかりやすくなっていったような印象もあるんですよね。
真虎:そこら辺も意識してますよ。ファンのマインドを変えてしまったので、より的確にいこうと。「反抗期」あたりで、“諦めようとしてたこととかを、頑張ろうと思いました。”とかそういう声が増えて、自分の気持ちを素直に出しただけの「反抗期」での反応を受けて、そこから“これが俺の役目かもみたいな。これがヴォーカルとしての俺の使命なのかも”みたいに掴んだんですよ。これでいいんだって。人に与えるものって、色々あっていいけど、俺は負の感情やメンヘラとかじゃなくて、お客さんを前向きにさせることをしていくべきなんだなって。これがヴォーカルとしての俺の姿なんだって。
────大人に“ちょっと甘いよねみたい”に言われたことってどんな内容だったんですか。
真虎:一人とかじゃないんですよ。俺ってバンド内で目立つじゃないですか。だからみんな俺に言ってくるんですよ。“真虎以外のメンバーに華がないよね”とか、“ファンの声も小さいし盛り上がってないよね”とか。どうせ、俺がいないところでは俺のことも悪く言ってるんだろうなって思うし、そういう言葉に言い返せない俺がいたんですよ。ただ、頷くしか出来なかった。仲間であるメンバーやファンのことを悪く言われてるのに、俺は言い返せなかったんですよ。どこか図星な部分も認めなくちゃいけなくて、じゃあどうするの?って。バンドは音で思い知らせるしかないんですよ。次、この人たちが俺たちのライヴを見たときに何も言えなくなるような状況を作る。そう決めましたね。
────よく言いがちですが、ファンも第6のメンバーという比喩ですけど、リキッドルームはまさにその光景でしたし、特に「No.1」は特別でバンドvsファンではなく、バンド&ファンvs何か、の構図が誰の目にも明らかでちょっと尋常じゃない空気でした。
真虎:バンド内も変わっていったんですよ。アンチェインツアーあたりまでは“このままじゃヤバいよ”とかメンバーを焚きつけたりしてたんですけど、その次の共依存ツアーからはもう背中で見せることにしました。メンバーは仲間だけど、その歩みに合わせるためにフロントマンが立ち止まってたらそれこそバンドとしてリキッドで勝てない。結局みんなが幸せになるにはリキッドを成功させなくちゃいけないんで、一人で突っ走って、もうバックミラーでメンバーの姿を見守るぐらいのモードに切り替えました。
────そんな中、真虎さん自身にもアクシデントがあったりもしました。
真虎:うん。俺がインフルエンザで離脱して4人でライヴをしなきゃいけない回が何回かあったんですよ。申し訳ないなって思ったんですけど、それ以降メイクの順番から何から本番前のスタンバイは全部俺の好きなタイミングでやっていいよってなったんですよ。俺がいない間に何を話したのかは知らないけど、ヴォーカリストの俺のためにメンバー全員が尽くしてくれたのは正直愛情を感じて嬉しかったです。それによってメンバーも負担が増えたと思うし。感謝してる。尊敬します。